2019年 冬季山行 山行記

筆者 K・S (2年生)

 2019年締めの登山は、この百蔵山への冬山行となった。これは引退した3年生の先輩が参加していただける最後の山行でもある。先輩にこの代でもやっていけると安心してもらおう、私はそう意気込みこの山行に向かっていた。

12月14日 (土)  快晴

 日帰りでの登山ということもあり、今回の集合は新宿駅に6時半であった。私自身は6時についたのだが、既に1人は到着していた。その後、続々と部員が到着してきたがどうも集まりが悪く、引率の先生がいないからか気が緩みすぎなのではないかと思ってしまった。

 特に、集合時間にすら間に合わなかった3年生の先輩と2年生のにはとても反省してもらいたい。はいつもの練習でも遅刻しがちであり、習慣が本番でも出でしまったのではないだろうか。人の振り見て我が振り直せという諺もあるので、我々も日ごろの習慣を見直すべきなのかと不意に感じてしまった。

 遅刻者が出た以外はおおむね順調で、スムーズに百蔵山の最寄り駅である猿橋駅へと到達できた。ここで、3年生の先輩の一人暮らしをしているお兄さんと遭遇した。さらに驚くことに、目指す山もルートも全て同じだったのだ。私は何か不思議な縁を覚えて仕方がなかった。

 そのようなこともあり、準備体操を済ませて歩行を8時36分に開始した。この日は幸いにも晴天で、すがすがしい気持ちで山に登ることができた。登山道に入るまでの道は傾斜があり、私は結構つらめなのではないかと感じた。ただ、部員たちはそのようなそぶりを見せずに楽々と登っていたので、部員の力量を見くびっていたなと内心反省したものだ。

 登山口到着までは30分程度となり、そこからはいつもの土の道であった。百蔵山の登山道は大きな石が少なく今までと比較しても、とても歩きやすい道だと感じられた。登山道中では朝の遅刻にあったような山への油断はなく、いい雰囲気で登れていた。

 そのような我々の雰囲気を認めてくれたのか、富士山も雲一つない姿でそびえており、登山中にとても美しい姿を望むことができた。これは歴代の山行の中でも一番といっていいほど綺麗であったので、山行の写真もぜひ見ていただきたい。

 そうして我々は山頂に10時17分に到着した。登山口から75分というペースで登ることができ、コースタイムが95分であることから、とてもいいペースでくることができたと言えるだろう。これはCLのが安定したペースを作ってくれたからこそできたことで、彼に感謝したい。

 冬山行の昼食は例年カップヌードルであり、今年も例に漏れずそうであった。私を含め部員全員はこの昼食を楽しみにしており、嬉々とした様子でお湯を沸かし始めていた。去年の反省を生かし、水を沸かす鍋を二つにするなど、工夫できたことはとても良かったであろう。

 この日は気温が高く、理想的な“極寒の中での熱々のカップヌードル”というシチュエーションではなかったが、快適な登山ができているので文句は言えまい。言ったら罰があたるというものである。ただ、今回の反省点としては昼食・記念撮影に1時間弱かかってしまったことであろう。これは主将としてもう少し全体を見るべきだという次への教訓を得ることができた。

 そうして、百蔵山を11時13分に出発した。山頂にたどり着いたとはいえ、次に向かう扇山の方が標高が高いため本番はこれからともいえる。特に百蔵山山頂直後の下りは滑りやすい上に急で何人かの部員が滑ってしまっていた。この何人に私が入っているのはとても反省すべき点だと感じている。とはいえ、転倒をしたものは1人もおらず、着実に部員の技術の向上がみられた。

 その後、素晴らしいことにペースの乱れもなく、13時5分に扇山山頂に到着した。先ほどの百蔵山での富士山への眺望がすばらしく、私は扇山での景色は少し物足りなさを感じてしまった。

 記念撮影・休憩をすませ、扇山を13時18分に出発した。事前ミーティングで不安のあった扇山からの登山道のチョイスだが、迷うこともなくスムーズな下山を行うことができた。ここでもCLの判断が早く、正確なものだと私は一人で感心させられていた。最終地点である鳥沢駅到着が14時58分であり、これもいいペースであった。

 今回の山行では総じて天気に恵まれ、とてもいい山行を行うことができた。それと同時に、山行中の部員間での油断も見られ、我々の課題として“緊張と油断”が見つかった。いい面でも、悪い面でも様々なものが発見できた、そのような山行であった。

 最後に、引退される3年生の先輩の総評をもって山行記を締めたいと思う。

 「長い間運動をしていなかった私の体は大変貧弱であり、山行前は一抹の不安を覚えていたものだが、恵まれた天候や成長した2年生、1年生のおかげで、私は体がボロボロになろうとも無事に山行を終えることができた。久方ぶりに見た山頂からの景色は恐ろしく綺麗であり、感動した。『大学に入ってからも山に登りたい。』そう思えるような山行であった。」


《「稜線」第42号(2021年度)所載》


     
百蔵山山頂から富士    百蔵山山頂にて
     
     
 百蔵山への登路で    扇山からの下山路で



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