2018年 秋季第1回山行 山行記

筆者 M・K (2年生)

 夏合宿が終わってから3か月が経とうとしている頃、3年生の先輩方が引退し、私たち2年生が中心となり新体制で山行に臨んだ。今回は大菩薩、私にとっては初であり、また初のSLであったのでかなりの不安を抱えていた。

10月20日 (土) 〈1日目〉  雨

 4時間目の授業が終わり、私は準備をして学校を出た。当初は授業終了10分後の12時40分に集合する予定だったが、間に合わない人が多かったのだろう、45分に変更となった。私もギリギリに到着したので、余裕を持った行動を心掛けるようにしたいと思った。

 上石神井から萩山(当初は小川の予定であったが、乗り換えの関係で変更)まで行き、西武多摩湖線に乗り換えて国分寺に到着したのが13時24分。そして高尾まで行くと、塩山に着くまで1時間半ほどかかるということで、近頃少し疲れていたので車内で暫く眠った。13時20分に塩山に着き、タクシーで福ちゃん荘まで移動。私は助手席に乗り、同乗した1年生たちの楽し気な話を静かに聞いていた。自分も去年こんな感じだったなあと時の流れを感じていると、雨が降っていることに気づいた。

 タクシーから降りた時にはまだ弱かった雨は、幕営を開始するころにはまるで私たちを拒むかのようなひどく強い雨になっていた。幸いなことに一時的なもので、夕食の準備をする頃にはほぼ止んでいたのでほっとした。

 今夜の夕食はカレーライスだ。炊飯は水っぽくべたついていたり、底が焦げていたりしてしまったが、ルーをかけるとほぼ気にならず美味しく頂けた。炊飯に「改善の余地はない」と言い切れる時は来るのだろうか。

 19時12分にミーティングを始め、部員たちはみな夜中の寒さに不安を抱えつつ各々のテントに入った。かくいう私もであったが、隙間なく詰めると寒さを感じず、思いの外快適に眠ることができた。



10月21日 (日)
 〈2日目〉 晴れ

 目覚ましのアラームが鳴る。朝4時だ。いつもより寝覚めが良かった。起き上がると、私のテントの1年生たちは既に準備を始めていた。私も1年生を見習わねばならぬことがたくさんあるな、そう思いながら動き始める。

 朝食は夏合宿で多くの部員から好評を受けた棒ラーメン。少々味が濃いと感じたが、美味しいことに変わらないのですぐに食べ終わり、諸々の片づけに取り掛かった。5時25分に撤収を終了させ、出発の態勢を整えた。

 CLであるR・Kを先頭とするA隊が出発してから2、3分空けて私を先頭とするB隊は出発した。初めて先頭を歩くことに不安を感じながら進んでいく。そして、私は最初の失態を犯してしまった。唐松尾根と大菩薩峠の分岐で、本来のコースである唐松尾根ではなく、大菩薩峠の方に歩いて行ってしまったのだ。後ろから声をかけられて気づき、私はとても申し訳ない気持ちで一杯だった。完全に自分の確認不足であり、隊の士気を下げかねない行為だ。気を取り直して登り始めて暫くすると、後方からペースが速いとの指摘があった。自分ではそこまで速いという自覚はなかったため、今まで前を歩いていた人達の気持ちを実感した。

 雷岩で1回目の休憩をとる。他のB隊の人たちを見ると、そこまで消耗していないように見えた。日頃の運動の成果が出ていて良いと思った。次の歩行で写真撮影があるため、B隊もA隊と同じタイミングで出発した。6時58分に大菩薩嶺に到着し、写真撮影を終えて7時6分に再出発した。最初の1本で登りは大体終わっていたため、それほど苦労することもなく周りの紅く模様替えしつつある木々などの景色を堪能しながら進んでいった。

 賽の河原を7時36分に通過し、7時47分に大菩薩峠に到着したと同時に2回目の休憩をとった。その後も特に怪我などを訴える人もなく、8時50分に3回目の休憩、9時33分に榧ノ尾山に到着し9時38分にそこで昼食にした。今回主将であるが提案したトマトソースは思いの外パンとの相性が良く、新たな発見になって良かった。10時14分にB隊は出発し、ふかふかの落ち葉の道を歩いて行った。

 10時42分に牛ノ寝を通過し、11時3分に狩場分岐で4回目の休憩をとった。ここまでのコースは、昨日の雨の影響で地面が滑りやすくなっており、途中で1年生のHが足を滑らせて手を汚してしまうこともあった。また、倒木も多く、横から回っていったりくぐり抜けたり、各々がそれぞれの方法で越えていった。11時37分に棚倉小屋跡を通過し、5回目の休憩が12時6分。12時22分にモロクボ平を通過、そして12時37分、A隊がなぜか足を止めており、どうしたのか聞くと、地図上のコースが実際は道かどうか判断しかねるものであり、迷っているのだという。確かに、まっすぐに進めば迷いそうな様子であった。先生方の判断により、回り道をして別のルートで下りていき、小菅の湯を目指すということになった。

 13時17分に6回目の休憩をとり、暫く歩いてコンクリート道に出た。そして14時に小菅の湯に到着し、解散式を行った。そこで判明したのだが、テントやテントポールの袋を紛失してしまったらしい。今後起きないように自分も気を付けなければならないと思う。

 今回、初めてSLとして先頭を歩き、ペースを丁度良く一定に保つことの難しさだとか、休憩のタイミングや場所を選ぶことの大変さを実感した。また、実は昼食を終えた後の数々の分岐でも2回も迷ってしまい、B隊の皆に迷惑をかけてしまった。次に先頭を歩く時は、地図をよく読み込み、そういった事態を起こさないようにしたい。しかし、それらの失敗と同時に、先頭を歩くことの楽しさも知ることができた。後ろを歩くよりもよく景色が見渡せるので、今回の山行は以前よりももっと楽しく感じた。

 先輩方がいなくなり、幕営の時など、統率がうまくとれないことが度々あり、先輩という存在の重大さを体感できた。これからは私たち2年生がこの早稲田大学高等学院ワンダーフォーゲル部を引っ張っていくのだという自覚を強く持って、積み重なった課題と向き合い、先輩方の時に負けず劣らず、いや超えられるような山行にしていきたい。


《「稜線」第41号(2019年度)所載》


大菩薩嶺にて 雷岩から南を望む

大菩薩峠に向かう 石丸峠に下る



▲2018年度の山行一覧に戻る▲

■ワンゲル・トップページに戻る■