2023年 個人山行 大菩薩・小金沢連嶺 山行記

筆者 H・M (3年生)

 ワンゲルが代替わりして1回目の秋1山行が悲惨な事態になっていたと聞いたので、島田とともに秋2山行に一部同行した。

11月4日 (土) 〈1日目〉 晴れ

 今回は、上石神井駅に12時50分集合。特急の中で昼食を食べるため、いつもより余裕のある集合であった。集合して、小川と国分寺で乗り換えて、塩山に向かう。立川から特急に乗ることは驚いたが、気象の天気図を取りたいとのことだったので、意図があったのでよいと思った。

 塩山くらいまでは普通列車ばかりで行くので特急の速さに感動しつつ、昼食をとった。

 塩山で降りて、タクシーに乗って福ちゃん荘へ向かう。受付に若干戸惑ったものの、受付を終えてテントを張る。混雑を予想していたものの、そこまで混んでいなかったので安心した。

 北アルプスのテント場に比べて良心的な料金設定であるものの、予約するにはものを買う必要があり、おみやげにようかんを買った。

 テントを張る際に、グランドシートの向きがあることを失念しており90度回転して組み立ててしまっていたことに組み立て終わってから気が付いた。なくても問題ないので、グランドシートをテントの下から抜いた。

 後輩たちもテントを張るのはスムーズにできていたのでよかったと思う。

 大学のワンゲルでは3分でテントを張るのが目標だと先輩から聞いて、今のうちから手際よく張りたいと思う。

 初日は泊まるだけなのでわりあい余裕があり、食事前にゆったりした時間を過ごすことができた。

 食事に関しては島田がフライパンを買ったので、ワンゲルではできなかった焼肉をやることになった。ごはんに関しては、「佐藤のごはん」を湯煎することにした。今回は新しく買ったジェットボイルで「佐藤のごはん」を湯煎してみたが、ジェットボイルのすぐ沸騰する点が裏目に出てしまい、外側のごはんは温まったものの、内側には熱が通っておらず、固いごはんになってしまった。なんとか焼肉のたれでごまかして食べたものの、過去一番酷いごはんになってしまったのは反省である。

 食後にはジェットボイルでお湯を沸かし、紅茶を飲んだ。プラスチックの水筒に温かい飲み物を入れたため、持っているだけで手が温まった。

 その後、20時前には就寝した。2人だとテント内をザックで仕切ることができ、快適に寝ることができた。



11月5日(日) 〈2日目〉 晴れ

 4時に起床予定だったが少し早めに目が覚めて3時50分に起床した。

 ジェットボイルでお湯を沸かし、スープとパンを食べる。お湯が3分かからずに沸くので朝の時短につながる。ジェットボイルのメリットを最大限生かした。

 私が朝食を作っている間に島田がテント内を片付け、食べ終わったら、島田がペグなどを外している間にテントの中の物をすべて片付ける。そうすることによって朝の撤収時間を50分まで短縮できた。4時40分に出発することができ、予定より20分早く出発した。

 1本目は真っ暗で日の出が遅く、冬に近づいている実感が湧いた。

 後ろには甲府盆地の夜景もうっすら見え、どんどん足を進めていく。1本で雷岩に着いた。

 雷岩で休憩し、大菩薩嶺山頂をピストンするころには空が明るくなり、富士山も見ることができた。大菩薩峠の方では滝雲になっており、ガスで真っ白になっていた。雷岩から大菩薩峠の間ではガスの中を下っていく。

 大菩薩峠で2回目の休憩をして石丸峠に向かうが、急に登山道の雰囲気が変わり、樹林帯に突入した。なんだかいつもより足が重く感じたが、一歩一歩足を進めていく。いつもより防寒具などで荷物が増えてしまったので、そのしわ寄せが来たみたいだ。

 石丸峠の少し先でトレランの大会のルートと合流したようで、後ろからどんどんランナーが来るので譲りながら歩くため、自分たちの歩行のペースが乱れてしまった。彼らはトップ集団で、とにかく早くと、時間との闘いをしている人たちなので。譲る回数が多かった。トレランの大会があることでコースがわかりやすかったのは救いである。

 石丸峠から小金沢までは割と道が細いところがいくつかあり、アップダウンも多かったため、結構疲れた。小金沢山で休憩したのちは歩きやすかったので、快調に足を進める。

 小金沢山から20分で牛奥ノ雁ヶ原摺山に着いた。小金沢山では、ガスで見ることができなった富士山がくっきり見えたので、写真を何枚も撮影した。小金沢山と牛奥ノ雁ヶ原摺山は大月市が指定した秀麗富嶽十二景であり、その「2番山頂」である。秀麗富嶽十二景の山頂をすべて制覇したいと思っているので、この機会に登れてよかった。牛奥ノ雁ヶ原摺山で見た富士山はいつもよりもかっこよく見えて、感動した。

 牛奥ノ雁ヶ原摺山からの下りはとても下りやすく、トレランの人もいたため、斜面を駆け下りるように下れた。しかし鞍部からの登り返しがつらく息があがって、疲労もピークに達した。

 川胡桃沢ノ頭は開けていたので小休止をして、黒岳に向かう。先ほどよりは幾分急ではなかったので、着実に黒岳に向けて進む。トレランの真ん中の集団の登りはそれほど速くなく、下りでコースタイムをまいている感じであった。

 黒岳に着いて、湯ノ沢峠に向かって下っていく。牛奥ノ雁ヶ原摺山よりは下りづらく、慎重に下っていると後ろからトレランの人が高速で駆け降りてきて、下るのが速いなと思った。

 30分ぐらいで湯ノ沢峠に着いたが、トレランの大会の休憩場所になっていたので、多くの人がいた。しかし、避難小屋には誰もいなかったので、避難小屋で昼食休憩をとった。

 昼食時もジェットボイルのメリットの短い時間でお湯を沸かせることを生かして、アルファ米を食べた。予定では登山道で湯ノ沢峠登山口に下る予定であったが、道が荒廃しているとのことだったので、とても長い車道歩きをすることにした。

 湯ノ沢峠からバス停のあるやまと天目山温泉まで10キロ強の林道も黙々と歩く。もともと林道歩きが長いことを知っていたので、ソールが柔らかいローカットの靴で来て正解だったと思う。2時間半以上歩いて、バスの時刻ギリギリにやまと天目山温泉に着いた。バスで甲斐大和駅に向かい、中央本線で帰宅した。

 結果的に、湯ノ沢峠から湯ノ沢峠登山口まで90分車道歩きになったのは、調べが少し足りなかったと思うので、反省したい。


《「稜線」第45号(2024年度)所載》



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