他人のために尽くしなさいということです。つまり、自分のためだけでなく、世のため人のために尽くしなさいということです。


一生懸命働くという意味です、この「一生懸命働く」ということが、実
は心を磨き、魂を磨く最もい方法なのです。京セラという会社を潰し
てはならない、従業員を路頭に迷わせてはならないという思いか
ら、当時は、「精進」という言葉など知りませんでしたが、夜を日に
継いで一生懸命に働きました。「情けは人の為ならず」といいます
か、従業員のためと思って、一生懸命にがんばってきたことが、何
のことはない、それは私自身のためでもあったのです。一生懸命
働くということは、今現在を生き抜くためだけでなく、自分自身を高
めていることでもあるのです。
戒律を守ることです。これはしてはいけません、あれはしてはいけ
ませんとお釈迦様が説かれていることは、何も難しいことではあり
ません。たとえば、貪欲であってはいけません。他人のものを盗ん
ではいけません。不正なことをしてはいけません。そういうことを、
お釈迦様は説いておられるのです。
堪え忍ぶという意味です。
我々が生きている間に遭遇するあらゆる現象は、すべて一定して
いない。今日良いことがあったと思ったら、明日は大変な目にあっ
たりする。つまり人生は「諸行無常」であるということを教えてくださ
っています。波乱万丈こそが人生というものであり、「諸行無常であ
るがゆえに、人生は苦なり」とも、お釈迦様はおっしゃっています。
その苦しい人生を堪え忍んでいくのが「忍辱」なのです。
我々は生きていくなかで、腹を立てたり、怒ったりと、心の状態が荒
荒しくなるときがあります。荒荒しい心では、人間性を高めていくこ
とはできませんから、心を鎮めるために座禅を組みなさいという教
えなのです。現代人は、座禅を組む時間などないかもしれません。
しかし、座禅を組まないにしても、心を鎮めて今日一日のことを、静
かに考える時間ぐらい元ことができると思います。そういうことでい
いのだと思います。
今述べてきた布施(ふせ)、持戒(じかい)、精進(しょうじん)、忍辱
(にんにく)、禅定(ぜんじょう)、の五つのことにつとめれば、智慧
(ちえ)が出てくると、お釈迦様は説いておられるのです。
智慧は宇宙全体を司る智慧、すなわち原理原則のことです。
智慧に至れば不安になることもない。六波羅蜜はそういうことを説
いているのです。


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