猩々山
私の実家はむつ市小川町(こがわまち)にあります。というわけで、祭にはもちろん
「二番山 小川町義勇組 猩々山(しょうじょうやま)」
にかだります(訳:参加します)。
前でご説明したように田名部祭では五台の山車の運行順序が決まっておりまして、「二番山」というのはその中で前から二番目に運行される山車ということですね。「小川町」は実家のある市内の町名です。「義勇組(ぎゆうぐみ)」というのはこの小川町の若い男衆(18歳〜39歳の男性)で形成される、主に祭や郷土芸能を管理・運営する集団の名称です。山車を持つ各町内にそれぞれの組があり、組の役職は任期が一年で、組の長を「組頭(くみとう)」、組頭の補佐を「副頭(ふくとう)」と呼びます。義勇組の場合、40歳になると組を退き、相談役として後進の育成に力を注ぐことになります。
さて「猩々山」ですが、これは義勇組の山車の名前です。「猩々」という中国の教化(人をよい方へ教え導くこと:旺文社国語辞典から)の神様を御神体としています。「猩々」という言葉は「赤・紅」を表す言葉ですが、その名のとおり猩々様は顔も身体も真っ赤な色をしていて、胸の高さに持ち上げた両手で、やはり真っ赤な柄杓(ひしゃく)を一つ持っています。
こういった外見や柄杓のせいで、この神様は実に様々な解釈をされてきました。
例えば「この神様は“酒飲みの神様”だんだ。手に持った柄杓でごんごん酒飲むして、顔も身体も真っ赤だべ。さ、わいども神様ど一緒に飲むべし!」と、自分達が大酒を飲むのにこじつけたり、例えば「この神様は“火消しの神様”だんだ。顔も身体も真っ赤だのは、あれは火を現わしてらんだ。手に持った柄杓で水ばかげで、火ば消すんだど!」と自分達の山車の神様の勇猛果敢な様を誇らしげに語ったりします。
そうして自分達も神様と一緒に酒を飲み、神様と一緒に勇ましい気持ちになりつつ、山車の綱を引っ張るのです。
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