サルタビコの死
話の舞台
サルタビコは、天孫降臨(アマテラスの孫ニニギが地上を統治するために天下りしたこと)の際に、ニニギの一行を出迎えた地上側の神である。のちに天狗のモデルとされたその恐ろしい容貌にニニギ一行は怯むのだが、アメノウズメが毅然とそなたは何者と問いただす。これが縁で、サルタビコはアメノウズメと伊勢でいっしょに暮らすこととなった。しかし間もなくサルタビコは海で漁の最中に貝に足を挟まれ水死。その後、アメノウズメは海の生き物を集め、ニニギに仕えるか問いただした。皆が仕えると言ったがナマコだけが返事をしなかったので、「これはものを言えない口か」と、小刀でナマコを切った(だからナマコには口があるんだってさ)。
絵について
天孫降臨の話は、日本の土着の勢力と新興勢力との争いの過程を描いたものである。サルタビコは土着の勢力でも最大派閥であったであろう。結局はアメノウズメという新興勢力の王女を后に迎えることでその配下となった。さて新興勢力は用済みとなったサルタビコをどうやって抹殺するか。貝に足を挟まれたとという事故は実は暗殺ではなかったか? それを疑ったアメノウズメは側近を集めて尋問した。一人だけ口をつぐんた男がいた。それが犯人だ。
570x840mm 布 アクリル絵具 2013年7月
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