クマソタケル
話の舞台
クマソ兄弟の征伐を命じられたオウス(ヤマトタケル)は、叔母のヤマトヒメから借りた衣装で女装し、クマソ兄弟の屋敷の建築現場へ潜入する。屋敷完成の日、宴の席でオウスを気にいったクマソはオウスを傍に呼び、酒の相手をさせた。酔いがまわったところでオウスは懐から刀を取り出し、弟を殺害。驚いて逃げる兄の首を捕まえるとお尻から刀を突き刺した。クマソ兄はどうか話を聞いて欲しいと懇願した。クマソ兄は、自分は国で一番強かったのでクマソタケルと呼ばれたが、あなたほど強い人は初めてだという。これからはどうぞヤマトタケルとお名乗り下さいと言った。これを承知したオウスはクマソ兄を切り裂いた。
絵について
日本神話におけるヤマトタケルとは、大和王権が各地を制圧するために送り込んだ軍団の武勇伝を一人の英雄の話しにまとめたというのが通説である。それにしても荒唐無稽なところは実際のところはどうだったかといろいろ想像を駆り立てる。はっきり言ってひどい話である。これは騙まし討ちに他ならないが、古代日本では卑怯という概念は希薄だそうであるが、それでもこんなやり口で相手の武勇を誉める気になるはずがない。つまりは勝った方が自分に都合良く作った話である。
また、いくらお話とは言え、豪族の長が武人の女装を見抜けないものだろうか。実のところ、女装じゃなくて本当に女だったのではないかと思えてくる。ヤマトタケルは間者(女スパイ)を送り込んだのだ。
間者はクマソ(「兄弟」ではないかも知れない)の屋敷の建築現場へ潜入し、屋敷の間取りや警備の様子を探った。そして屋敷完成の日、間者には宴の席でクマソを酔いつぶすという使命が与えられた。ヤマトタケルは予め掴んでいた情報から警備の手薄なところに兵を忍ばせた。あとは間者の合図を待つだけ。しかしいつまでたっても合図がない。さては失敗したか。止むを得ず強行突入したが、そこで見たのは既に死んでいたクマソと間者の姿だった。
ヤマトタケルは間者に何があったか説明しろと言ったが、状況をみれば大体の予想は付いた。
B4 イラストボード アクリル絵具 2011年3月
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