山幸彦の溜息
山幸彦の溜息
805x670mm 布 アクリル絵具 2011年3月
話の舞台
 アマテラスのはるか子孫、海幸彦と山幸彦の兄弟は互いの狩の道具を交換したが、山幸彦は海幸彦の釣り針をなくしてしまう。海幸彦は山幸彦をどうしても許さず、山幸彦が釣り針を失った浜辺で途方に暮れていると塩椎神(しおつちのかみ)が現れ、事情を話すと海神の城へと導かれた。そこで山幸彦は海神の娘・豊玉姫(とよたまひめ)と出会い、結婚する。こうして海神の城で過ごして3年たったある日、ここへ来た理由を思い出した山幸彦は思わず溜息をついた。

絵について
 日本神話の一節であるこの話は、浦島太郎の物語の源流であると言われる。陸の人である山幸彦までが海の底でどうやって呼吸していたかは不明だが、地上の世界のことを思い出して、ついたため息が始めて泡となった。泡は海面へと登ってゆく。泡の行方に山幸彦の望郷の念を重ねてみた。
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