2012年 新歓山行 山行記

筆者 K・W (3年生)

5月12日(土) 〈1日目〉 快晴

 学校が12時半に終了し、部員各自、上石神井に向かったが、所定の時間に来たものは僅か。一年生はこぞって来ておらず、この山行の行く末を案じることになった。結果的に、駅にはいたことがわかり当初の予定より1本早い電車に乗れ、乗り継ぎもスムーズに出来、少し早めに1日目の目的地である氷川キャンプ場に到着することができた。

 新歓の時期ということもあり、多くの大学生で賑わっていた。夜しっかりと睡眠ができるか心配だった自分にとって、彼らは全員その時は敵に見えた。
 さっそく幕営を開始したが、多くの部員にとって初めての現場でのテント張りで、また同時に作業配分もうまくできず、予想以上に多くの時間を取ってしまった。今回は初日の行程は幕営だけでその後の登山はなかったのである程度時間を取られても問題なかったが、山中に泊まるときは1分1秒非常に大切なのでこれから気を引き締めてやるものとし、要反省事項としたい。

 天気は雲ひとつなく良好で、幕営後、夕食準備まで少し近辺を散策することにした。多摩川の流れは早く渦ができていた。とても澄んでいて涼しい気分になれた。川にかかっている吊り橋にも行き、上から我々のテントをのぞきこんだ。5月初夏の風もとても心地よいものだった。

 テントに戻り夕食のカレー作りを開始した。これに関しては問題なく、それぞれが分担して効率良く作ることができ、途中風防を焦がしてしまうというハプニングはあったものの、順調に作り上げることができた。ワンゲルのカレーは毎回失敗するらしいのだが、全然満足の味で誰一人残すことなく、ご飯もいつも通り美味しく、完食することができた。

 夕食の片付けが終わったところ19時位に、A先生とM先生がいらっしゃり、無事合流した。すぐにミーティングを行い、朝の遅刻の注意を各々受け、明日の行程を確認し、20時就寝。最後に購入したてのヘッドランプが点かないトラブルはあったが、1日目は無事終了した。



5月13日(日) 〈2日目〉 快晴

 4時に起床だったが、人それぞれ寝付きが異なっており、気持ちよく起きられた者とまだまだ睡眠不足の者がいた。どうやら夜中に案の定、大学生が大騒ぎしていたらしい。その影響を受けた者が寝付けず、疲れ果て爆睡していた者はそんな騒ぎなどにピクリともせずぐっすり寝ていたというのだ。ちなみに私は後者である。

 朝食のうどん作りを早速開始し、少々具が多すぎた感は否めないが、満足なものが完成した。食後すぐに撤収。幕営とは打って変わってスムーズにできた。昨晩の反省が早速生かせたのかもしれない。大学生がなんと外で深い眠りに付いているのを複雑な心境を抱きつつ横目に、奥多摩駅バスターミナルへ向けて出発した。

 スイカ等のチャージを行い、定刻のバスに乗り、小河内神社へ。到着しバスを降りると、空気がとてもひんやりしていた。目の前には麦草浮橋とイヨ山、新緑が目に眩しく、青空と新緑の山、エメラルド色の湖と、見事な具合にコントラストが美しかった。小鳥の囀りを聞きながらラジオ体操を行い、オーダーを組み、いよいよ出発。

 普段滅多に渡ることのない浮橋は子ども心を擽るもので、なんだか水面を歩いているような感じであった。解放感があり楽しく、渡り終えたときには揺れと新鮮さでくらくらしていた。

 そんな楽しさも束の間、少しばかりアスファルト歩いて登山道に入る。いきなり中々急な坂ではあったが、臆することなく割り切って登り始めた。標高が低いとそれに伴い人の手が加わりやすいのか、杉の植林ばかりで新緑が見えない道が続いた。
順調に登りいささか明るい山腹で休憩。初の休憩ということもあり新入生に水の大切さを説いた。

 休憩後、2本目もどんどん登り、イヨ山を順調に通過し、少し下り平らな道を比較的楽に歩いた。少し登ったヌカザス峰で休憩。広葉樹が若葉を広げ風に揺れており、心身共にある程度回復した。

 このまま順調に行くと思われた矢先、3本目が始まってすぐに、新入生の一人が脇腹の痛みを訴え止まった。どうやら水の飲み過ぎらしい。水の大切さを説いたのが裏目に出てしまったのか。宮川先生が残り、様子を見次第追いかけるとのことであったが、結果的に残念ながらリタイヤ。俄然寂しくなったパーティで進むことになった。

 途中人の通った形跡もなく非常に歩きにくい道を進んでいたが、正式なルートでないことが発覚。すぐに戻れたがヒヤヒヤする場面であった。
 滝入りの峰を過ぎて少ししたところで休憩。その後すぐに三頭山頂に到着し、西峰はピストンした。富士山が目の前にそびえ、雄大で息を呑むほど美しかった。自分にとっては今までのワンゲルの活動で初めてしっかり見ることのできた富士山であり、いっそう感慨深いものであった。

 記念撮影後、東峰にはすぐに到着し昼食。頂で食べるものはなんでも美味しいものである。フルーツ缶はモチベーションもあげてくれた。バテ気味だった新入生も昼食と美しい景色で完全回復。東峰から突き出た展望台から御前山と大岳山をみて一同でヤッホーを言い、意気揚々と下山開始。

 順調に下り、西原峠分岐の手前で休憩。2時間半のコースであるが最初で最後の休憩となった。60分ノンストップで下山。民家が見えた時は一同歓声を挙げて喜んだ。人工物に囲まれて暮らしていると自然が恋しくなり、自然に囲まれて生活していると人工物、生活反応がある物が恋しくなる。ふとそんな事を思った。そして最後まで油断せずに気持ちを緩めず下山。反省会を行い、無事終了した。

 新入生にリタイヤ者は出たりハプニングが多かったものの、きつかったが、とても良い新勧山行にできた。6月山行はこれよりきついということなので、いっそう気を引き締めて、日々の練習に取り組みたい。


《「稜線」第34号(2012年度)所載》

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