1998年 1年生山行 山行記

筆者 M・Y (1年生)

9月4日 <1日目>

 9月のはじめに予定されていた山行は接近した台風4号の影響で9月の4日、5日に延期になった。結局、4号は東に進路を変え日本列島には上陸しなかった。とは、後になって言えることで、当初は延期になるのが当然の状況であった。

 この日朝9時にJR高尾駅に集合の予定。5人のメンバーは予定どおり集合し一路列車で塩山駅に向かう。大月駅で一度乗り換えをして塩山駅に着く。そこからはタクシーで乾徳山の登山口に向かう。

 乾徳山登山口に着き昼食をとり、いよいよ登山を開始する。今回は1年生のみの参加ということで全員がローテーションで先頭を歩くことになる。先頭の一番手はサブリーダーであるM君だ。M君は始めオーバーペースで歩きF先生から指摘を受ける。M君の話によると、先頭は後続のメンバーが自分のペースを遅いと思っているのではないかという心配にかられ、ついついペースを上げてしまったという。次の先頭は僕(Y)であった。M君の感想を参考にして、後続のメンバーを気にせずに自分のペースで自己中心的に歩く。一度水場で休憩を取り、幕営予定地まで先頭を務める。まあまあのペースで歩けたと思う。先人の忠告は重要だと思う。この積み重ねがパーティ全体のレベルアップに繋がるのだろう。

 幕営地に着きテントを張り夕食の支度にかかる。1日目の夕食は焼き蕎麦である。メンバーは今までの上級生との山行でもう調理は手慣れたものである。味の方はF先生に「美味い」と言わしめただけのことはあった。油の代わりに入れたマーガリンが意外な隠し味になったようだ。

 夕食の後片付けをおえて次の日の行動水を得るために室瀬君と僕とで水場に向かう。その途中で鹿の親子に遭遇する。おそらく僕らと同じ様に水場に来たのだろう。こういう体験はワンゲル部だからこそ出来る貴重なものだと思う。得した気分と感動を胸に幕営地までもどりそのまま床に就く。ミーティングで明日の起床は3時、行動開始5時となっている。皆さっさと寝た。



9月5日
<2日目>

 朝3時に予定通り起床。ライト・エスパースに4人だと寝返りがうてないとわかる。少し重くなるがジャンボ・エスパースを使っても良いと思う。快適な睡眠は重要だ。

 行動開始まで2時間と限られているので早速朝食の準備を始める。朝食はホットドッグとスープである。外がまだ暗いのでテント内で調理となる。鍋にはコッヘラーをつける。朝に温かいものというのは良いものだと思う。僕は朝は食が細いのだが一日の行動の事を考えて全て平らげる。朝食後、撤収作業開始。5時前までに全ての作業を終了する。少人数の行動は小回りが利くので行動が機敏なのだ。

 予定通り5時に行動開始。まず始めに乾徳山の頂上を目指す。この日の最初の先頭はN・N君である。歩きはじめから良いペースであった。休憩を挟んで2本目、先頭はN君である。標高が高くなるに連れて岩場が増える。山頂の手前から鎖場が3回ほどある。ほぼ直角では? と思われる斜面を鎖を掴んで腕の力を頼りによじ登る。登りきって改めて下を見ると、よくもまあこんな所を登れたものだと思う。最後の鎖場をこんな調子でやっと登り切ると乾徳山の山頂であった。目の前に山頂が開けたときの達成感は登山の一つの醍醐味ではないかと思う。N・N君はよくこんな岩場を先頭をきって登ったものだと感心する。山頂でしばらく休憩。高い山でも低い山でも山頂からの眺望は爽快なものだと思う。

 乾徳山山頂を出発し黒金山の山頂まで縦走する。先頭はその間の2本ともF先生であった。地面が湿っていて、柔らかくとても歩きやすい道であった。縦走の2本目はきりよく黒金山頂に着こうということで50分以上の歩行となった。みんな顔に疲れが見える。山頂で昼食を食べる。昼食は菓子パンと魚肉ソーセージであった。山頂自体にはガスは懸かっていなかったが正面に見える国師岳がガスに包まれて見えなかった。しかし山頂からのパノラマを楽しみながらの昼食はとても贅沢なものに思われた。暫く休憩をしてから記念撮影をして出発となる。

 黒金山からの下り、2本目では笹の密生地でルートファインディングを誤り何度も道をはずれる。足の感覚で道を判断するそうだが、なかなか難しいことだと思う。3本目はとても急な斜面を一気に下る。メンバーは何回も転んだ。予想以上に長い下りの疲労と急な傾斜がかさなった。森林軌道跡に出た後は観光客の姿がいっきに増える。道も良くなりいっきに速度を上げて歩く。せっかく西沢渓谷の脇を歩くのだからもう少しゆったりと歩いきたかったとも思う。軌道跡に入ってから2本目で西沢渓谷入口バス停に着く。タクシーで塩山駅までゆき、解散となる。

 今回の山行は1年生のみの参加で色々な新発見をする事が出来た。少人数であったので行動が機敏に出来、時間に余裕ができたのがよかった。全員が先頭を体験できたこともよかった。良いことの多い充実した山行だったと思う。今後この体験をワンゲル部の活動に生かしていきたい。



《「稜線」第20号(1998年度)所載》

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