←ここをクリック
「人間は1本の葦(あし)であり、自然のうち最も弱気ものに過ぎない。されどこれは考える葦である。」
これはフランスの哲学者でり宗教家であるパスカルの、「パンセ」瞑想録の中の言葉である。「パンセ」は、パスカルが39歳で死ぬその直前までの4年間、修道院での生活の中で、病苦と闘いながら、人間の生活や生きるという問題について、その反省と考察を書き綴ったものである。
このパスカルのことばは、「人間は、自然の中の生きものとしては、葦のようにかよわくて、とるに足らない存在であるが、考えるという固有の機能をもっているから、その考える力をもつことによって、主体性をもつことができるし、偉大ですぐれた存在になることもできる」という意味であるといわれている。
要するに、「人間は、自覚的な存在者になることもできるし、考える力によって生み出す知恵で人生をより豊かに生きることができるが、いつも、かよわき葦のようにとるに足らない存在であることも忘れてはならない」ということである。
このことは、人は、何かに成功すると、すぐそのことを他人に自慢したりするようなごう慢なところのあることを、戒めていることばとしてうけとめることができる。
人生は選択の連続であるといわれが、その選択を価値あるものとして、それぞれの人生を豊かにしていくためには、パスカルのことばのように、人間のもつ固有の機能としての考える力によって生み出す知恵を大切にして、子供を教育する学校や社会など全ての場で主体性を育てることが肝要である。