2023年 秋季第2回山行 山行記

筆者 S・Y (2年生)

 この山行は、前回の秋1山行で見つかった課題をクリアするための、やり直しの要素が強い。今回の山行をなんとか良い形で終え、いかに技術や経験を春合宿以降へ繋げていけるかが勝負だった。また、今回の山行には、コロナ禍の影響で大菩薩に来たことがない3年の先輩方が、2日目の朝まで同行することになった。

11月4日(土) 〈1日目〉 晴れ

 12時50分に、上石神井駅に集合した。少し早い時間ではあったが、事前に会議で遅れると連絡をいただいたM先生以外は、全員が時間通りに集合することができた。

 12時58分発の列車に乗り、国分寺駅で中央線に乗り換え、さらに立川駅で特急かいじに乗車して、塩山駅に到着した。その後、駅南口から予約していたタクシーに乗り、福ちゃん荘へ向かった。車内で、少し前に大菩薩に来たことがあるというから色々話を聞いていると、運転手にちょうど目の前に見えるのが大菩薩嶺だと教えていただいた。市街地から見た大菩薩は、知名度に劣らない存在感があり、奥多摩や丹沢の山とは違った趣を感じた。

 15時45分福ちゃん荘着。16時からの気象通報に間に合うよう、急いでテント場利用の手続きを済ませ(予約を部活動団体でなく個人でしてしまっていたため、通常よりかかる時間が長くなってしまった)、私は天気図の作成、1年生はテントの設営に取り掛かった。

 ラジオを聴くのに必死で設営に注意を向けることができなかったが、開始から16分で完了させることができたとの報告を受け、安心する。ただ、決して早くはないため夏合宿に向け、より早いタイムを目指していきたい。

 食事と炊飯も1年生に任せ、引き続き天気図の作成を続けた。事前に直近の天気図を見てきたものの、知識不足に加え、聞き取れなかった箇所があり、作図に手間取ってしまった。ゴタゴタな状態で描かれた天気図の出来は当然芳しくなかった。中でも致命的だったのが、前線が高気圧の峰を通っていることだった。たまたまその前線は既に日本列島の東側にあり、今回は山行に混乱を与えるほどの事態には至らなかったが、天気図作成の練習はこまめに行わなければいけない。

 テントを出ると、食事がほとんど完成していた。前回参加しなかったがそれぞれ食事と炊飯を担当し、能力は未知数だったが、どちらも問題なくできていた。この代は食事に関して心配することはなさそうだと、テント設営に関してと同様に安心した。

 メニューは去年の春合宿で作っていた牛丼を選んだ。私が調理過程を見ていて知っていたというのもあるが、秋1山行の反省を踏まえて「先輩がやっていたことはできるようにならなければならない」という思いが強かった。
 食事の後、無事に先生も合流し、ミーティングを終え、20時に就寝した。



11月5日(日)
〈2日目〉 晴れ

 4時に起床後、朝食の調理に取り掛かる。朝食は秋1山行で失敗した棒ラーメンにした。

 なかなか着火しなかったガスが1つあったが、前回のトラブルを思い出し、すぐにガス缶を別のものに交換した。そのため、片方の鍋の沸騰が遅れてしまったのだが、それを待つ間にもう片方の鍋の火を消すのを忘れ、その鍋のスープが極端に少なくなってしまった。けれども、4時38分には食事を開始することができた。

 15分で片付けまで済ませ、撤収を開始した。ここでが生徒用テントのポール入れが見当たらないことに気づく。結果として、のザックに入っていたので紛失という最悪のケースは避けることができたが、探すのに人員を割かれて、撤収に多少手間取ってしまった。装備の管理に最大限の注意を向けるべきであると同時に、ここまでの過程で早朝にもかかわらずテント場で騒がしくしてしまった(解散式で先生にご指摘をいただいた)ので、テント場利用者への配慮は欠かしてはならないということを部員全体で共有しなければならない。

 私自身も、靴紐を結ばせる時間を取らずに準備体操を開始しようとしたり、ラジオ体操を覚えておらず、出発に時間をかけてしまったところは大いに反省しなければならない。

 トラブルを抱えつつも、なんとか5時40分に福ちゃん荘を出発した。1本目は昨年の夏合宿で合戦尾根を登ったときのペースを思い出して、それを強く意識して、歩行の速度を落とした。その甲斐あってか、雷岩まで1年生もバテることなく進むことができた。

 雷岩は眺望が開けていて、朝陽に映える富士山を拝むことができた。そこで休憩をとった後、大菩薩嶺をピストンし、それから大菩薩峠へ向かった。雷岩同様景色がよく、緩やかな道ということもあって、大変歩きやすかった。

 大菩薩峠での休憩の後、石丸峠を通り、8時14分に牛ノ寝通りに入った。紅葉がピークを迎え、大変美しかった。しかし、牛ノ寝通りは秋1山行での失敗を受けて変更されたルートであり、本来は来るはずではなかったと、自戒の念を込めて進んだ。

 途中までは歩きやすい下りが続いたものの、11時14分に通過した分岐の後は、一転して険しい道に変わった。先生方が持っていた古い地図にはない道であるため、新しい道であるらしく、倒木が2本も道を塞ぎ、歩きにくい道だった。途中で、指導のために先生がの後ろにつくこともあったが、誰も転倒せずに12時には林道に出ることができた。違う道を通ればよかったとも思ったが、結果としては、倒木への対処や滑りやすい道を歩く良い練習となった。

 12時25分に小菅の湯バス停に到着し、手早く解散式を済ませた後、12時40分発の奥多摩駅行のバスで部員は各自帰路へついた。

 今回の山行では秋1山行で露呈した多くの課題をクリアすることができた。私も、休憩時や歩行時の指示出しに慣れ、前回に比べて安定した山行となった。しかし、気象や撤収などにおいて改善すべき点が多数見つかったことを忘れてはならない。引き続き緊張感を保ち、次の冬山行に活かすことができるようにしたい。


《「稜線」第45号(2024年度)所載》



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