月央高校、正式には月央女子高等学校。今年も桜が舞い散る中で、この高校も他校と同じように入学式が行われていた。入学式はつつがなく進んでいた。その中に瑠璃菊を始め、備前姉妹、更紗の姿もあった。
 瑠璃菊も念願の高校に入った事で入学式はしっかりとした態度で臨んでいたのだが、桜華が入学生代表として挨拶をしたのは瑠璃菊も大いに驚いた。それ以外は特に問題になる事も無く、平穏無事に入学式が終わったのだった。
 それから瑠璃菊達はすぐに割り当てられたクラスへと戻っていった。すでに席は備前姉妹が確保していたみたいで、瑠璃菊達の席は窓際の一番後ろという絶好の位置を確保していた。その中で窓際、一番後ろに瑠璃菊。これは瑠璃菊を守ろうとした更紗の配慮である。
 瑠璃菊の事だから、誰かに言われたら席を変えかねないと更紗は思ったのだろう。だから瑠璃菊をその席に、そんな瑠璃菊の横に桃華、その前に桜華、そして瑠璃菊の前に更紗と誰も瑠璃菊に話し掛け辛い状況になっていた。それでも、備前姉妹はともかく、瑠璃菊にとっては更紗が近くに居る事は心強かった。
 他のクラスメイトもそれぞれ、勝手に席を決めると、ひとまずはそこに座って、皆が後で席替えがある物だと思っていただろう。それが無いと絶望するのは、その数十分後の事だった。
 さすがに高校生活の初日である。同じ中学来た者はそれぞれにグループになってるし、初対面でも話しかけやすい人はすでにグループとなって雑談をしている。それは瑠璃菊達も同じだった。まあ、備前姉妹が居るだけに、その会話は毒を含む物が多かった。なにより桜華はクラス全体を見回すと、あっさりと毒を吐く。
「それにしても……進学校だというのにうっとうしい程に人数が多いわね。本当に一塊にして窓から放り出したいぐらいだわ」
「桜姉、わざわざ下僕を減らすような発言はしないの」
「二人とも、人権という物を知ってる」
 そんな会話を聞きながら瑠璃菊は苦笑いするしかなかった。さすがに備前姉妹の毒が他人に吐かれると自分ではどうする事もできない事がやっと分かってきたようだ。そんな瑠璃菊を巻き込むかのように桜華は瑠璃菊にも話を振ってくる。
「え〜、瑠璃だって、さすがにこれだけの人数はうっとうしいと思うよね?」
「思いませんよ。桜華さんこそ、高校生活初日なんですから、大人しくしててくださいよ」
 そんな瑠璃菊の言葉に珍しく桜華が動いて瑠璃菊の口を横に軽く引っ張る。
「私は子供じゃないわよ。そんな事を言うのはこの口か、この口か〜」
「おうしゃさん、しゃめてくしゃさしゃいよ〜」
 口を引っ張られて抗議の声を上げる瑠璃菊。それでも桜華は瑠璃菊の口を引っ張るのを気に入ったのか、それほどまで瑠璃のほっぺたが柔らかったのか、桜華は瑠璃の口を引っ張っては戻すのを繰り返した。すっかり瑠璃菊は桜華の玩具になっているようだ。そんな二人を尻目に更紗が桃華に話しかける。
「ところで桃華、桜華はまたやるつもりなの?」
 そんな事を聞かれた桃華は溜息交じりで答える。
「更紗、それは愚問という物よ。桜姉の事だから絶対にやるに決まってるじゃない」
 桃華の答えを聞いて更紗は少し疲れたように頬杖を付くと、そのまま呆れた顔で桃華との話を続ける。
「でも先生によっては絶対に阻止されるんじゃない。なにしろ中学では……あれだったし。絶対にこの学校にも桜華の事は先生達に知られてるでしょ」
「でしょうね。まあ、その程度の事で桜姉が諦めるとは思えないし。どんな手段を使っても絶対にやるわよ。まあ、篭絡とか脅迫とか手段はいろいろとあるしね」
「桃華……お願いだから穏便にね」
「それは担任になる先生次第ね。まあ、今の教師なんて堕落してるから、いつでも蹴落とせるだけに楽だけどね」
「桃華、一応先生なんだから、それなりの態度で接するようにね」
「何々、何の話をしてるの?」
 どうやら瑠璃を玩具にするのに飽きたのだろう。桜華が二人の会話に入ってきた、そんな桜華の横で瑠璃菊は涙目で頬を優しく撫でているのであった。
