2024年 個人山行 伊豆ヶ岳 山行記

筆者 R・N (3年生)

1月25日 (木)  晴れ

 西吾野駅で電車のドアが開いたら、外はとんでもない寒さだった。思った寒さの何倍のものだった。これから暖かくなるという期待を胸に、まずは子ノ権現に向かい、歩行を始めた。

 初めは寒さの厳しい林道歩きであった。途中、湧水地を見つけた。ボコボコと音を立てながら水が出てくる。個人的には湧水地というのは地面から水がゆっくりと浸透してきて地上に現れるところだと思っていたが、そこでは大量の水が上品ではない音を出して出ていた。

 その先の登山道歩きは爽やかなものであった。ちょうど良い加減に太陽の光が差し込み、暖かく歩くことができた。

 駅を出発してからおよそ1時間半後、子ノ権現に到着した。子ノ権現一帯は神社の敷地になっていた。山としては珍しく、自動販売機や郵便のバイクを見た。学校遠足の際の注意書きの看板もあり、私たちが訪れた日のような平日でなければ、伊豆ヶ岳一帯はとても人の集まるところなのかもしれない。

 子ノ権現から、尾根歩きがスタートした。今回の尾根歩きは、寒さという観点で見ると1、2を争う過酷さであった。林道歩きの際に感じていた空気の寒さはもちろんのこと、ほぼ全ての時間吹き続けた強風に体を打たれながら、尾根を進んだ。

 高畑山まで歩いて、そこで昼食としたのだが、結果的に昼食時が一番風が強い時間帯だった。全てのものが飛んでいきそうだった。この過酷さがあってからか、昼休憩は個人山行では考えられない長さの15分で終わった。この時の風は、すぐにでも切り抜けるべきだという、命の危機さえを感じられるものであった。何らかの必要性に迫られれば、私たちは普段考えてもいないようなことができてしまうのであろうか。

 そして、伊豆ヶ岳山頂に到着。少しばかりの木の枝の邪魔はあったが、山頂からは関東平野に広がる家々や地平線が一望できた。1年前に行った景信山山頂からの景色を思い出した。

 山頂到着後も寒さに耐え続け、ついに正丸峠に到着。正丸峠には舗装路が整備されており、レストランも見つけることができ、この山の人気度が窺える。

 正丸峠からは落ち着いた暗い雰囲気を纏う沢沿いの登山道を下った。道の凍結に注意しながら進み、難なく目的地の正丸駅に到着した。

 私にとってこの山行はとにかく寒さに耐えるものであった。特に耳である。他の部分と比べて飛び出している部分であるため、ひどく冷える。耳まで隠れるようなニット帽のような被り物を身につけるべきだった。これまでは別に被らなくても良いだろうと考えていたが、今回の山行でその重要性を身をもって体感した。


《「稜線」第45号(2024年度)所載》



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