もう一つの北海道4daysラリーレポート

 前号でお送りした「SSER北海道4DAYSラリー参戦記のレポート KTM厚木&チームBOC」
は楽しんでいただけたでしょうか。参加された皆さんの熱い走りと気持ちが所々に感じられ
るレポートをお送りしましたが、今回はムルティストラーダ1200エンデューロで参戦した私
(土谷)個人のレポートを少々、お送りいたします。良いこと悪いこと、楽しかったこと辛かっ
たこと…。読んで頂けたら嬉しいです。
 オープニングとエピローグは、すでに掲載済みなので、本番当日のレポートを以前のメン
バーの方のレポートと合わせて、お読みください。

北海道4DAYS Day-1
 朝7時、前泊した旅館を出発し、スタート地である芦別市スターライトホテルの会場へ。小雨が降りだす中、会場に到着し、参加登録書類忘れで最終通知書のコピーを制作(ここが大事!)であることをスタッフに告知したが、メモされただけお咎めなし。携帯品、預け持ち物、車検、全て問題なくクリア。
 バイクがパルクフェルメに並ぶ。この時は一時的に大粒の雨も。
 大会のオープニングセレモニーで、山田轍さん不在、菅原義正さんシルクウェイラリー参加の為欠場、最高齢(失礼)の長谷見さんが挨拶します。
 13:30 ラリースタート。雨は上がり、最初の林道は二車線幅のフラットダート。西口さん近藤さんらと快調に飛ばす。数本の林道を通過後、解りにくい分岐でスタッフも迷子。スタート前のブリーフィングでコースディレクターの春木さんの注意点にもあったが、ほぼ全員を間違えており、少し戻り、チュルヌタコースへ進入。ここで空気圧を1.6Mpaまで落します。
 早坂さんの後に続くが、20m先で転倒。後続の松木さんに起こすのを手伝ってもらい先へ。3km程のチュルコースが続き、これ以上の転倒はしなかったが、DOAマザー牧場以来の地獄を垣間見た気がした。その先のCP到着後は、普通のダートに戻り、マイペースで進みます。
 ゴール直前の1stSS(約10.6km)少し雨も強くなってきたが、合羽を着ずに突入。日の落ちかけた林道では、LEDヘッドライトとコーナリングライトとフォグランプで視界は確保で出来ていたが、なかなか飛ばしきれない。自分なりにも飛ばしたつもりでも順位とゼッケン番号は一緒だった。通過時間15分、トップは9分弱。どれだけ飛ばしているんだか…。
 SSゴール地が宿泊地であり、サービステントがあり、サポートをしてくれている水出さんがチェーンに給油し、マシンのチェックを簡単にしてもらいパルクフェルメに収納。宿でビールを片手に、夜半のSSリザルト発表で盛り上がりも最高潮。

