第47回

<47. バイクのアンチリフト率> 改訂2


続いて制動時のリヤのアンチリフトです。
もうやり方は駆動とかフロント制動と同じですから細かい説明はいいですね。
第15回も見ておいてください、今回はブレーキキャリパーがスイングアームについてるブレーキトルクをスイングアームが受ける形式で説明します。

フロントと違ってリヤはβの赤い線が接地点からアームピボットへ向かって上に向かってますからアンチジオメトリーです、つまりブレーキング時リヤサスペンションが伸びるのを減らしてくれるということです。
でも元々リヤのブレーキ力が小さいですからそんなに効いてるわけじゃなさそうなのは図のωとβの大きさを見ても分かります。

同じような記事が続いたのでアンチリフトはさらっと終わろうと思ったんですが指摘があったので追記します。
その指摘はバックトルク、エンジンブレーキについてです、確かに後輪には減速時ブレーキ力に加えてエンジンブレーキも効いています。
というわけで制動力がエンジンブレーキだったらという場合も付け加えます。
これは簡単です、駆動のトルクが逆向きになるだけですから駆動のアンチスクォートの図がそのまま使えます。

でも制動の場合力が掛かっているのはチェーンの下側ですから求める交点はスイングアームとチェーンの下側を延長した交点です。 駆動の時のアンチスクォート角βの線をピンクで示しました、今回の場合は駆動とは逆でエンジンブレーキがサスペンションを縮める方向に働きリフトを減らしますからアンチリフト角です。

エンジンブレーキによるアンチリフト角β(ピンク)はブレーキによるアンチリフト角β(赤)より小さいですからアンチリフト効果はブレーキのアンチリフトより小さいと言えます。
現実にはブレーキング時ブレーキとエンジンブレーキを併用しますから赤とピンクの間のどこかに仮想のアンチスクォート角があると言っていいと思います。

リヤのブレーキ力は難しいですよね、4輪でも低Gのブレーキングでは後輪ブレーキを使えますが、高Gのブレーキングでは荷重移動が大きくなりリヤ接地荷重が減ってロックしやすくなるので後輪のブレーキ圧を制限するプロポーショナルバルブで後輪制動力を下げます。2輪は重心が高くてホイールベースが短くてさらに荷重移動が大きいですからリヤブレーキはレースやスポーツ走行ではあまり使えないと思います。
だからエンジンブレーキも制限するためにバックトルクリミッターとかが必要になるのでしょう。

ということでリヤのアンチリフトはツーリングでは感じるかもしれないけどレースじゃあんまり重要じゃないかな、ってことで。
そうでもないかもしれないという話は次の次で。

改訂1: アンチリフト角の点をチェーン下側とスイングアームの延長した交点に誤記改訂
改訂2: %Fr から (1-%Fr) へ誤記改訂


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