1997年 冬季山行 山行記

筆者 D・K (1年生)

12月12日

 11月の秋季第2回山行が終わってから久しぶりの山行である。今回の山行は初めての日帰り山行で、少し楽しみであった。ただ一つ不安だったのは、どれだけ寒いのかということだった。秋季第2回山行のときは、休憩して止まっていたくないほど寒いところもあっただけに、12月はもっと寒いかなあと思った。

 朝、8:10に高尾に集合。でも、やはりSが遅刻してきた。ミーティングのときも「始発かなー」と言っていたが、千葉から出てくるのはたいへんのようだ。計画の列車を1本かえることになった。しかし、到着したSの顔には反省の色は見られない。さすがSだ。SにはEPIガスのペナルティが科せられた。さらに、富士吉田駅からタクシーで不動ノ湯まで行くことに変更された。これでお金が余計にかかることになった。僕は1000円多く持ってきていてどうやら足りそうだが、他の人は足りるのだろうか?

 不動ノ湯に着き、体操を始める。空を見上げると、気持ちのいいほどの快晴である。出発前の不安ほど寒くなく、むしろ歩けばすぐに暑くなり、半袖でも大丈夫そうだと思った。

 11:10、歩行開始。1本目はずっと車も通れそうな舗装された広い道であったが、急な登り坂である。結構速いペースで一気に登る。平地を歩くような感じで登るので、かなりキツイ。もう少しでバテそうだった。しかし、歩きながらも、周りは開けていて、富士山や、下界にある富士吉田市をとてもきれいに見ることができた。1時間45分のところを50分で太権道峠に着く。峠では、ハンググライダーと思われることをしていた。しかし、見たところ、ガケのような急な坂からどのようにして飛び立つのか、疑問に思った。

 ここからようやく下が土の山道に入り、ようやく山に来たなあという気がしてきた。このまま杓子山山頂まで行ってしまいそうな雰囲気であったが、Oさんが体調不良を訴え、rest を入れる。その後、すぐ出発し、アッッという間に山頂に着いてしまった。朝、K先生にもらったプリントの図ではもう少しはげしい登りのような気がしていたので、ちょっと肩すかしをくらったように思えた。山頂は360度の展望が可能で、雪に覆われた富士が裾野まで見られた。こんなに大きな富士山をじっくり見たことはない。じっくり展望を楽しんだ。

 そういえば、5月に2泊3日に行った山中湖も見えたなあ……。そうこうしているうちにお湯が沸いて、カップラーメンと弁当を食べる。山頂でお弁当を食べ、しかもサブザック行動だと遠足を思い出す。なんとも懐かしい。そういえば、小学校のころ高尾山の600mってむちゃくちゃ高いなあと思っていたが、ワンゲルに入って、高尾山って600mなんだ、低いねえと感じることがおもしろい。

 長めにとった山頂での昼食タイムも終わり、再び歩行開始。霜がとけたのか、足元がぐちゃぐちゃで歩きづらい。それでも尾根をずっと進むので、速度が速い。何度かヒヤッとする場面があった。鹿留山までは時間通りに着く。鹿留山の山頂は木が茂っていて、展望は全くなかったが、静かでいいところだ。写真だけですぐに出発。そろそろバスの発車時刻を気にしだす時間帯である。どうやら15:25は無理らしい。(結局、この15:25のバスに乗ることができたけれど。)鹿留山分岐から一気に下る。かなり急な下りだった。速いペースだったので、走っているようなところもあった。

 立ノ塚峠を過ぎた辺りから次第にゆるやかになり始め、最後の分岐点に到着。ここら辺りは舗装はされていないものの、明らかに車が入ってきている跡があった。下がやわらかい土で、霜がとけたこの土は完璧なドロ状態でドロはねがひどかった。周りにはススキの枯れたものがたくさん生えていた。秋の一番きれいなときに来てみたくなった。いつもの1泊山行では、下りが終わるころは膝がかなりヤバイ状況になって、震えが止まらなくなるのだが、今回の山行は、下りの時間が短いのか行程が楽なのかわからないが、かなり元気だ。普段の山行でも常に余裕が持てるぐらい体力や筋力をつけたいものだ。土の道も終わりに近づくと、林業を営んでいる人かどうかわからないが、多くの人々に会った。しかし、林の中にゴミがたくさんあった。こんなところに捨てるなんて……と少しムッとした。

 15:25のバスの時間が迫る。無理かと思われていたバスにうまくいけば間に合いそうなのだ。舗装された一般道に出ると走り出す。先頭の人がバスの到着と同時にバスを止めることができ、乗車することができた。

 今回の山行はかなりコースタイムを縮めた。なんと約4時間半の行程を3時間ぐらいにしてしまった。これじゃ本当に、山行というよりハイキングや遠足といった感じがする。しかし、いつもの山行では味わうことのできないものもあったし、なにより楽しかった。こういう山行もいいものだと思う。帰りのバスの中で、僕はテレビ朝日のある番組の中で出てくるロケ地が下山した忍野村にあるということなので探してみたが、結局見つからなかった。それだけが心残りとなった……。



《「稜線」第20号(1998年度)所載》

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