北海道4DAYS Day-2
 宿泊地前の林道がSSスタートゲート。昨日のSSを逆走であり、汗をかくほどの暑さでしたがSSは快調に通過。その後は北海道らしい、フラットでロングな林道を快適に飛ばす。フラットなストレートでは、メーター読みで129kmの速度を2回確認。でも130kmまでは届かず残念。トラコン切ってエンジンパワーをミディアムにすれば行けたであろうか。現状はエンデューロノーマルモード(LOWパワー(100PS)のトラコンありセッティング)で走行。
 CPは海岸線砂防林を抜けた海沿いであり、程よく絞まっている砂のスラローム。走行ラインこそ外せないが、左右に振りながらオホーツク海を眺める快適ダート。
 その後は、北へ進路を向けて進行し、宗谷岬手前でワインディングの素晴らしい丘陵地をライディング。右に曲がる分岐では、白い砂利(貝殻らしい)のフラットダート(日本最北端のダートに違いない)を3km、舗装路出て7kmで、日本最北端 宗谷岬へ到着。辻さん、西口さん、近藤さんの4人で記念撮影。思えば遠くへ来たもんだ!
 その後は辻さんと2人で舗装路リエゾンを100km近く走り、本日2本目のSSへ。路面はフラット、コンディションも悪くないが、安全をとってそつなく通過。タイムも順位もほぼ変わらず、無理はしない。
 今日のゴール地に到着すると、スタッフが明日の最初のGSが休みと言う事で、15km先のGSまで給油に行くことに。今夜はタイヤ交換をお願いする事もあり、自分、西口さん、近藤さんの3名をジェット洗車機で泥を落としてから、ビバーク地へ戻る。早速、西口さんがタイヤ交換を実施し、自分は簡単なメンテを行っている内に、西口さんのリアタイヤ交換が終り自分の番に。この為の買ってきた36口サイズのメガネレンチを使用。長さ50cm、重さ1.2kgの黒色工具を使う時が来た。外す時にトルク感を確認しホイールナットを外し、ABSセンサー、ブレーキパットを外した後にホイールが外せる。
 サポートメカニックのKTM厚木の水出さんもドカティーは触るのが始めてとも言ったが、KTM1290ADVと同じ仕様とのことで作業はテキパキ。ムルティーはチューブレスホイールでリム幅が有るため脱着は苦労していたが、チューブを入れないで済むため、気遣いは少ないという。
 近藤さん、齋田さんの軽度の転倒修理を終えて、辻さんのリアナンバープレート修理に取りかかる。リアタイヤがストロークし沈んだときにリフレクターとナンバープレートに当り、内側に巻き込んでいたらしい。リフレクターステーは堅いため戻すのを断念。ナンバープレートのみプライヤーで戻し、見えないリフレターを自分の張り付けタイプの物(予備品)を、テールバッグに貼って対応。990ADV-Sで参加の淳ちゃんは自力で前後タイヤ交換。お疲れ様でした。
 そんな折、主催者側の判断で、明日の雨予報が強く、急遽、コテージを借りられる事に。部屋割りはチーム毎に別けられてはいたが、近藤さんはテントを張り、私は水出さんとハイエースで車中泊。普段は大人しいはず(?)の水出さんではあったが、チームメンバーの車への荷物の置き方に立腹しキレる寸前? 後に残った早坂さんと3人で、ラリーに対する考え方に付いての熱く語りあいました。

   

北海道4DAYS Day-3
 予想通りの大粒の雨で始まった3日目の最初のSS。昨日の逆ルートであり、解っていても飛ばしきれないのが、ムルティ―の私の限界です。
 ともかく問題なくクリアーし、そのままのペースでリエゾン突入。舗装路・フラットダートを抜けた約100km地点、左に小学校が見え右側に見覚えのある建物が・・。そう、実の姉の家である。(住所も連絡先も覚えてなかっただけに奇跡の訪問) Uターンして家の前に入ると、ハーチャン(自身の娘と同歳)がおり、家族7人が総出で迎え。弟達は「モーターショーで見たバイクだ!」と感激!こんな田舎(スイマセン)でも男子達には憧れの存在なのだろう。5分程滞在したが先もあるので、ノンビリせずに本体と合流し、ラリー続行。
 雨も程よく振り、あちこちで林道が川のように水が流れ、ブーツの中まで浸水。その先で辻さんが深みで転倒。15cm程の流水でハンドルを取られたらしい。ムルティなら自重で問題ない所も、軽量車では水の抵抗は大きいのであろう。自分は水溜まりも避けずに進入、避けたときのチュル滑りの方が怖いからである。
 350km地点の本日2本目のSSは、クローズドエンデューロコースであるが、雨のため、ショートカットの周回コースのレイアウト。空気圧を1.5Mpa以下に下げてチャレンジ。途中までは順調に進めたが、溝にハンドルとられて転倒。と、その先を見ると、近藤さんが左の側溝に嵌まって立ち往生している。二人で力を合わせて、まずはコースを塞いで倒れているムルティーを起こして右端に寄せる。次に側溝に嵌まっている690EDのフロントタイヤを持ち上げて近藤さんが前方を引っ張り、エンジンを駆けて溝から脱出。お互い数分のタイムロスになったがSSはクリアー。またムルティーの右側には草と泥が大きくメイクアップされた。
 転倒ダメージは、ブレーキペダルの変形と右エンジンガードの中押しゆがみだけ。走行に問題はないので、タイムリミットを考えて、急いで最後のSSを目指す。この頃には雨も止み、上半身の合羽を脱いでの走行が出来て良かった。
 ラストのSSは、エンデューロコースヌタチュル後なだけに安心感は大きい。空気圧が少な目なのが気になったが、いつものマイペースででゴール。
 今日のゴール地のキャンプ場に着き、転倒時のダメージを再確認したが、「問題無し」と判断。各部の泥を落しとラジエターに詰まった泥をタイラップの切れ端でチョコチョコとツツキ落とし(1/4位は塞いでしまっていた)、今夜は始めての野営(テント泊)であるために、新規で買ったコット(高床式組立式簡易ベット)とエアマットのお陰で、夜中に降った雨に浸水する事なく熟睡。淳ちゃんの高級品には及ばないが、十分に役目は果たした。本日の順位はSS2で転倒・脱出に時間が掛かったため、3つ下がって総合42位であった。

