第49回

49. < バイクのアンチリフト率(2) >

前回でバイクのアンチリフトがどれくらいか算出しました、あれは全力ブレーキングでフロントもリヤも目一杯ブレーキングしている場合が前提でした。

でもバイクのブレーキは前後独立していてフロントだけ、リヤだけ掛けることもできるじゃないですか。
例えば低速8の字とか一本橋とかで、あとコーナーで車速の微調整したりの時はリヤだけですよね。
一本橋でフロントブレーキ掛けたらヘコヘコしちゃってすぐ落ちちゃいます。 なぜリヤブレーキを使うと車体が安定するかという話です。

リヤだけブレーキを掛けた時のアンチリフトを見てみます、図を見てください、リヤのブレーキ配分が100%ですから荷重移動のωの青い線は前回の20%から100%へずっと目rの方へ移動して前軸の上へ向かって引かれます。
するとωは小さくなります、図で言うとβより小さくなっちゃいました。
これはどういうことかというとアンチリフトが100%を超えているということです。

ほんとか確認してみましょう、ちゃんとデータがあります。 右下の囲みの中に実車でリヤブレーキのみで制動した時の前後サスペンションストロークのデータがあります。
リヤが縮んでいるのが分かります。 ブレーキングしてリヤはリフトしたいのに縮んでいるということはアンチリフトが100%以上である証拠です。
もちろんフロントは荷重移動で沈みますから、リヤだけブレーキを掛けると車体は前後とも沈むように動くのです。

まあバイク乗ってる人はそんなの感覚的に分かってますよね、姿勢変化を少なくしてブレーキングするときにはリヤを掛けるって。
そうなんですがその理屈はこういう訳なんだというのが示せたのが面白いと思ったんです。

逆にフロントだけ掛けるとプロダイブ率が大きくなります、つまり両方掛けるより余計ダイブするってことです、だからチョンて掛けてるのにヘコッってなるんですね。
ブレーキ掛けるときは前後両方、姿勢変化を嫌うときはリヤのみ、っていうのが上手なブレーキの使い方になると思います、もちろんリヤリフトしてるのにリヤブレーキ掛けても無駄ですが。



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