2019年 7月山行 山行記

筆者 T・K (2年生)

 今回の7月山行は、甲武信ヶ岳に登った。去年の7月山行では瑞牆山金峰山に登ったが、あまり苦を感じることなく登山を楽しめた覚えがあった。しかし、今年はそう楽ではないだろうと考えていた。私は諸事情により休部していたので、今回の山行が今年度初の山行となったからだ。また、山行のたびに爪が割れていたので靴も買い換えた。このような不安要素により私は、気を引き締めていこうと決意を新たにした。

7月22日 〈1日目〉 曇り時々雨

 集合は、新宿駅JR南口だった。学院ワンダーフォーゲル部の集合場所として馴染みのある一本の柱に私は集合時間の20分程前に着いた。私としては十分に早い時間だと考えていたのだが、既に私以外の二年が到着していたことには驚いた。その後、まだ来ていない1年生2人を待ち、7時26分に全員が集合した。ギリギリではあったが、誰一人遅れなかったのは良かったと思う。

 特急に乗車し、その後の小海線では、下車する予定の駅がICカードを使えないとのことで変更となった。小海線から下車した際に私はICカードの残高が不足していたので、千円札を数枚チャージした。計画書を読み間違えていてこのようなこととなったのだが、皆を待たせてしまったので、今後はこのようなことがないよう注意する。

 タクシーから下車した時、私は車両の真ん中に座っていたが、後方に座ったYが激しく車酔いしたと話していた。幸いその後の歩行に影響はなかったようだが、今後はタクシーの座席位置にも考慮すべきことがあると感じた。

熊に注意の看板を横目に歩行を開始した。この日はほとんどが、登りであった。歩行を開始した直後、苔が非常に美しいところを通った。

 途中、雨具装着の指示が出た。非常に蒸し暑かったので、あまり雨具を着たくはなかったのだが、そうもいかない。山の天気はすぐに変わるというのですぐに雨具を装着した。

 水源地標付近の登りは急で、私は遅れをとりそうになったが、1年生が誰も遅れていないのを見ると今年の1年生の優秀さを感じた。

 甲武信ヶ岳山頂からは残念なことに何も見えなかった。ガスっていた。

 この日、3人の負傷者が出た。2人足をつり、もう1人は足場の悪いところで足を捻っていた。甲武信小屋に到着すると、足を捻った人には異常な疲労が見て取れたので心配になった。

 夕食は牛丼であった。私は食事係として調理をしたが、ガスになかなか火がつかない。の持ってきたマッチには非常に助かった。夏合宿までにチャッカマンを新しくする必要を感じた。味付けは、ちょうど良かったと思う。飯もよく炊けていて、美味しい牛丼となった。

 調理中、頭痛がするとが薬を飲んだが、顔が蒼白なので心配であった。幸い、翌日には良くなったようなので、安心した。しかし、標高が高いと高山病のような症状があるというので、夏合宿が心配だ。

 就寝の際、就寝時間が過ぎているのにもかかわらず静かにしなかった人がいたので、先生のお叱りをいただいた。私にも責任の一端があったので、夏合宿では注意したい。結局就寝時間が30分遅くなり、20時就寝となった。明日、悪天候とならないよう願った。



7月23日 〈2日目〉 晴れのち雨

 テント内に大きないびきをかく人がいた。驚くべきことに、昨夜、私が寝袋に入ろうとした時には既に大きないびきをかいていたのだ。それにより、夜中2回も起きてしまった。しかし、文句は言えない。私は去年、寝相の悪さで先輩に多大な迷惑をかけたのだ。

 朝4時に起床した時に、熟睡できなかった不安はあったが疲労はなかったのでよかった。朝食を準備している間にコース変更の旨を聞いた。コースが短くなったからと言って油断はできない。6時間はかかる道のりであった。

 気を引き締めながら朝食準備を終えた。メニューは、オニオンスープとRITZであった。私はこのメニューが朝食の中では一番好みだったので、嬉しい。去年の夏合宿で食べて以来のオニオンRITZは、やはり美味しかった。

 撤収を完了し歩行を開始した。最初は登りと下りが短く交互に続いた。私の前を昨日足を捻った人が歩いていたが、少し辛そうであった。結局、彼は賽の河原でエスケープすることとなった。

 その後、しばらく下ったのち、破風山の登りへと入った。道が狭く、朝露が大量に着いた草木をかき分けて進んだ。隊の後方を歩いた私でも結構濡れたので先頭の先輩の濡れ具合を考えると恐ろしい。

 昨日の水源地標より緩やかな道を無事登り終えて登頂したが、木に囲まれていて景色を楽しむことは叶わなかった。ここらへんから、後方は平らなところで急いで先頭に追いつくことが増えた。道が単調ではなくなったのだ。

 雁坂嶺付近で休憩を取った時に、が今回の山は岩場が多くて楽しいと言っていた。その通りだと思う。私も岩場が多い方が歩いていて楽しい。この休憩場所は開けていたので、景色が良かった。雲海が非常に美しかった。

 雁坂峠を通り、沢の音を聞きながら下っていった。林道の終点付近で再び苔の美しいところがあった。やはり苔はいい。苔が生えているか否かで森の美しさは大きく変わると思う。

 舗装道に入った。直後に雨が降り始めたので、雨具を装着した。私は、この時既にズボンが汗で結構濡れていたので、雨具は上のみ装着したが、これは大きな失敗であった。その後太ももの内側が蒸れたのだ。蒸れたのは、下山後であったが、蒸れた部分がひりひりと痛み歩くのが辛かった。

 その後、長めの1本を終え、休憩をとった。雨の中の休憩は寒く辛かった。

 休憩を終え歩行を再開してしばらくすると、道の駅の方向が書かれた分岐があった。看板に従って、舗装道を外れ、山道を下ると、道が二つに分かれた。方向がわからなかったので、先生の指示に従い、分岐まで戻り、別の道を行くことになったのだが、この時地図を広げていたのが、先輩と先生のみであった。私も地図を広げ考えるべきだったと思う。

 分岐に戻り、別の道を進んですぐに、もともとの道が正しかったことが判明した。私はA隊だったので折り返す際にB隊の人の顔を見たが、なかなかに蒼白であった。たしかに辛かったと思う。これによって1年生が夏合宿に来なくならないか心配だ。

 無事下山し、エスケープした人とも合流した。
 夏合宿では晴れることを願う。


《「稜線」第41号(2019年度)所載》



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