 介入してきた桜華の姿を見て桃華と更紗は桜華に向けて溜息を付く、それが桜華に気に食わなかったのだろう。余計に介入してきて、手が付けられなくなる前に更紗が桜華も会話に入れる事にした。
「桜華がここでもやるのかって話してたのよ」
「やるって……どれを?」
 どうやら桜華には心当たりがあり過ぎるのだろう、すぐにどれかは分からなかった。そんな桜華に桃華が補足を入れる。
「桜姉が今年も権力を手にして、権力以上の事をするかって話よ」
「あ〜、その事……もちろんするわよ」
「何か今、凄い発言が聞こえたんですけどっ!」
 今まで桜華の玩具になっていた瑠璃菊が、ここぞとばかりに突っ込みを入れてきた。まあ、備前姉妹の話を聞いてれば突っ込みたくなる気持ちも分かるだろう。そんな瑠璃菊に向かって更紗は瑠璃菊の肩に優しく手を置くと、優しく語り掛けるのだった。
「大丈夫よ、瑠璃。今年はまだマシだから」
「それってどういう意味ですかっ! 来年は更に酷い事になるんですかっ!」
「……まあ、瑠璃……慣れれば大丈夫」
「更紗さん、フォローになってないですよっ!」
 そんな会話をする瑠璃菊と更紗。そこに桃華が更に追い込みを掛けようとするが、そんな時だった。突如として教室の扉が開くと教師と思われる大人が入ってきて、教壇に荷物を置くと辺りを見回し、それから黒板に向かって何かを書くのだった。
 この教師の乱入で瑠璃達の会話も中断、他のクラスメイトもそれぞれの席に付くのだった。そして教師は振り向くと、瑠璃は思わず、この人が教師なのかと疑問に思ってしまった。それは他のクラスメイトも一緒だろう。
 なにしろ入ってきた教師と思われる人物は、一応それなりの服を着ているが、着方が凄くだらしなかった。シャツはズレているし、ジャケットなんてかなりずり落ちていた。更に言うなら黒くて長い髪が乱れており、どう見てもセットしてきたとは思えない程に髪が乱れている。とてもではないが、絶対に綺麗な先生とは言えない女性だ。
 そんな人が入ってきたのだ。しかも教壇になって黒板に、たぶんその人の名前が書かれている。これはどう見ても、この人がクラスの担任なのだろうと瑠璃は理解した。
 そんな担任が黒板に書いた自分の名前を軽く二、三回叩くと自己紹介を始めた。
「え〜、そんな訳で、私がこのクラスを受け持つ事になった霧島怜子(きりしまれいこ)だ。とりあえず一年間よろしく」
 そんな簡単な挨拶を済ますと、怜子は教室の隅にあったパイプ椅子を持ってくると、それに腰を掛けてとんでもない事を言い出した。
「じゃあ、めんどうだし、学級委員をやりたいやつは手を上げろ」
 挨拶もそこそこに連絡事項も無しに、すぐに学級委員を決めようとする怜子。そんな怜子を見てクラス中が思った『この人、やる気零だ〜』と、まあ、あんな姿を見せられたうえに、今ではパイプ椅子にもたれかかりながら学級委員を決めようとしているのだ。どう見ても、教師として担任として、やる気が感じられない。
 だが担任は担任である。その言葉は絶対であり、ここで学級委員を決めなければいけなくなった。当然の事ながら誰一人として手を上げる事無く、クラス中がざわめく……と誰もが思っただろう。だが、クラスでただ一人、思いっきり手を上げている人物が居たのだ。だから自然とその人物にクラス中の視線が集まり、怜子もクラス名簿を見ながら手を上げた人物に問い掛ける。
「えっと……とりあえず自己紹介してくれ」
 確かめる事すら放棄したっ! 瑠璃菊は思わず心の中でそう突っ込んでしまった。その間にも桜華は立ち上がると堂々と自分の名前を名乗る。
「私は備前桜華です。そんな訳で、このクラスは私が全部仕切ります。異論がある人はすぐに処刑台に立ちなさい」
 異論すら認めない気だっ! 桜華の言葉に思わず口に出して突っ込みそうになる瑠璃菊。それでも今はホームルーム中……だと思われる時間だ。だから口に出す事だけは、何とか抑え込んだ。
 そんな桜華の自己紹介も終わり、怜子は困ったようにボールペンで頭を掻きながら独り言を呟く。
