2024年 夏合宿 山行記

筆者 R・E (2年生)

7月29日 (月) 晴れ

 2024年度の夏合宿は3年生の不在及び実力不足によって、例年通りの縦走は行わず、サブザックでの山行という形になった。来年までに縦走ができるほどの実力を身に着けていきたいものである。

 新宿駅の南口で集合した際に、伊那市駅はICカードが使えないことが判明した。乗車券の購入などに時間をとられ、少し改札を通過するのが遅れてしまったのは、来年に向けての反省点である。

 伊那市駅からタクシー、バスと乗り継いで北沢峠に向かい、北沢峠から10分ほど歩いて長衛小屋に着いた。テントの設営途中に強風が吹いてきて、テントの設営が少し手間取ってしまった。慣れない環境でもてきぱきと行えるようにしたいと思った。

 夕食は牛丼とフルーツだった。調理にも炊飯にも特に支障は生じず、無事に1日目を終えることができた。



7月30日 (火) 晴れ曇り時々雨

 2日目の朝食はチキンラーメンであり、前回同様、上手に作ることができた。そこからてきぱきと準備を行い、予定よりも5分早く出ることができた。ここには1年生達の成長が伺えた。

 最初の35分程は非常に登りやすい道であった。しかし、仙水小屋から少し歩いたところが岩だらけの道になっており、どこを通るかの選択に非常に手間取ってしまった。このような道にも慣れていかなければと思った。

 仙水峠から駒津峰までは少し急な登りが続き、少しペースを落として歩いた。サブザックももちろん影響しているであろうが、1年生に疲れている者がいないのは成長であると思った。

 駒津峰に着くとすでにガスが出始めて、強風が吹いてきた。防寒をしっかり行い、気を付けながら甲斐駒ヶ岳に向かった。このあたりから段々と岩場が増えてきて、経験したことがないような岩場による下りや登りを強いられた。少し歩いていると、それまであった多少の草や木すら完全になくなり、森林限界を完全に超えた砂だらけの道が広がった。非常に登りにくく、道も分かりにくい地形であった。風による寒さやガスも影響して、今回の山行で一番つらいところとなった。

 山頂に着いたが、ガスで何も見えず、挙句の果てに風が吹き荒れていて、気温がとても低かった。長く居ても体温が下がるだけであると判断し、昼ご飯のロールパンを食べた後にすぐに下り始めた。

 しかし、この時に1年生の一人が防寒具と雨具をテントに置いたまま持ってきていなかったことが分かった。これはとても大きなミスであり、もっと早く気づいていたら即下山するレベルのものであった。このようなことをなくすためにも、準備は前日の夜にしっかり行えと注意するべきだと思った。

 先程登ってきた砂地の道はやはり下りの方が辛く、滑りやすい危険な下りであった。ガスにより道を間違えてしまったこともあったため、目を凝らして目印を見つけることを意識しようと思った。

 駒津峰に着いてからは非常に楽な下りが続いた。苦労したことや特筆して注意すべきとこともなく、コースタイムより若干早く下ることができた。

 長衛小屋に12時前に着き、皆でテント内で談笑しながら時間を過ごした。

 2日目の夕食は麻婆春雨とご飯、そして味噌汁であり、この日は1年生に夕食を作らせてみることになった。多少のアドバイスは入れたものの、問題なく調理を完了することができ、おいしいご飯を食べることができた。

 ミーティングでは、今日の防寒具の件を踏まえた反省が挙げられた、しっかり今日のうちに明日の準備をしておけと喝を入れ、2日目を終えた。


                                   筆者 K・O (2年生)


7月31日 (水)
 晴れ

 3日目の朝は3時に起床のはずだったが、昨日の疲れがあったのか、起きるのが少し遅れてしまい、お湯を沸かす際も手間取った。

 朝食は夏合宿定番のきつねうどんであった。昨日のチキンラーメンとは違い、1つのコッヘルでうどんを茹でたので片付けるのに時間がかかってしまい、行動開始が予定より遅れ、4時45分となってしまった。

