2016年 7月山行 山行記

筆者 R・N (2年生)

 今回の山行は夏休みに入ってすぐの山行であり、前回の山行に不参加だった1年生のOとKにとっては新歓以来の山行となった。例年は休暇期間中の練習をしないため、期末試験明けの7月山行は体力面や精神面におけるパーティーの実力の低下が心配されるが、今年から夏季休暇中の練習を実施したため、これまでの練習の成果が試される7月山行となった。

 また、今回の山行は唯一の3年生にして主将のO先輩が他部の用事により不参加となり、代わりに2年生のMがCLとして緊急登板した上、Bが体調不良により欠席したため、少人数での山行になってしまった。このような状況下で部員達はこの山行をいかに有意義なものにするかが問われたことは間違いないだろう。

7月23日(土) 〈1日目〉 曇り

 今回の山行はこれまでと異なり新宿駅南口が集合場所である上、1年生にとっては初めての朝集合であった。新宿駅を普段使わないという人もいたため、きちんと集合できるか心配であったが、流石は今年の1年生。全員がしっかりと集まることができた。その後、引率のS先生と合流し中央線ホームへと向かった。

 今年の7月山行は土日での実施とあり、ホームは登山客で溢れていた。しかし、ほとんどの登山客は特急スーパーあずさへと乗車したため、特急かいじに乗る私達は運良く自由席を確保でき、2時間ほど乗車すると終点の小淵沢駅に到着した。そこから小海線に乗り換え野辺山駅に向かった。

 野辺山駅はJRの駅で最も標高が高く観光地らしい長閑な駅舎であった。そこからタクシーで毛木平へ向かい、ここで昼食をとった。

 昼食が終わると私達はいよいよ登山道へ入り、甲武信ヶ岳を目指した。ここからの登山では北側斜面ということもあり強い日差しに悩まされることなく歩を進めていった。ここからはひたすら緩やかな道を登り続けるのだが、3本目の序盤から1年生の間で私語が目立つようになった。歩行中の会話は山行に関連することなら必要であるが、それ以外の内容は不要である。長時間の歩行で少し退屈してしまう気持ちは分かるが、集中力を保つためにも我慢してもらいたい。

 その後、千曲川の源流碑で集合写真を撮り、コースタイム通りか少し遅いくらいのペースで甲武信ヶ岳へ向かった。しかし、ここで気象係のMが16時から始まる気象ラジオの時間に間に合わない可能性があることを指摘した。そこで山頂に到着して集合写真を撮り次第、気象係のMとNは山頂で気象通報を聴き、メモを取り、小屋に着いてから気象図を書くことに決めた。

 その後は特に問題もなく順調に歩行を進め、山頂付近に差し掛かった。ここは標高2,400m付近で森林限界ギリギリの地点であり、ところどころ岩がむき出しになっている箇所があり1年生はとても驚いていた。そんな中、山頂に到着すると集合写真を撮り、気象係の二人はすぐにラジオを聴き始めた、その間、他のメンバーは電波が繋がる山頂で20分程度の自由時間を過ごした。

 気象通報が終わるとすぐにザックを背負い、甲武信小屋へと向かった。甲武信小屋には既に沢山のテントが張られていて、場所を探すのに若干苦労したものの、何とか場所を確保し、すぐに食事の準備へと入った。今回のメニューは『脱ルー系』ということで、カレーやシチューといったメニューから離れ、野菜炒めを作った。食料係の私が前日の夜に炒めた野菜たちを投入し、さっと火を通して野菜の無駄な水分を飛ばし、合わせ調味料を入れるだけだったのですぐに完成した。

 一方の炊飯も氷川キャンプ場とは異なる高い高度の中、上手に炊くことができていた。コッフェルへのこびり付きが少なく、片付けが楽な炒め物系は、次回の夏合宿でも採用していきたい。

 その後、ミーティングで20時就寝、4時起床が発表され、各々寝袋を用意して就寝の準備をした。

 この時、テント内はとても寒く、防寒着を着た上で寝袋に入ってもまだ寒いくらいであった。寒さに凍え、明日の行程を案じながら寝床についた。



7月24日(日) 〈2日目〉 晴れ

 気づくと3時50分のアラームが鳴っていた。一度も起きることなく一夜を過ごしたのだ。しかし10分早く起きたはいいものの外は依然として寒く、寝袋から出るのがとても憂鬱になってしまった。

 しかし、ダラダラすればするほど緊張の糸が緩んでしまうので、怠惰の感情を押し殺して食事の準備をした。朝食は前回と同じ棒ラーメンで、私達のテントはS先生を呼んで朝食を食べた。朝食が終わるとCLのMから撤収時刻が発表され、少し時間が空いたので景色を写真に収めたり体を伸ばしたりと思い思いの時を過ごした。

 その後、撤収を難なくこなし、いよいよ雁坂峠への登山道に向かった。途中、笹平の付近で私が倒木をくぐる際に木を退かすために触った瞬間、その木が折れてバランスを崩し転んでしまった。木に体重をかけた訳ではないのだが、大柄な私は他の部員より木に苦戦することが多く、大事故につながることもあるので気をつけていきたい。

 また、破風山までの道のりを長めの一本として少し長めの歩行を行ったのだが、その際にCLのMが全体に向けてその宣言をしなかったため、パーティー内に休憩がなかなか取られず疑問に思った人もいたようだった。山行中はペースや休憩などCLが単独で決める事項が多い分、できるだけ決定事項を全体に共有できると良いと感じた。

 破風山を通過すると、次は雁坂峠へと向かった。途中の雁坂嶺で休憩時刻を迎えたものの、こちらもCLと2年生が話し合った上で小休止に切り替え、昼食場所の雁坂峠まで歩き通すことにした。

 雁坂峠に着くと、集合写真を撮り、昼食を食べた。ここからは西沢渓谷へ向かい南側斜面を下っていった。ところどころ日差しが強く、新歓山行で軽度の脱水症状になった1年生のOや下りの歩行が苦手なNを気遣いながらゆっくりと下山した。途中の沓切沢からは舗装路に入り、部員達は硬い路面と格闘しながら奮闘した。西沢渓谷入口バス停に到着すると登山客や観光客を横目に解散式を行った。

 今回の7月山行は3年生不在の山行であり、出発前からとても心配していたが、CLのMを中心にパーティーが上手くまとまり、懸念を払拭することができた。これはパーティーの実力が向上していることの表れであり、夏合宿に向けて非常に大きな収穫となった。 その反面、山行中の私語が目立つ場面が見られるなど、夏合宿に向けての課題も見つかった。そのため、これから夏合宿までの練習を行う中で、7月山行の課題を部員同士で共有し、一つ一つクリアしながら現体制の集大成となる夏合宿へ向かっていきたい。


《「稜線」第38号(2016年度)所載》



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