SEX×××
前編

「あっつー....。」

イルカはビショビショに濡れた上着を無造作に脱いだ。
たった今まで、子供たちと校庭のスプリンクラーで遊んでいたのだ。
夏の昼下がりにくるくる回りながら水を撒き散らすそれは、子供たちの恰好の遊び道具だった。
きゃあきゃあ言いながら回ってくる水を避けたり、避けきれなくて濡れたりするのが楽しいのだ。

お前ら、びしょびしょのまま授業を受けるつもりか。

イルカが子供たちに注意すれば、

平気平気。こんなのすぐ乾いちゃうよ、夏だもん。
それに教室はクーラー無いから、どうせ汗でびしょびしょになっちゃうよ。

なるほど、と思わず納得してしまう答えが返ってくる。

先生も一緒に遊ぼう。気持ちいいよ!

子供たちが無邪気にはしゃぐ様が可愛くて、手を引かれるがままに仲間に加わった。
夏の日差しがじりじりと照りつけ、地面からは陽炎が立っているというのに、スプリンクラーの周りは少し涼しくて確かに気持ち良かった。
その涼しさも手伝って、しばらく夢中になって子供たちと遊んでいたイルカだったが、あまりの暑さに降参し、子供たちを残し戦線を離れた。水にも濡れたが、大汗も掻いた。イルカの服はビショビショだった。

何夢中になってるんだか。俺、教師なのに。

あまりの惨状にイルカは急に気恥ずかしさを覚えた。濡れた上着を脱ぎながら、校庭の隅の木陰に腰を下ろす。

ちょっとここで涼んでから教員室へ戻ろう。

サアッと吹きぬける心地良い風が、イルカの体を優しく撫でる。イルカはあまりの気持ちよさにうっとりと目を閉じた。
と、その時。背後から「イルカ先生」と自分を呼ぶ声がした。
イルカがハッとして振り返ると、そこにはカカシが立っていた。この暑いのに口布に斜め額当て。お馴染みの格好だったが、今のイルカの目には非常に暑苦しく映った。

「楽しそうでしたねえ、イルカ先生。」カカシが目を細めながら、イルカの隣に腰を下ろした。

「み、見てたんですか!?」イルカは恥ずかしさに顔を赤らめた。あんな大人気無いところを見られていたとは!

「あは、は、思わず童心に帰ったといいますか、今日は暑いですから、け、結構涼しくて気持ち良かったですよ...はは。」

イルカはしどろもどろに弁解した。

「下は脱がないんですか、ビショビショですけど。」カカシは冗談めいた口調で言った。

「はあ!?そ、それはいくらなんでも。教師としてパンツ一丁というわけには...。」イルカが赤くなりながら真剣に答えるので、カカシは遂には大笑いしてしまった。

「か、からかわないでください!カカシ先生こそ暑くないんですか?その口布。見ていて暑苦しいですよ!」イルカがささやかに逆襲すると、

「ん〜?そうですね、ちょっと暑いです。」とカカシが徐に口布を下げた。

ホラ見ろ、やっぱり暑いんじゃないか、とイルカは何故か勝ち誇った気分になった。

と、次の瞬間。何か柔らかいものがイルカの肩に触れた。

えっ、と思って肩に視線をやるとそこにカカシの顔があった。チロ、とカカシの赤い舌先が見えた。その舌先がイルカの諸肌を辿っている。あまりに信じがたい光景にイルカは呆然とし、暫し何も考えられないでいた。そんなイルカの様子に調子付いた舌先が、わざと大きな音を立ててイルカの肌を舐った。ぴちゃぴちゃ。その淫らな水音にイルカはようやく我に返った。

「なっ、なにするんですかーーー!?」慌てて後方へ飛び退く。

「イルカ先生が悪いんですよ、そんな誘うような格好をしてるから。」カカシが悪びれた様子もなく、しれっと言った。

誘うって。んな馬鹿な。

「さっ、さっ、さそ、誘ってなん、かっ...!」沸騰寸前のイルカにカカシは止めを刺した。

「ねえ、イルカ先生。俺とセックスしませんか?」


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