 1本目は、まだ暗く、昨日の雨で木の根が濡れて足元が危なかったが、勾配も緩やかだったため非常に歩きやすく、三合目の少し手前まで進み、休憩をとった。

 2本目も勾配が緩やかで、15分ほどで四合目、その後10分ほどで大滝ノ頭とコースタイムよりも30分ほど早く進むことができた。

 大滝ノ頭から馬の背ヒュッテ方面に進み、しばらく進んだところで2回目の休憩をとった。薮沢を渡るところなど少し怖いところもあったが、それでも難なく進むことができた。

 3本目の途中、視界が開けて眺望が良いところがあったので、そこで少し写真を撮った。昨日は天候が荒れていて、眺望もあまり見ることがなかったので、何気ない山々の眺めでもとても価値があるものに感じられた。

 その後も薮沢小屋や馬の背ヒュッテとずんずん進んでいき、仙丈小屋が見える開けたところで休憩をとった。開けていることもあり、かなり下の方にある街並みを望むことができ、また、仙丈小屋までの道は緑に溢れていて、山の雄大さを感じることができた。

 4本目では仙丈小屋にすぐに辿り着き、トイレに行った後、仙丈ヶ岳まで登り、昼休憩をとった。昼食はカニパンと魚肉ソーセージだった。魚肉ソーセージは個人的にあまり好きなものではないが、カニパンはそれ自体の甘みもあり、美味しく食べることができた。

 昼食が終わった後は様々な写真を撮った。惜しいことに小仙丈方面はガスに覆われており、眺望を楽しめなかったが、他の方面ではしっかり楽しむことができた。
 また、様々な高原植物も見ることができ、とても満足できた。

 5本目では小仙丈に向かい、少しのアップダウンを経て辿り着いた。岩場こそあったものの去年の常念岳の下りや昨日の甲斐駒ヶ岳の岩場ほど危険なところはなく、危うげなく進むことができた。

 小仙丈についたところで少し早めの休憩を取った。相も変わらずガスに覆われていて視界が悪く、せっかくの眺望を楽しめないことを悲しみつつ、持ち込んだ軽食を食べた。

 6本目では小仙丈から大滝ノ頭までをぐんぐん下っていき、三合目まできたところで休憩をとった。昨日の雨で滑りやすくなっていて、少しヒヤリとする場面もあったが、怪我することもなく、三合目まで下ることができた。

 7本目は来た道なのですいすいと進んでいき、11時50分に長衛小屋に着いた。サブザックであることでの気楽さを噛み締めつつ、夕飯を作る16時までの暇な時間をゴロゴロして潰す。今日は晴れていたため、テントの中は暑く、あまり居心地が良くなかったため、日陰のあるところで休んでいた。

 16時になり調理を始める。調理とはいっても大変なのは炊飯係だけで、こちらはお湯を沸かし、フリーズドライの親子丼にかけるだけなので非常に簡単な仕事だ。

 フリーズドライは美味しく食べることができたが、量が少なく余った飯をどう食べるのかという問題が出たため、次回からはふりかけを持ち込むことを計画表に書いておこうと思った。

 夕食後、明日に向けてミーティングを終え、就寝する。就寝前、1年生のが何かを探していたが、明日はいつもより30分早い2時30に起きるため、あまり気にすることなく眠った。



8月1日 (木) 晴れ

 夏合宿の最終日、早めの起床だったが、みんなを起こし、素早くお湯を沸かす。最終日の朝飯はオートミールとインスタントスープで、味は問題なかったが、オートミールの量が問題で、少々物足りないものとなってしまった。

 食後、素早く片付けをして、アサヨ峰から戻ってきた時にすぐ撤収できるように荷物をまとめる。そして、サブザックを出して、すっかり準備できたところで事件は起きた。1年生のの雨具がなくなっていたのである。30分ほどテント内やザックの中を捜索したが見つからず、やむなく先生の判断で今日の行程は中止となった。

 バスが来る1時間前に撤収を始めることになり、撤収を終えて、北沢峠に移動した。北沢峠からは臨時便があり、想定よりも早く仙流荘についたところで解散式を行った。次に仙流荘に来るバスは17時のものしかなかったため、タクシーを呼ぶことになった。

 今回の夏合宿では学ぶことが多く、反省することも多かった。最後の最後で残念な結果になってしまったが、仙丈ヶ岳での眺望は素晴らしかった。体力面には問題がなかったため、秋からの山行では、自分たちの荷物の整理をしっかり行い、積極的に声掛けを行い、来年の夏合宿を悔いなく行えるようにしたい。


《「稜線」第45号(2024年度)所載》


 
仙丈ヶ岳山頂 



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