1996年 秋季第1回山行 山行記

筆者 N・T (2年生)

10月19日(土) <1日目>  曇り

10月19日、20日、夏合宿以来2ヶ月半(僕だけは、夏合宿に参加しなかったので3ヶ月)ぶりの秋季第1回山行が櫛形山で行われた。

1日目(10月19日)。授業が終わり、慌ただしく上石神井駅へ向かった。通常どおり12:59発の拝島行きに乗り、15分程して萩山に着いた。ところが、いつも向かいに停車していて連絡する電車が、そこにいない。計画を立てた僕は非常に焦った。

20分弱待たされ、やっと来た国分寺行きの電車に乗った。国分寺に着いたのが、13:40。西武線から中央線まではかなり距離があり、しかも一度改札を出て、切符を買わなければならないため、高尾行きの電車に乗ったのは13:45だった。

 特急の立川発車時刻は13:55。国分寺・立川間は約8分。特急が同じホームに来れば間に合うが、もしホームが違ったら、ザックを背負い、人込みの階段を上り下りして移動するのに2分は短すぎる。皆にすぐ動けるよう準備しておくように言った。

 時計の秒が一つずつ増えていくのを睨みながら、僕は1秒でも早く着くことを祈った。立川に近づき、走る用意をして力んでいると、信号待ちのためか、電車が減速しだした。ここに至って、僕はまさに生きた心地がしなかった。しかし、電車は止まらず、少し速度を上げ、やっと立川駅に入った。

 ドアが開き、僕は真っ先に外へ出た。向かいの番線の電光掲示板を見ると、「13:55特急」と書いてあったので、僕はようやく落ち着くことができた。その後は順調に行き、午後4時半前にはグリーンロッジに到着した。

 キャンプ場の方へ歩いていくと、管理人が出てきて、いろいろと説明してくれた。地面は整えられていて、石もほとんどなく、木の長椅子と机が5、6組ずつ備え付けられていて、水場とトイレもしっかりしていた。しかも、幕場代が高校生1人50円と恐ろしく安く、全ての面で非常に使いやすいキャンプ場だった。

 設営を終え、食事の準備に取りかかったが、今回は新しい献立で少し手間取ったのと、EPIを1個忘れたため、夕食が出来上がった時には午後6時を越えていた。EPIの他にも、ペグ、小ナベの脚など、今回は忘れ物が多かった。

 しかし、その後の片付けは手際良くでき、午後7時半には就寝することができた。

 僕は装備を整理していたため午後8時少し前まで起きていたが、シュラフに入ると、1週間の睡眠不足のおかげで、すぐに深い眠りに落ちていった。



10月20日(日) <2日目>  曇り

 2日目(10月20日)。周りの人の声で目が覚め、時計を見ると5:00ちょうどだった。急いでシュラフを袋に詰め込んで外に出ると、既に何人かで湯を沸かす準備をしていた。

 前日のうちに、パンとスープを配ってあったので、すぐに用意ができ、手早く食べ終えた。サブザック行動で、キャンプ場に戻ってくるため、撤収する必要がなかったので、6:00ちょっと過ぎに出発できた。

 まず、北尾根入口まで15分程林道を歩いた。途中、東に向かって歩くところがあり、昇ってくる太陽の光がとても眩しかった。

 登山道に入ると、最初に多少急な登りがあったが、その後は緩やかな登りが続き、1時間もかからずに櫛形山林道とぶつかった。そこの指導標に「高尾」と書いてあったが、帰って地図をよく見ると、すぐ近くにそういう地名があり、あの高尾とは何の関係もなかった。

 再び登山道に入ると、すぐに脇に入っていく道と「5分⇒」というような指導標があった。僕は、これがみはらし平に行く道かな、と思ったが、前の方が全く止まる気配もなく進んでいってしまったので、言いそびれてしまった。後で考えると、やはりあそこがみはらし平だった。

 その後も、サブザックで身軽なのと、道がなだらかなため、どんどん登っていった。その間、道の両側にいろいろな木がはえていて、そのそれぞれに名前の書かれた標識が掛かっていたので、ゆっくり歩いて見ていったらおもしろいだろうと思った。

 また、少しきつい登りがあって、それを登りきると、黒い草が一面に広がる平地に出た。それがアヤメ平であることに気づくのに少し時間がかかった。ガイドブックに、7月には紫色の大群落に彩られると書いてあったので、10月にはなっているが、何かきれいなものが見られるだろうと思っていたのである。それが、本当に見渡すかぎり全て枯れ果て、真っ黒になっていて、不気味でさえあった。

 アヤメ平に着いたのは8:30ぐらいで、時間的にはまだ早かったが、空模様が怪しかったので、そこで昼食のラーメンを食べた。

 50分間休んだ後、再度歩き出した。すぐに裸山の山頂に着いた。なかなかの良い眺望で、紅葉もちらほらとあった。アヤメ平でもそうだったが、ここに登ってくる間に、何ヶ所か、道の両側にロープが張ってある所があった。自然の草地の中に、あの黄色と黒(もう色あせていたが)があるのは、あまり気分のいいものではない。自然を守るためなのだろうけれど、やはり不釣り合いである。また、そんなロープを張らなければいけなくしてしまう心ない人間のことを考えると、余計に腹が立った。

 裸山から櫛形山へは全く嘘みたいな登りで、みんな頂上に着いても「えっ、ここが!?」といった状況だった。三角点があるのがもう一つ先のピークだとわかったので、行ってみることにしたが、あまり下るので、諦めて引き返した。頂上は木に覆われていて、視界が全く開けていなかったので、写真を撮って、すぐに出発した。

 下りはなんとなくで歩いていたため、ほとんど何も覚えていないが、最後のほうで、伊奈ヶ湖が見えたのは印象に残っている。

 テントに戻り、少し休んで、撤収を始めた。バスが来るまであまりに時間があるので、結局、タクシーで帰ることになった。全ての準備ができたので、解散式をやってしまおうかと話していると、タクシーが3台駐車場に入ってきた。


《「稜線」第18号(1996年度)所載》

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