第28回

28. < スーパーバイクは加速の限界に達した? シミュレーション >

前回で説明した式はその時その時の瞬間の加速度や荷重です、シミュレーションにするには瞬間瞬間を繋げて時間経過による変化を求めていかないといけません。
大分前にも説明しましたがシミュレーションっていうものは微小時間ごとの状態を計算してそれを積分していきます、でもべつに微分方程式とか使いません。
微小時間Δt(例えば1/100秒)ごとに計算して、加速度ってのは時間当たりの速度の変化ですから加速度xΔt がΔt 分の速度変化、速度xΔt がΔt 分の進んだ距離 ってな感じです、難しいですねーでもこの感じが掴めるといろんな時間シミュレーションができるようになります、やってることはどんなシミュレーションでも同じですから。

さて今回の計算の手順を図にしました、一番上の行が初期値と言われるものです、ある時刻の「速度」「rpm」「トルク」「駆動力」「ドラグ」「加速度」の順に並んでします。
最初の「速度」が分かればギヤ比特性とタイヤ半径から「rpm」が求まり{A}、「rpm」が分かればエンジン特性から「トルク」が求まります{B}、あとは前回の式を使って「駆動力」「ドラグ」「加速度」が求まります。

「加速度」が求まればもうシメタもんです。 その「加速度」にΔt を掛けて元の速度に足せばΔt 秒後の速度です。後は上の計算の繰り返しです。
そうやってΔt 秒後、Δt 秒後って計算を続けていくといつしかシミュレーションの出来がりです、計算数が多いだけでやってることは大して難しくありません。
計算はエクセルとかマトラブがやってくれます、ぜひ自分でやってみてください。 自分でやってみると理解度がグンと上がること間違いなしです。

計算を繰り返して「距離」が400mになったら計算終了です。

そうやって計算したのが右下の図です、実際には回転上限でシフトアップしてギヤ比を変えたり、クラッチミートを入れたりしてますが基本は上の説明の通りです。

できたー、じゃあパワー違いで計算してみましょう、とはまだなりません、この計算では最初から最後まで全開全力加速です、現実にはホイールスピンもするしウィリーもしますからいつも全開というわけにはいきません。
それが今回の検証の要ですから、そこのロジックを入れて次の回でパワー違いの比較をしてみましょう。


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