2023年 春季日帰り山行 山行記

筆者 R・N (2年生)

3月22日 (水) 快晴

 山行当日は小田原駅にて集合。1人集合場所をホームだと間違えており、全員集合は7時43分となった。集合は遅れてしまったものの、その後の行動には大きな支障は出ず、予定通りの電車に乗った。スイッチバックを繰り返す電車に揺られながらのおよそ1時間の電車移動を終え、強羅駅に到着。準備体操を終え、出発した。

 出発してから20分ほどは市街地を歩いた。市街地歩行の途中、長い階段を下りる場面があった。これから山に登っていくはずであるのに下へと下ってくのはとても新鮮だった。歩いていくうちに、街の風景は旅館街から住宅地へと変貌を遂げ、登山口へ到着し、ここから登山道歩きが始まった。

 登山道を歩いている途中、冬眠から目覚めたのであろうカエルを見つけた。春の訪れを感じさせた瞬間であった。自然と身を共にする山登りでは、このような出会いはありふれたものであるだろう。しかし、私はこの瞬間が山での両生類との初めての遭遇となったため、あのカエルは強く心に残っている。

 カエルとの遭遇後も足を止めることなく、尾根を目指して一行は歩みを進める。一度休憩をはさみ、強羅駅出発から1時間半後、尾根に到達、尾根歩きが始まった。尾根歩きも順調にこなし、明神ヶ岳に到着した。

 空の澄んだ晴れ模様であったため、とても良い景色を見渡せた。少し雲がかかっていたが、富士山もくっきり見えており、その見え方の美しさは引率の先生も「天気の変わりやすいこの時期ではなかなか見られない」というように目を見張るものがあった。頂上からはこれから向かう金時山、長尾山も見られた。まだまだ続く行程に備え、一行は明神ヶ岳で昼食をとった。写真撮影を済ませ、金時山に向けて歩行を再開した。

 出発すぐ後の歩行はとても気持ちの良いものであった。木の枝が曲がり、自然のトンネルのようになっていて日光を遮ってくれたり、地面に芝が生えていたりと歩きやすい。このような道が金時山までずっと続くといいな、そんな願いを心に抱きながら歩いた。

 しかし、この願いは早々に砕けることとなる。滑りやすい土の斜面の下りが始まった。滑りやすい斜面の下りは経験があるので問題なく下ることができたが、やはり歩きにくい。

 そして、追い打ちに暑さに苦しみ始める者が出始めた。斜面を下り終わってから矢倉沢峠までの道は広大なハコネダケの草原を刈って作られたものであり、風通しが悪かったためである。明神ヶ岳から矢倉沢峠までの道のりはなだらかなものではあったが、暑さのせいで思っていた以上に体力を消費することとなった。

 矢倉沢峠からは、金時山に向かって再び登りが始まる。金時山までの途中、私たちは男性二人組に話しかけられた。金時山までの登山道には50mおきに番号入りの標識があって、頂上には277番の標識があることを教えてもらった。早速、足元をのぞいてみると、274という数字の入った標識を発見。山頂まではもう少しだと自分を元気づけながら、山頂までの最後の登りを歩いていく。

 そして、金時山山頂に到着した。ここからも富士山の姿を確認できた。金時山では明神ヶ岳のように長居はせず、写真撮影を済ませ、下界に向けて歩行を開始した。順調に足を進め、長尾山に到着した。展望はなく、山頂の標識もなかったため、写真撮影は行わなかった。

 スピーディーに下山をこなしたおかげで、結果的にコースタイムより早い歩行時間で歩行終了場所である乙女口バス停に到着した。素早く下山することができた自分たちをねぎらうかのように、逃すと20分ほど待つことになるバスが私たちの到着後すぐに来てくれた。

 およそ30分バスに揺られ、解散場所である強羅駅に到着。解散式を駅前で行い、解散となった。

 今回の山行は、幾人かの人にとっては1月の冬2山行以来の少しブランクがある中での山行であったが、ダウンする者も出ず、よく歩くことができていた。しかし、冬季の山行を続けていて軽視していた暑さへの体の順応の不十分さを知らしめられた山行でもあった。


《「稜線」第44号(2023年度)所載》



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