2010年 春合宿 山行記
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筆者 S・T (1年生)
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僕にとって、泊まりがけの山行というのは実に8カ月ぶりであった。そのため、行く前から体力に危機を感じていた。また部員として、進級するための重要な訓練となる山行でもあった。
4月2日 〈1日目〉
全員時間どおりに新宿駅に集合した。この日の天候は雨と強風。小田急線の電車が遅れ、予定を急遽変更し、表尾根からではなく大倉尾根から塔ノ岳に登ることになった。(僕はコースが楽になることばかりを祈っていた。)
目的地の渋沢駅に着いてからも雨はやまず、雨具を着てのスタートとなった。そして思っていた通り、1本目にもかかわらず僕の足は遅くなってきた。みんなが僕のスピードに合わせてくれたこともあって、やっとのことで登ることができた。途中で雨はやんだのだが、地面は滑りやすく、何度も転びそうになった。それから3本目に入ってAの足がつった。そこで運よく通りかかった整体専門のおじさんに救われた。なんと、首を抑えて足を治癒するという神業があることには驚いた。
そうこうして登っているといるうちに、塔ノ岳に到達した。標高差は1000メートル以上あったが、だいたいコースタイムどおりであった。「山と高原地図」には塔ノ岳から見える壮大な景色について語られていたが、霧で何も見えなかった、残念! そして今回泊まる尊仏山荘はすぐ隣にあった。
一日の歩行は終了した、と思ったら水は往復20分かけて汲んでこなければならないらしい。山における水の貴重さ、ポリタンに水を満タンに入れる意味が分かった。A先生に体力があるとみなされた者が水汲みに行った。僕を含む3人は山荘に残った。水汲み、御苦労さまでした!
16時半になって食事準備開始。今夜の飯は厚揚げと焼き肉。焼き肉のタレはいい選択だったと思う。腹いっぱいになったところで就寝。テントと違い寝やすかったが、山荘の飼い猫の鳴き声が不気味に響いていたのが気になった。
4月3日 〈2日目〉
4時に起床。朝食はチャルメラだった。朝から麺類は苦手だが、チキンラーメンよりもうまいと感じられた。テントの撤収はないので素早く出発の態勢は整った。山荘を出てまずは塔ノ岳山頂で写真撮影。晴れへの期待もむなしく、一面霧に覆われていた。
準備体操をして6時前に出発。前日と違って寒く、木々や木道、おまけに髪の毛も凍っていた。木道の上では転ばないように慎重に進んだ。
7時には丹沢山に到着。霧は晴れず景色に関してはあきらめたが、たくさんの鹿(鹿の糞も)を見ることができた。2本目の休息の時、エネルギー補給のドリンクを持ってこなかった自分にA先生が、ウイダー?のようなものをくれたので、救われた。それにしても体力の落ちない先生には驚かされた。
不動ノ峰、鬼ヶ岩などを経由し、8時40分、早くも蛭ヶ岳についた。そこで紅茶を沸かし、パンとチーズを食べた。いつもなら、まだ寝ている時間に丹沢の最高峰で昼飯とは!
ここでまた予定を変更、時間が余りすぎたためにコースを長くして、東野には下らず、焼山まで歩くことになった。しかし、初日変更時のような恐怖には襲われなかった。後はほぼ下りだからである。
下り始めてからは苦手な木道で何度も足を滑らせた。気を抜いてはいけない、心に思いながら歩き続けた。途中、黍殻山を過ぎたあたりで前日のようにAの足がつった。1度つると連鎖反応を起こすのが怖い。これを見て自分の歩き方はどうなっているのかと心配になった。
最後に焼山を通ってから1時間弱でバス停に到着、反省会を行い、2時間もバスを待った。
今回、部活全体で特に注意すべき点はない、といったところだったが、自分の場合、みんなに遅れないよう今後に向け体力をつけていきたい。
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《「稜線」第32号(2010年度)所載》
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