訴えて来たA
授業が終わった後、Aは涙ながらに訴えて来た。聞けばSが
「ブタ、死ね」
と言ってきたという。
Sは日本人だが東南アジアからの入国者の子弟だった。
理由はわからないが,人の心をもてあそぶ、人がいやがること
侮辱することばかりを言う。また、ばかにする。肌は黒いから、
小さいころからいじめられたのかもしれないが,いやーな気持
ちに何度かさせれた。
自分の悪いところは棚上げし、反省はしようともしない、
したがって何度もしかることになる。何度も説得するが3分と
もたない。こちらが優しく接すると、組やすしと思うのか図に
乗る。
何度もしかられるのはその辺に原因があるのだが、本人には
わからず、ともすると「差別だ」という。
こちらは、Sのことを思って言ってるのだが、気持ちが通じない。
このままでは社会に出ても同じことを繰り返しになる,嫌われ
てしまうだろう,とさえ思った。
すでに生徒の間では「最低の暴走やろう」と陰口をたたかれて
いた。
そのなにかと教師の指導に対して「差別だ。」というSが,
まじめなAには
「ぶた、死ね。」なのである。
わるいが、S、おまえの方が太っているぞ、と思った。
逆に、Aは、その体型から友達にいろいろ言われるがいい子な
のである。
片付け仕事や物運びなどの仕事をしていると、必ず近寄ってきて
「手伝います」と言ってくれる。世間話をしながら,いっしょに
片付け仕事をしたのを覚えている。
その彼が、涙ながらに訴えてくるのである。
私は、自分を犠牲にしなければならないだろう、と思った。
「差別だ」と言われようが、体罰教師と陰口をたたかれようが
Aを守らなければ男じゃない。トラブルは避けたいが,しかし,
Sを呼び付け、怒鳴りつけた。
「おまえな、いつもなにかとすぐ差別だ、というが、そのおまえ
が、ぶた、シネか、意味わかっとんのか、ちっとは考えろ。!」
しかし,案の定逆恨みし,授業妨害をしかけてくる。