Hくんの思いで


教務のTとの関係で思い出す生徒がHくんだ。
今の学校の教育が問題児を排除する方向にあるのが残念だが、
救い切れない部分もあるので、なにが良いとか悪いとか言えないのだが、
Tは排除する方向のようだ。
したがって、私も問題児であるから、邪魔なんだろう。
Hくんは薄い茶パツで入学式に来た。このままでは入学にいれてもらえない状況だった。
ある先生が連れて来て、このままじゃ入学式に入れないし、黒に染めて上げたいという。
私が「そうだね、染めて上げようか。」
というと、その先生は
「ちょっと待ってください親に確認取って来ます。」
と言って、その場を離れたが、結局親の承諾を得て、染めることになった。
私はどちらかというと、どうでもいいや、と思う方なので、そこまでしなくても、
と思う部分もあったのだが、教師としての年月が、
このままではHくんは最初から不良だ、特別視される、
と告げていたので、染める決意をした。
こうして、Hくんは普通の生徒として入学式に出、授業にも出ることになった。
だが、Hくんは学力不振で生活も不規則なので授業で寝てしまう。
そこで、例のT教務だ。授業中に寝るとは何事だ。とHくんをしかりにしかった。
無論、彼の言うことは正論なのだが、無理があった。
そりゃ無理だろう、問題児のHくんには。
そしてT教務、彼を相談室に閉じ込めた。が、Hくんは相談室で一人過ごした方がいい
というようになった。そして、相談室で一人過ごし、ひとり課題や反省文を書き、
やがて学校の始業にも遅れてくるようになった。遅かれ早かれそうなったのだろうが、
そのきっかけが残念だった。
そんなに成果を上げないかんのか。
私はそう思いながら、私なりの教育を展開したが、
やがて私も排除されるようになり、教育者としての働く機会も奪われていった。
わたしもHくんと同じように、まあいいや。と思うようになっている。
でも、悪口をひとつ言いたい。Tは澄んだ水たまりをわざわざかきまぜて、
自分の成果とするやつだ。