1997年 秋季第1回山行 山行記

筆者 T・S (1年生)

 この秋季第1回山行は、3年生引退後の初の山行としてかなり重要なものであるが、それだけに不安も多かった。ただ、あまり大変なコースではないので、僕はゆっくり紅葉を楽しむ気で山へ出かけた。

10月18日(土)

 行きの中央本線で、地元のおばさん方と話をした。実は、そのおばさん方は山登りのベテランで、小金沢連嶺には何度も登ったことがあるらしく、僕らのルートのことを詳しく説明してくれた。僕は、福ちゃん荘とF先生に何か関係があるのではと恐れていたが、ないことが分かり、ほっとした。

 タクシーで福ちゃん荘に着いた。山小屋はとてもきれいで、テント場は木に囲まれ、落ち葉が敷きつめられていた。とてもよい山小屋ではあったが、周囲に蜘蛛がたくさんいたのが気になった。それがS・Nには不快(恐怖)であるらしく、近づいてくる蜘蛛をすごい勢いではねのけていた。

 夕食の炊き込み御飯はなかなかおいしく、明日のインスタントラーメンにも期待がかかる。これも、「米の巨匠」と呼ばれるT・N君のおかげであった。



10月19日(日)


 翌日、みんなに起こされると、あまりの寒さに思わずくしゃみが出た。寒いのを我慢し、インスタントラーメンを作る。僕だけなぜかラーメンスープの素がなく、不満はあったが、あたたかいラーメンのおかげで少しは元気が出た。

 福ちゃん荘を6:00に出発。空気が冷たく、いくら歩いてもあたたまらなかった。

 CLは、山頂だから休憩したり、見晴らしが良いから休憩するということはなく、しっかり50分歩いたら休憩を取るようにしていたようだった。しかし、僕には山頂を素通りすることは少し悔しかった。

 今回の山は笹やぶがあると聞いていたが、本当だった。笹は至る所に生えており、時々自分の背丈ほどあるものもあった。笹やぶの中を歩く時は、下の石が見えず、何度も転びそうになった。前の方から「石があるぞ」という声が聞こえてくるが、その石がどこにあるのかも分からない。しかも、笹は露で濡れており、本当にやっかいなものだった。

 小金沢山で写真を撮り、そこから1本行った所で昼食を取った。パンと魚肉ソーセージの組み合わせはなかなかおいしかったが、個人的には果物の缶詰もほしい。しかし、あと登らなければならないのは黒岳だけであったので、気持ちは軽かった。

 そこから黒岳を通り、湯ノ沢峠を経て桑西へたどり着いた。

 下りてから分かったことだが、僕らの歩行時間はコースタイムより1時間も短かったのだ。桑西で解散式をしたが、バスまでの時間はかなり暇であった。しかし、みんな疲れていたらしく、その間ずっと寝ている人も多かった。

 今回の山行は天気が良く、山もきれいで、とても良かった。しかし、「もの足りない」とか「大菩薩嶺にも行けばよかった」という意見も多く、充実感や達成感が少ない山行になってしまったかもしれない。ただ、個人的には、「秋の山を楽しむ」という目標は達成できたような気がする。



《「稜線」第20号(1998年度)所載》

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