(4)


「俺、長期任務に出ることになっちゃったんだよねえ。」

その言葉が本当の意味での悪夢の始まりになることを、イルカは知らないでいた。




その夜、イルカがすっかり寝入ってしまった時間にカカシはやって来た。
ぴちゃぴちゃという音と下半身を包む生暖かい感触が、眠っていたイルカの覚醒を促した。
イルカの寝惚け眼に飛び込んできたものは、風に揺れるカーテンと月明かりを受けて闇に白く浮かび上がる銀髪だった。

「!」完全に目を覚ましたイルカが驚いて逃げようとするのを、カカシは口に含んでいたものに歯を立てることによって止めた。

「あッ....!」あまりの痛みにイルカの目に生理的な涙が浮かぶ。

なんだ、萎えちゃったの。つまらないなあ。

急速に縮まるイルカのものをそれでもカカシは暫く舐っていたが、回復の兆しがないのを悟るとようやく諦めて口を離した。
気持ちよくしたあげようと思ったのに、とカカシはイルカを責めるように言った。
イルカはカカシの言葉に答えることなく、無言のままカカシを睨みつけた。

ああ、またその瞳。でも今日はきっとその瞳は色を変える。カカシの望むままに。
カカシはこれから訪れる極上の愉悦を想像して、口の端を吊り上げた。

「俺、長期任務に出ることになっちゃったんだよねえ。」歌うようにカカシが告げた。

「いつ帰ってくるか分からないし。あんたその間に自由に泳いで行っちゃうでしょ、俺のこと忘れて。」
だからねえ、あんたには枷をつけておかないと。俺から逃げ出さないように。

イルカはその言葉に戸惑い何度も目を瞬かせた。理解できなかった。ただ、これで開放されるのではという漠然とした期待に、心なしか緊張が緩む。カカシはそんなイルカの手を強引に引き寄せクナイを握らせると、今度はクナイを握るイルカの手を握りこむように、自分の手を重ねた。
何をするのか分からず、イルカは訝しげな目をカカシに向けた。

「あんた、人を殺したことある?」

カカシの短い問いに答えようと、吐き出した言葉は悲鳴に変わった。

「あああああぁぁぁっ.....!?」イルカの顔が恐怖に歪む。

クナイを握るイルカの手を引いて、カカシは思いきりクナイを立てた。自分の体に。
鮮血がカカシの体から噴出し、布団や畳を見る見る間に赤く染める。

「あんたは自分が傷つけられるのには強いけど。」
他人を傷つけることには慣れてないでしょ。
ね?忘れられなくしてあげるよ?
俺のことを。
あんたが切り裂いた俺のことを。

手から力を抜いてクナイを離そうとするイルカを許さず、更に上から強く握りこんで、刃の立てられた肩口から一気に下へ切り裂いた。
パアッと血飛沫が舞った。カカシの血がイルカを赤く汚す。髪も。顔も。体も。性器も。
イルカの瞳が恐怖に白く濁る。
それを見てカカシは言い知れぬ満足を覚えた。同時に股間が熱く滾る。
はやく傷の手当てを、はやくはやくと泣きじゃくるイルカを押さえつけて、カカシは欲望のままに腰を打ちつけた。
嫌だあ、と今までにない切羽詰った様子でもがくイルカが可愛らしい。
激しく突き上げるたびにカカシの胸から血が零れ落ち、イルカの顔や胸を汚した。
その度にイルカは身を震わせて慄いた。死んじゃうよ、あんた死んじゃうよと、うわ言のように繰り返しながら。
カカシは激しく腰を使いながら、血に染まるイルカの肌に吸い付いた。

全部真っ赤だ。俺も。あんたも。これでおんなじだね?
あんたは俺の穢れた血を受けたんだから。

カカシは胸の奥が熱く痺れるのを感じた。それが何と言う感情なのかカカシには分からなかった。
たまらなくなってカカシはイルカの口を貪った。
鉄の味のする口付けにイルカがむせるのにも構わず。

やっと俺のものになった。

無上の喜びを感じながら、カカシは熱い迸りをイルカの中に叩きつけた。



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