第3回

3. < 後輪駆動車にフロントアンチリフト? >

「今日サーキットテストでフロントのアンチリフト変えたら車がすごくよくなったんですよ」って言われたことがあります、車はフォーミュラです。

この話のなにが変でしょう? 後輪駆動車にフロントアンチリフトはないのです、ないもので車が速くなるはずがないのですがね。


図に制動時、駆動時のアンチXXXを全部挙げました。
制動時は前回のアンチダイブとリヤにアンチリフトです、仮想のアームはスイングアーム回転中心から接地点を結んだ線です(シトロエンDSを除くのはインボードブレーキだからです)
そして制動力がアームを回そうとする力がアンチ力です。
アンチダイブ力は制動力がアームを図で反時計回りに回そうとする力、それが車体を持ち上げます、これは前回話しました。
アンチリフトは制動力がアームを図でいうとやはり反時計回りに回そうとします、それが車体を引き下げリヤが浮き上がるのを小さくする働きをします。 よくバイクでリヤブレーキを掛けるとリヤが下がってブレーキング時の前のめりが減るとか言うでしょ、あれです。

ここで言ってる制動力はブレーキのことでエンジンブレーキではありません、違いはちょっと話しが長くなるので止めときますが上で述べたDSにインボードブレーキが除外されるのも同じ理由です。

駆動時は?
アンチ力は駆動力がアームを回す力ですから駆動力がなければアンチ力もないのです、ですから後輪駆動車にフロントアンチリフトはないし、前輪駆動車にリヤアンチスクォートはないのです。
もちろん4輪駆動ならアンチリフトとアンチスクォートの両方発生します。

ちなみに駆動の時の仮想アームはスイングアーム回転中心からホイール中心を結んだ線です、駆動力はホイール中心を押すイメージとなります。


しつこく言っておきますがアンチジオメトリーは姿勢の話で荷重移動の話じゃないですからね。


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