2021年 春季山行 山行記
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筆者 A・K (3年生)
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緊急事態宣言が解除された後、約3か月ぶりに練習が再開された。私を含め多くの部員たちが自分の体力が無くなっていることを実感した中、その分練習に励み、この山行に備えた。この春季山行は私にとっては2回目の山行になる。久しぶりに山に登ることに、楽しみである気持ちと、不安な気持ちが同時に私の中に現れた。
4月2日(金)
今回、大岳山に登ると経験者である父に言ったら、「最初の階段は大変だぞ」と言われた。その言葉の真の意味を理解するのは、実際に登り始めてからになる。
7:45に拝島駅を出発し、8:42に奥多摩駅到着。電車の中から見える奥多摩の町や自然は、私にとってはとても新鮮で、とても綺麗に見えた。奥多摩駅に着いて、ラジオ体操をする。朝の奥多摩の気温は良い感じに涼しくて、とても心地が良かった。
8:59に第1回歩行開始。登り始めてすぐ、木の階段が私たちを待ち受けた。山の中ではよくある光景だし、登り始めが急なのは理解しているので、これが父の言う大変な階段なのかとずっと考えながら登っていた。
しかし、しばらく階段を登っていると、私たちはとんでもない光景を目にした。今まで私たちが登っていた階段とは比べ物にならないくらいの急勾配なまっすぐな石の階段。私は途中からさらに勾配が急になっている様子からサスケの反り立つ壁を思い出させられた。なるほど。これが父の言う大変な階段なのかと納得した。実際に登ると、意外と簡単──となることもなく、とても辛かった。長いし、急であり、この階段を登っている時間がこの山行で一番長く感じた。この辛さは私の練習不足故なのか、それとも実際にきついコースなのか。帰宅後に父に聞いたら、この階段で心を折られる人は何人もいるとのこと。ほかの人も、きついと感じていたみたいだった。
この階段の途中で3年生のGが体調不良になり、M先生と下山。9:19分から9:31まで第1回休憩をした後、9:34に私たちは愛宕神社の戦没者奉祠靖国の塔の前で、下山したM先生を待って、待機した。
10:15にM先生が到着され、第2回歩行再開。10:53に天聖神社を通過。天狗様の石像が置いてあり、近くに咲いてある花がとても美しかった。しかし、通過後の道はとても狭く、また高低差の激しいゴツゴツとした岩場を歩くことになった。山の中に梯子があるのを見たのは初めてなので、新鮮な体験となった。
11:05に第2回休憩後、11:15に第3回歩行開始。雲行きが怪しくなり、何回か濃霧のような環境下で歩くことになった。私自身、濃霧といった先が見えない環境をこの目で見るのが生まれて初めてであり、とても不思議な気分になった。
12:15に鋸山山頂に到着。昼食を開始した。とてもおなかがすいていた私は、おにぎり三個をあっと言う間に食べてしまったが、山頂の高度、天気の悪さも相まって、休憩中はとても肌寒く、ずっと震えていた。どうせ歩き始めたら暑くなるので、これ以上着こまなかったが、寒いのは苦手なので、とても辛かった。
12:38に第4回歩行開始。比較的ゆったりとした坂道を登っていき、中岩山を通過。13:29、大岳山山頂手前で第4回休憩。13:39に第5回歩行開始。山頂手前なだけあって、勾配がとても急で、何度か足をつりそうになった。そして、14:00、大岳山山頂に到着した。
天気は曇り。雨が降っていないだけましであったが、山頂からの景色はなかなか悪かった。記念撮影は非常に高いテンションで撮った気がするが、あまり記憶にない。
14:20に第6回歩行開始。下りるルートが本当に地味で、2回ほど道を間違えてしまった。最初にこのルートを見たときは「本気かよ」と思ったが、実際この先の道は過酷だった。あまり人が通らない上に勾配が急で、どこを踏んでも滑ってしまう。ところどころにある岩等を頼りに、ゆっくりと慎重に下りていった。しばらく下りていると、いつもの下山ルートらしい下りやすい道となった。
14:59に白倉分岐通過。15:12に第6回休憩。下りは全体的に急で、また靴擦れが起きてしまい、足の裏がとても痛かった。山頂で靴紐を結びなおすべきだったと後悔した。
15:22に第7回歩行開始。延々と曲がりくねる下山道を下っていき、16:08に白倉バス停に到着。近くで反省会をして、16:58発のバスに乗った。30分ほど乗っていたが、途中で寝てしまい、あっと言う間に武蔵五日市駅に到着したように感じた。そして、武蔵五日市駅で解散をした。
今回の山行は、私にとって久しぶりの山登りとなり、山を登る感覚を掴む良い機会となった。また、私は山登りの経験もあまり無かったので、今回の登山道がとても新鮮に感じ、良い経験となった。途中の視界の悪い環境の中で歩いたことや、非常に道の悪い下山道を下りたことは、私含め、全員の良い経験になったと思う。Gが体調不良でギブアップしてしまったが、2年生やほかの皆は特にばてる様子もなく、部活全体の体力の向上を体感した。
私自身が課題に感じたのは、下りのペースだ。バスの時間がシビアで、CLが少し急いでいたこともあったが、途中前の人との間隔が結構空いた場面があった。登りではそんなことは無かったので、私の下りへの苦手意識が、ペースを鈍らせたのだと感じた。下りで重要なのはバランス感覚としっかり地面を踏むことだと思っている。今後はそういったことを重点的に意識し、周りとペースを合わせて登山できるようになりたいと思った。
また、靴擦れのこと。普段から靴を慣らすことを怠っており、その結果、靴擦れを起こし、パーティにペースを合わせるのが難しくなった場面があった。登山において準備不足は命に係わる大変なことだ。今後はこのような準備不足が起こらないよう、細心の注意を払っていきたい。
そのほかは、部活全体の大きな課題点は見つからなかった。その分、自分の反省点が多く見つかったので、しっかり対策をして、今後に活かしていきたい。
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《「稜線」第42号(2021年度)所載》
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