「あ〜、お前が備前姉か……一応上からはお前達に学級委員や生徒会に関わらせるなと言われてるんだよな〜」
 そんな事を呟く怜子だが、意外と声が大きかったのか、怜子の言葉にクラス中がざわつき始める。そして瑠璃菊も前に居る更紗に話しかけるのだった。
「更紗さん、なんか桜華さんと桃華さんは先生達に疎まれているようですけど、何かあったんですか?」
 そんな事を更紗に尋ねる瑠璃菊。その質問に対して更紗は溜息を付くと、疲れた表情で後ろの瑠璃菊に振り返るのだった。
「たぶん中学の時にやった事が先生達に伝わってるんでしょうね〜。もしかしたら教育委員会にも伝わってる可能性もあるし、学校側としては桜華と桃華には学級委員とかはやらせたくは無いんでしょ」
「桜華さんと桃華さんは中学の時に何かやってたんですか?」
 そんな瑠璃菊の質問に更紗は完全に椅子を後ろに向けて完全に怜子を無視する状態に座り直すと話を続けてきた。なにしろ今では怜子の発言でクラス中がざわめきだしている状態だ。その中で更紗がそんな事をしても誰一人として気に留める者は居なかった。
「桜華は中学の時に学級委員と生徒会長をやってるのよ。桃華も同じく学級委員と副生徒会長をやってたんだけどね」
「へぇ〜、それは意外ですね」
 瑠璃菊は思った事をそのまま口にした。なにしろ備前姉妹の性格から言えば、そうした役員からは無縁の存在に思えるのが当然だろう。それなのに更紗から、そんな事を聞かされれば瑠璃菊で無くても意外に思うだろう。けれども、当の更紗は疲れた顔で更に話を続けてきた。
「それで、私が生徒会会計をやらされたのよね〜。まあ、会計と言っても、ほとんどが二人のフォローなんだけどね」
「いったい、どんな生徒会だったんですか?」
 思わずそんな事を尋ねる瑠璃菊に更紗は瑠璃菊の机に頬杖を付きながら、気だるそうに答えてきた。
「そんなの決まってるじゃない、なにしろ桜華が生徒会長なのよ。桜華は自分に都合良く、校則を消したり、変更させたり、または作ったり、その他にも生徒会長の枠を超えて嫌な先生を遠くに飛ばした事もあったわね」
 ……桜華さん……いったい生徒会長の権力をどこまで行使したんですか。思わず、そんな事を思ってしまう瑠璃菊。それもしかたないだろう、なにしろ桜華は権力を持った途端に学校を我が物顔で自分に都合が良いように作り変えてしまったのだから。
 そんな桜華だからこそ、教師達でも話題にならないはずが無い。むしろ教育委員会も動き出しても不思議ではないのだが、桜華がどうやったかは瑠璃菊にはまったく検討が付かないが、どうにかして自分にとって邪魔な者の動きを封じたのだろう。
 そんな風に考えると桜華が学級委員として立候補したのも納得が行くし、怜子が立候補した桜華にはっきりとした態度をみせないのも、そのためだろう。だが意外な事に怜子はもの凄い事を言い出してきた。
「まあ、他に立候補も無いし……お前でいいか、めんどくさいし」
 容認したっ! というか、この先生やる気どころか面倒な事を全て放り投げだしてる。そんな事を突っ込みそうになる瑠璃菊。だが、その前に桜華が怜子の言葉を聞いて、すぐに行動に出たからこそ、瑠璃菊には口を出す隙を与えなかったのだ。
 怜子はパイプ椅子を教室の窓際までどけると教壇を桜華に任せた。そんな桜華に怜子はやる気が無さそうな声で話し掛けるのだった。
「じゃあ、備前姉、他の役員や係りを決めておいてくれ」
 役目を放棄したっ! 怜子の態度に思わず、そう突っ込みたくなるが相手はあくまでも担任の先生。だからいくらだらしなくても瑠璃菊には突っ込む事が出来なかった。その間にも教壇に立った桜華が桃華を思いっきり指差してきた。
「じゃあ桃華、副学級委員に任命。それから更紗は何となく風紀委員、瑠璃は雰囲気から図書委員ね」
 という感じで桜華は見た目と雰囲気だけで次々と役員と係りを決めて行くのだった。そして副学級委員となった桃華は無言で立ち上がると、桜華の後ろに立って決まった役員を次々と黒板に書いて行くのだった。
