小 説 空手の記 (22) by あき よしき

この物語は作者の実体験に基づいてはいますが,フィクションです。

よしきは、中段突きを打った。
入った、と思った。
デソーザの突きはよしきの頭をかすって逸れ
て行った。
よしきの突きは真っすぐに、デソーザの中段
を突いていた。
「やめっ」
開始線に二人とも戻った。
「不十分、取りません。」
(えっ)
よしきは思った。不満を面に表し師範を見た。
(入ってる、しかもデソーザの突きは避けた。
なんで?)
「続けて、始めっ」
二人とも再び構えた。
「えいやっ」
デソーザの気合いがほとばしり、突きが飛ん
できた。
(痛っ)
体のどこかに当たった。
デソーザの突きはどこに当たっても痛いと感
じた。しかし、師範は取らなかった。
(当たっちゃいけない。)
痛みに対する恐怖が走った。
(先に撃ち込まなければやられる。)
デソーザの必死の目が迫っていた。
右拳を高く構えた。
太い腕が伸びてきた。
「とおっ」
気合いを放った。
デソーザの面包が、パアアンと鳴った。


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