2013年 春合宿 山行記
|
筆者 I・D (1年生)
|
|
今回の山行は三ヶ月ぶりであり、練習も色々あってやっていなかった(正確にはやってはいけなかったのだが)ので、登りきれるかどうか少し不安だった。自主練とは言っていたが、正直のところ全くやっていなかった。他の皆はやっていただろうか。
今回のメンバーは1人が脚を負傷して、一年生3人、先生2人の5人であった。
4月5日(金) 〈1日目〉 晴れのち曇り
今回の集合は新宿駅に6:30だった。少し早く間に合わないかと思ったが、全員かなり早めに到着できた。そのおかげで余裕を持って電車に乗ることができ、バスにも問題なく乗れ、ヤビツ峠に到着した。そこで準備運動を済まし、一行は山へと向かっていった。
先にも言ったように久々の登山であったので、ゆっくりのペースで登っていった。標高はあまり高くはないがアップダウンの多かったので思っていた以上にきつかったが、ほぼコースタイムどおりに登ることができた。尊仏山荘に着いてからはかなり時間があったので、各自休息をとり、その後水汲みに行った。
この山荘は頂上にあるため、水汲みは行き帰りで20分かかるところにある。そこまで行き各自のポリタンと宿で借りたペットボトルに食事用の水と飲み水を確保した。
その後、宿に戻ってから、食事の準備に取りかかった。今回のメニューは、わかめご飯・味噌汁・白菜豚だった。正直なところ、ちゃんと作れるか心配だったが、炊飯係のおかげでわかめご飯は美味しく食べられた。味噌汁は割愛したが、白菜豚はまあ食べられるレベルで、夕食は無事成功したのではないかなと思う。
そのままミーティングを行い後は寝るだけとなった。けれど、まだ就寝時間まではかなり時間があった。それで、各自休んでいたり、猫と戯れていたりと好きに時間を過ごしていた。そうして過ごしているうちに暫くして、雲が切れて富士山が顔を出してきた。段々と富士山が全貌を現してきて、遂には完全に姿を現し良い景色を見ることができた。その時はもうかなり冷え込んでいて風も吹いており、かなり寒かったが、皆で記念撮影をした。その日の天気予報では曇りとなっていたので、ちょっとでも景色が見られて、来た甲斐があった。
その後は、皆、いつものテントの中の寝袋とはわけが違うとても寝心地の良い布団に入り、就寝となった。
4月6日(土) 〈2日目〉 曇り
早朝3:30、誰かのアラーム音で目が覚めた。しっかり全員起きていて、寝坊はなかった。あれだけ寝心地の良い布団なら寝付けなかった者はいなかっただろう。
そのまま僕等は朝食のうどん作りに取りかかった。うどんの汁は水の節約のため昨晩の白菜豚の汁を使った。うどん作りには失敗がないので問題なく完成し、朝食をいただいた。これは僕個人の話だが、ワンゲルの朝食はいつも少し量が多いと感じる。普段もあまり朝食はたくさん食べないからかもしれない。
まあ、そんな話は措いておいて、朝食を食べ終わったあと、先生方から話があった。ルートの変更についてだ。実は書いていなかったが、昨日の時点で正規のルートの丹沢山から蛭ヶ岳の方に向かって歩き、西野々でバスに乗るという計画は、時間が遅くなり、暴風雨に遭ってしまうということで、丹沢山から丹沢三峰の方に向かうルートにするという話があった。だが、現在の状態を見ると、風がかなり吹いていて、霧も立ち込めていたので、それでも危険かもしれないということで、大事をとって、すぐに帰ることができる大倉尾根のルートを下ることになった。そう決めたら、皆片付け・準備をし、尊仏山荘を出発した。
最初のほうはかなり風が吹いていて寒かった。段々下りて行くにしたがって霧も晴れ気温も上がっていった。その下りの途中、野生の鹿に遭遇した。野生の鹿は人が近づくと普通逃げ出すのだが、今回は全く逃げる気配がなく、シャッターチャンスを逃さずに済んだ。その鹿達を後にしてどんどん下って行った。
ほとんど下りだったので楽だったが、階段がかなりあったのでけっこう足にきた。それでもなんとか二本で大倉のバス停まで着くことができた。その頃には山頂付近ではもう雨が降っていたように思えた。かなり短いルートになってしまったが、誰も怪我なく無事に下りることが出来ただけでも良かったと思った。そして、ちょうど来ていたバスに乗り込み渋沢駅に着き、解散式をして解散となった。
今回の山行は、予定していたルートと大幅に変わってしまったが、危険を冒してまでルートを貫くのではなく天候などを配慮し、柔軟な対応が必要なことがわかった。
加えて、この短いルートでさらにテント関係の荷物が無いにもかかわらず、かなりきつかったということは、僕も含め皆体力がかなり落ちてしまっていることを痛感した。これからもっときつい山行があるのにこのままではまずい。3ヶ月間練習はできなかったので、これからはしっかり練習をしていかなければと思った。
|
《「稜線」第35号(2013年度)所載》
|
|