 そんな状態で次々に役員が決まって行く。
「あなたは見掛けが体育会系だから体育祭委員、そこのあなたは眼鏡をしているから文化祭委員ね」
 と誰の意見も聞く事無く、次々と委員と係りを決めて行く桜華。その後ろで黙々と桃華が決まった役員を黒板に書いて行く。もちろん、そんな事をしていればクラスメイトから抗議の声が上がるのが当然と言えるだろう。
「ちょっと、いくらなんでも勝手に決めないでよねっ!」
「そうよ、私達にも自分で選ぶ権利があるわよっ!」
 そんな抗議の声が次々と上がる中、桜華は思いっきり空気を吸い込むと、出せるだけの声で大きく叫んだ。
「今すぐ口をガムテープで塞げ、ミジンコ以下の分子どもがっ!」
 そんな桜華の叫び声で教室が一気に静かになる。その中で瑠璃菊だけが苦笑いしながら、心の中で桜華に突っ込むのであった。桜華さん……私達は生物以下の存在ですか? そんな突っ込みをする瑠璃菊に対して、こういう事態には慣れているであろう更紗は何事もなかったように、椅子を前に戻して、再び自分の机に両肘を突いて両方の手で頬杖を付いて事の成り行きを見守っていた。
 そして桜華の毒と宣言が更に続く。
「私以外の誰もが学級委員に立候補しなかったとは、学級委員は私という事、それはつまり……このクラスのルールは私という事よっ! だから、このクラスに居る限りは私に従いなさい、それがあなた達が唯一出来る事よ。それが嫌なら、すぐに退学届けを書いて私に出しなさいっ!」
 そんな言葉を口にする桜華。さすがにそんな宣言を堂々と聞かされてはクラスの誰もが口を出すのをためらった。というか、この状態で桜華に逆らえるほどの気概と権力を持ったクラスメイトが居なかったからだ。だからだろう、クラスの視線が自然と担任である怜子に集ったのは。
 怜子も桜華の横暴にクラスの視線が自分に集まったのを感じたのだろう。怜子はめんどくさそうにボールペンで頭を掻きながら桜華に向かって話しかける。
「あ〜、とりあえず、備前姉」
「なんですか、やる気ゼロの零(れい)ちゃん」
 桜華の代わりに桃華が毒を持ったそんな返答を返す。どうやら桃華が完全に怜子を抑え込もうというのだろう。だが怜子は意外な事を口にする。
「あ〜、そのあだ名は良いとしてな。ついでだから係りが決まったら、このプリントを皆に配ってくれ」
 本当にやる気ゼロだっ! 怜子の言葉にそんな突っ込みを入れたくなる瑠璃菊。けど、それは瑠璃菊だけでは無いだろう。備前姉妹と更紗以外がそんな事を思っただろう。まさか、担任がここまでやる気が無いとは誰も思わなかったし、桜華という暴君が出てくる事も誰も予想が出来なかった事だろう。だが怜子が桜華を学級委員として認めてしまったからには、今更誰かにどうする事も出来ない。だからこそクラス中が葬式のように暗い雰囲気に包まれる中、桜華は更紗と瑠璃菊を呼び寄せる。
 更紗と一緒に溜息交じりで桜華の元へ向かう瑠璃菊。一方の更紗は慣れているのだろう、平然とこれが普通のように桜華の元へ行くのだった。そして桜華が二人に指示を出す。
「じゃあ、二人とも、先生からプリントを貰って皆に配って」
 ……桜華さん……本当に暴君ですね。そんな事を思いながら怜子の下へ向かう二人。それからプリントを受け取ると、更紗は手際良く、瑠璃菊は戸惑いながらもプリントを全員に配るのだった。
 そして全員にプリントが行き渡ると怜子が口を開いてきた。
「あ〜、とりあえず、今渡したのが、明日からの予定と高校生活での注意事項だ。そんな訳で備前姉と妹、このプリントについても皆に説明してやってくれ」
 本当にやる気が無いですね〜。すでに瑠璃菊も諦めたのか、慣れたのか怜子の態度にも、その程度の事しか思わなくなっていた。
 それでも、何処にでも権力に逆らう強気な者が居る者だ。その人が席替えについて行って欲しいと言ってくるのだが、瑠璃菊達は最善の席をすでに確保しているのだ。だから桜華がそんな意見を受け入れるわけが無かった。だから自然と視線が担任である怜子に集中する。担任の怜子が席替えをすると言えば、いくら桜華でも反論は出来ないだろうと皆が思っているようだ。
