貧しき人々はその黄玉の言葉に従った。
許昌はその横にあり、時代を思った。
黄帝の時代を感じた。
「今や、世は乱れ赤帝の時代は去りつつある。わが黄帝の時代である。」
そう、みなに語った。
確かに、漢帝国の屋台骨は腐っていた。
宮廷は権力争いのの舞台となり、人民は見捨てられた。
賄賂が横行し、重税が人民を苦しめていた。
度重なる税上げに人々は恨みをいだいた。
各地で反乱が起こった。
そのひとつの中心に許昌がいた。
許昌は陽明皇帝を名乗っていた。
戦いは北の黄巾の乱とともに人民に有利に転回している,
と思えた。
しかし、そんなある日、娘の黄玉が許昌の前に
進み出て重要な託宣があったことを告げた。
「お父様、危機が迫っております。」
「どうしたのだ,黄玉」
「漢兵が来ます。」
漢帝国が来るのか。
許昌は思った。なんの,腐った帝国軍なにするものぞ。
親族を通じて漢宮廷の様子は伝わって来る。
度重なる税の値上げ、何に使おうというのか。
「お父様、いけません、ここを去るご準備を。」
玉は父の顔色を伺いながら、言った。
「何の腐り外道、いかほどのものがある。」
貧しき人々の群の中にあって見て昌は怒りに震えた。
「目にものを見せてくれん」