1997年 7月山行 山行記

筆者 D・T (3年生)

7月20日(日) <1日目>

 ワンゲルの活動として、すっかり定着してしまった感のある7月山行だが、今回は奥秩父・甲武信ガ岳に行った。とりあえず、夏合宿へ向けての最終調整および訓練として、という名目だが、これはどうも6月山行の目的と重複しているような気がする。まあ、6月山行からはずいぶん日も経っているし(実際、結構体力は衰えていた)、それも仕方ないのだろう。

 さて、目的地の甲武信ガ岳へは、色々とコースが考えられるが、今回は千曲川源流側からという、他のコースに比べれば割りと短めのコースで一気に登り切ってしまうらしい。まだ多少未熟な1年生が多いこともあるし、これはなかなかに正しい選択だろう。それに、川をさかのぼって行くというのは、結構渋そうに思える。

 山行当日は、世間一般が連休1日目ということもあって、新宿発の特急もずいぶん混雑していた。とりあえず、一人でも遅れたら相当まずそうな状況だったので、余裕を持って出てきたら、皆に驚かれた。やはり、人間日頃の行いが大切だと思う。

 無事全員がそろったので、予定どおりの電車に乗ることができたのだが、そこでふと思ったことがある。我々のような大所帯のパーティーだと、何をするにも周囲に非常に迷惑をかけている様で仕方がない。別に電車に限ったことではなくて、例えばキャンプ場や、歩行中でさえも結構邪魔な存在だろう、我々は。しかしそういう意識を持った部員はあまりいないように見える。考えなければならない問題ではないだろうか。何も「隅っこに立ってろ」というわけではないが、電車の中で遠足気分ではしゃぐのはまずいだろう。

 とまあちよっと考え事をしたりもしてしまったが、とくに何事もなく、信濃川上ではバスが1台しかないために先の問題に再び直面することになったが(これは計画のミスなんだろうなあ)、一応予定通りにいったのでよしとしたい。

 予定通り、梓山から歩行を開始することになった。実は、新歓山行に参加できなかったせいで、まだ二隊制の経験がなかった。正直に言えば結構楽しみだったのだが、こうして山行を終えてふりかえってみれば、色々問題も見えてくる。当面はこのシステムでいくのならば、また考えねばならない問題ではある。

 最初の1時間ほどの歩行は車道歩きだったので、のんびりとしたものだったが、そこで、問題の一つである二隊のペース配分のずれ、ということが起こった。結局はリーダー如何なのだが、皆が気を遣うべきだろう。自分ももうちょっと気を付ければよかった。

 その後の甲武信ガ岳までの登りは、特別きついものでもなく、道もしっかりしていたので、ゆっくり歩くことができた。千曲川と並んで歩くというのも、一層のんびりしてよい。 甲武信ガ岳から甲武信小屋まではすぐなので、無事幕営地に着くことができた。調理に少し時間がかかりすぎたが、こうして何事もなく、1日目が終わった。


7月21日(月) <2日目>

 2日目は、既に今回の山行の最大の目的である(筈の)甲武信ガ岳登頂を果たしてはいるが、まだ雁坂峠越えが残っているので、なかなかハードそうである。が、前日特にバテたりした者もないので、大丈夫だろうと思う。

 甲武信小屋から、木賊山、破風山等を経て、雁坂峠まで順調に歩を進める。こういった尾根歩きこそが、夏合宿前の訓練としては正しいだろう。普段の一泊山行では、尾根を歩ききる達成感はなかなか味わえない。個人的にも尾根歩きは好きだし。

 それと対照的に、下りは嫌いだが、だからといって下らないわけにいかないところが辛い。私個人は、下らなくていい山があったらどんなにいいか、と思っているのだが。

 道は、特に述べるべき点もない、ごく普通の道だったのだが、見た限りでは、1年生の下り方が非常に不安定で、見ていてヒヤリとさせられるときがある(もっとも私自身それ程大したものを持っているわけではないが)。こういった事は、次第に慣れていくものだろうが、できれば一刻も早く慣れていただきたい。見ているほうが恐いので。

 今回の甲武信ガ岳では、展望は今一つだったように思えるが、やはりいい山だと思った。また、1年生にとっては、夏合宿前の適当な経験兼訓練となっただろう。7月山行は、恐らく今後も毎年行われるであろうが、今回は、かなり上手い選択だったろう。来年も頑張って下さい。



《「稜線」第19号(1997年度)所載》

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