遼東を越えて丹東へと兵を進めるカンキュウケンの胸に
苦々しい記憶があった。
かって遼東は「黄巾の乱」以後,公孫淵の支配下にあり,
呉の孫権も討伐に失敗,
また魏の忠臣であるカンキュウケン自身も破れた。
それほど,黄巾族の根は広く張っていたのだった。
しかたなく,魏の三代皇帝明帝は司馬懿を遣わし,
ようやく公孫氏を滅ぼすこと成功する,
が魏は司馬懿によって食い荒されていくのだった。
その現状に,カンキュウケンは胸が傷んだ。
「俺は明帝のために進むぞ」
今,国境を侵さんとするトウセンに対し,
全力であたることを誓うのだった。
世は肉食系人種の時代,
乱世だったのだ。
司馬懿は魏の中枢にあって,虎視眈々玉座をねらっていた。
現皇帝である,明帝の力を削ぐには,カンキュウケンの存在は
邪魔意外の何者でもなかった。
知恵者である司馬懿は一計を案じた。
「高句麗のトウセンを遼東にあるカンにあたらせれば,釘付けになろう。」
心のなかで司馬懿はにやりと笑った。
司馬懿は早速,トウセンに使者を送った。
結果,もともと野心家である,高句麗王トウセンは遼東を侵し,
自分の領地をせっせっと拡張することになった。
一方で,司馬懿はこころおきなく,蜀,呉に兵を向けることができるのだった。
司馬懿の目の前には,蜀の軍師,最大のライバル,
「諸葛亮孔明」
がいた。