葦原醜男の試練
葦原醜男の試練
B4 イラストボード アクリル絵具 2011年3月
話の舞台
 オオナムジは兄達の迫害を逃れ、スサノオの住む遥かな根の国へやってきた。
「おい、葦原醜男(あしはらのしこお)。ちょっと来い」
 スサノオはオオナムジをそう呼び、様々な試練を与えたが、スサノオの娘スセリビメの助けによって切り抜けてゆく。そして草原に連れ出された葦原醜男は鏑矢(音の鳴る矢)を取りに行かされた。気が付くと辺りは一面火の海。火を付けたのは他でもないスサノオ。その時、足元のネズミに導かれるように葦原醜男は穴の中に落ちた。火をやり過ごせたうえに、穴の中には子ネズミがくわえてきた鏑矢もあった。
 こんどこそダメだろうと思ったスサノオの元に葦原醜男は矢を持って無事生還したのだった。

絵について
 葦原とは文字通り葦が生えているだけの原野だった太古の日本のことで、葦原醜男とは「日本からやってきたブ男」という意味だとか。スサノオが単に娘を奪いにやってきた娘の彼氏に嫌がらせをしたのならそのとおりだが、その後の展開で娘との結婚を認め、かつ葦原の支配者になれと言ったことから、これはもうオオナムジを勇者に鍛え上げるための試練に他ならない。
 古代の日本では子どもや不運な人にわざと汚い名前をつけ、厄をはらうという習慣があった。試練を乗り越えた葦原醜男にスサノオは大国主(オオクニヌシ)となれと言った。
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