  

北海道4DAYS Day-4
 ここまで来ると長かった準備期間と1200km以上の3日間の締め括りと思えるラストDay。
 最初のSSは、通例の通り逆ルートかと思いきや、昨日と同じ進行方向。一度走っているから皆のペースは上がっているようだが、私は変わらずマイペース。
 SS後を「メンバー皆で気持ち良く揃って走ろう!」と列になって走り出す。皆で走るのはいいがペースが落ちる。藪濃きシングルトラック林道では、自分が最後尾で、水流れと道一杯に蔽い被さってくる草木でペースがあげられず、転倒・スタックは命取りなになる為、慎重に7kmを走り抜けて皆の元に追い付いた。だいぶ待たせてしまっていたらしい。休憩もソコソコ今度は先頭に走り出すと、路面はだいぶ楽になり、ほどなくCP-1に到着。タイムリミットの12分前であった事、ワンミスでペナルティーものだ?
 林道を抜けきり、舗装路に出てガソリンを給油したが、タイムリミットを考えてバラで走ることに再変更。少人数なら追い越しも写真撮影も自由。この後のリエゾンは逆に時間が余り、コンビニ寄ってくつろぎ、グランドゴールに向けて進む。
 ラスト前の7kmのフラット林道(Day-1の最初のダートの逆走行)で、ミディアムパワーのトラコンOFFモードに切り替えてお遊びモード。アクセルレスポンス良さの156psとトラクションコントロール無しが薄い砂利の路面は、テールスライドしっぱなし。グングンする加速感は、ここまでセーブしてきたムルティストラーダの本来の姿を取り戻し、自分の今までのバイクコントロールを呼び戻した気持ちになれた。その代わりこの数キロだけでタイヤの山の角が無くなった事は言うまでもない。
 さてグランドゴールもすぐそこに。大会メイン会場のポディウムに到着・通過し、チェックカードを提出すると、やっと走り切った満足感に包まれた。ここまで走ってこられたのも、ムルティの車輛性能とクラブメンバーの励ましがあったから。
 荷物の片付けを行いながら閉会式まで過ごし、決して自慢出来る成績ではないが、完走メダルを受取り、式も修了。クラブでのトップはやはり西口さんであった。夕方からの懇親会では、皆がそれぞれ挨拶し、苦労の多かったアドベンチャークラスのメンバーが次々挨拶。順位では表せない大きな連帯感がありました。
 全ての公式行事を終えてから、チームメンバーは芦別市内の宿に戻り、昨年もお世話になったというママさんスナックでカラオケとラリー中のエピソード話題を振りながら、ラリー中の出来事に大いに盛り上がりました。