 だが怜子は桃華から、やる気ゼロの零ちゃんとあだ名が勝手に付けられているほどだ。だから怜子はめんどくさそうにボールペンで頭を掻きながら席替えについて口を開くのだった。
「あ〜、めんどくさいし。今年一年はその席で良いんじゃないか」
 やっぱりめんどくさいんですね〜。怜子の言葉を聞いて、そんな感想を持つ瑠璃菊。まあ、瑠璃菊の環境順応能力が上がっていてもおかしくは無い。なにしろ、あの備前姉妹と行動を共にしているのだ。自然と順応能力についても体性が付くというものだろう。
 そして席替えを言い出した生徒は怜子がそう言ったために引き下がるしかなかった。だが瑠璃菊はしっかりと目にしていた。桜華の横に立っている桃華が密かに口元に笑みを浮かべているのを。どうやら桃華は怜子が扱い易い先生だと判断したようだ。まあ、怜子の性格から考えても桃華がそんな事を考えても不思議では無いし、桜華としても怜子が担任なら、すでに全ての決定権を自分が持っていると自覚しているだろう。だからこそ、桜華は我が物顔でクラスを仕切るのだった。
 それから桜華は怜子に言われたとおりにプリントについて勝手に説明する。もちろん、自分に都合が良いように、その間にもすっかり仲間に引き込まれた瑠璃菊は仕方なく、更紗と一緒に備前姉妹の手伝いをしている。これで瑠璃菊も備前姉妹と同様な目で見られるのは決まりだろうと瑠璃菊は少し泣きたくなってきた。
 そんな事もあり、クラスの委員と係り、そして席が決まり。すっかり桜華体制となったクラスは桜華の物となり、桜華は我が物顔でクラスを仕切る。そんな光景を見ながら瑠璃菊は、この先は本当にどうなるのだろうと、今更ながらに高校生活に更なる不安を感じているの。
 桜華さ〜ん、ほどほどにしてくださいよ〜。そんな事を心の中で祈りつつ、高校生活の初日を迎える瑠璃菊だった。この先に待ち受けているのが不安だけしかなくとも、瑠璃菊は泣きそうな顔でそう祈るしかなかったのだ。





                                      後書き


 さてさて、久しぶりに書いた夏炉冬扇でしたけど、如何でしたでしょうか。楽しんで頂けたのなら幸いです。
 そんな訳で……なんか……いつもにも増して長くなったな〜。私としてはここまで長くするつもりは無かったんだけどな〜。いつの間にか長くなってました。まあ……いつもの事だよね。
 という事で今回は新キャラが登場しましたね。そう、担任の先生である怜子。先生でありながら、やる気がゼロ。そして桜華達の中学での大盤振る舞い、桜華達は中学の時から目立っていたようですね。
 そんな桜華達と一緒の高校生活を送る事になった瑠璃菊ですが……次回は更に酷い扱いを受けるでしょうね〜。まあ、次回がいつになるかは未だに分からないけどね。まあ、気が向いたら、また書きますね〜。
 さてさて、そんな訳で、実は言うと本当はもっと短くする予定だったんだよね〜。けどさ、入学式の後に桜華達が会話を始めた物だから、ついつい長くなってしまいました。まあ、入学式を一気に飛ばして、会話も飛ばして怜子を登場させてもよかったんだけどね。ちょっとした前フリが必要かな〜、と思ったら、こんなにも長くなりました。そんな訳で、長くなった夏炉冬扇を読んで頂いた方はありがとうございます。
 そんな訳で、話の区切りがついたところで締めますね。
 ではでは、ここまで読んでくださりありがとうございました。出来れば、私のホームページに上がっている小説もよろしくお願いします。
 以上、書類が届かないと市役所に行けないよ、タバコがもう無くなるよ〜、と今日はいろいろと待たされる事が多そうな葵夢幻でした。
夏炉冬扇
     第三話



                                             葵夢幻