子どもの絵をとおして,よき話し相手になりましょう
これは,子どもも大人も,今も昔も,これからも変わらないことです。こども,特に
幼児はことばや文字による表現は思うにまかせないので絵に描いて気持ちの表現をします。
それは心の中にあるものを,外界と形を借りて表すもので,現れた形は手段であって,
目的ではありません。
その手段として現れたゾウさん,キリンさんや花が,写真のように似ていなくても
いいのです。写真のように描くのは昔のことで,昔は写真がなかったので,絵で代用
しようとしたのです。
戦前の図画は,手本をまねて描き,いかに上手にまねるかに腐心していました。
写真の発達とともに,上手にまねるなら写真を撮ればいいことになり,こどもの絵は
写真と違う,こども自身の内面描写なのだと気づきました。そして,心の内面を太らせ
創造的に自己表現をさせよう,そういう場を保証しよう,というふうに移り進んで
来ました。
これは,明らかに大きな進歩だと思います。
そういうわけで,こどもの絵は同じゾウを描いても,活発な子,消極的な子,あきっぼい子
情緒不安定な子,経験の浅い子・・・・とそれぞれ表し方が違います。これは人物を描い
ても同じです。また同じ人の絵でも,イライラしているときには,そのイライラがすぐ
絵に現れます。
大人が窮地に立たされたとき,話し相手も見つけていろいろ話していると,ただ話したと
言うだけで,気分がいくらか楽になのと同じで,こどもはぶつぶつ言いながら,感情を
絵にして紙にぶつけるだけで憂さをはらします。
これを,まわりの大人が読み取って,そのイライラの原因を探り,どうすれば憂さを
取り除き,解消できるか,当人といっしょに,その対策発見に努めることが大切なこと
なのです。
さらに深く知りたいですか。
はい,さらに深く知りたいです。
いいえ,もう,結構です。