2009年 秋季山行 山行記

筆者 J・S (1年生)

 秋に行く2回目の山行……のはずが、インフルエンザによる学年閉鎖の影響で、今回が今年の秋に行く最初で最後の山行となった。インフルエンザにかかって参加できなくなるメンバーもいるのではないかと不安になったが、皆その心配は無かったようだ。

11月14日 〈1日目〉

 授業が終わり、急いで登山靴に履き替えて、上石神井駅に向かう。集合時間の10分後の電車に乗らなければならなかったので、誰かが遅刻したら大変なことになったのだが、幸い集合時間である12時50分には全員集合していた。前日の雨のせいで朝は曇って時々雨がぱらついていたが、昼ごろには晴れ間が出てきていた。

 電車を乗り継いで新松田駅に到着し、バスに乗り込んで西丹沢自然教室へ向かう。長時間の移動で皆疲れていたのだろう、バスの中では会話もほとんど無く、ほとんどの人が眠っていた。

 バスを降り、キャンプ場に到着した頃にはもうあたりは暗くなり始めていた。急いでテントを張り、食事の支度を始めた。しかし、いきなりトラブル発生。なんと食料袋に油が入っていなかったのだ。中身を確認しなかった自分が情けなくて仕方がなかった。油がなくても夕食は作らなければならないので、茄子を茹でることになった。出来上がったものは麻婆茄子とは言い難いものであったが、ご飯がうまく炊けていたことが幸いだった。他にもEPIのヘッドが足りずにコッヘルが余ってしまうなど、反省事項は多々あった。

 夕食の後、ミーティングを行う。当初予定していたルートだと歩行時間が長く、日没が早くなっていることも踏まえて、コースを短くすることになった。畦ヶ丸に行かずに、加入道山から白石峠を通り、白石沢に沿って西丹沢自然教室に戻ってくることになった。ミーティングを終え、各自後片付けを済ませた後、しっかり防寒対策をしてから7時半に就寝。



11月15日 〈2日目〉

 朝3時半、携帯の目覚ましの音で目が覚める。朝食のスパゲッティーを食べ、各自出発に向けて準備を始めた。辺りはまだ暗かったが、上を見ると、星が綺麗に見えていたので、今日の天気には期待できそうだった。

 撤収を終えて、5時半にヘッドランプを着けて出発する。しばらくは舗装された道路が続き、白石峠と犬越路の分岐を過ぎると、だんだん登山道らしくなってきた。しかし、分岐を過ぎてすぐ、川が流れているだけで道がなくなっていた。間違いようのない道だったので、皆少し戸惑い気味だった。川の反対側を見ると、そこに道があったので、川を渡ることになった。普段は簡単に歩いて渡れるところのようだが、前日の雨で水かさが増していて、岩から岩へ飛び乗って渡らなければならなかった。いきなりそんな器用なことが出来るわけもなく、いきなり靴を濡らしてしまった。靴の中の不快感を気にしないようにしながら、再び歩き続けた。

 途中でMが遅れたものの、7時半頃、ほぼコースタイムどおりに犬越路に到着。写真撮影を済ませ、休憩。やや曇り気味だった天気も、次第に晴れてきた。頂上での景色に期待が高まる。

 休憩を終えて、大群山に向けて出発する。地図を見る限り、今回のコースでは、大群山までのこの道が一番つらいようだ。歩き始めて10分くらい経つと、Mがまたしても遅れていた。どうやらここまでの長い登りで、もともとあった腰の痛みが悪化したらしい。結果、Mは腰痛がひどくならない内にM先生と一緒に下山することになった。

 そこから先は、自分が足を引っ張ってしまったこともあって、少しゆっくりしたペースで歩いたが、コースタイムより少し早めに大群山の手前の分岐点に到着した。そこでザックを下ろし、手ぶらで頂上まで5分ほど歩く。A先生に何か羽織ったほうが良いと言われたにもかかわらず、皆薄着で山頂に向かってしまった。すると、急に冷たい風が吹いてきたので、急いでザックを置いた分岐点に戻って防寒着を着る。そこで昼食を取ることになったのだが、先ほどよりも風が強くなり、気温もぐんぐん下がっていった。

 あまりにも寒かったので、食事を終えてすぐ加入道山に向けて歩き出す。45分ほど歩いて、加入道山山頂に着いて休憩。少し暖かくなってきたので、上着を脱いでから再び出発する。しばらく下ると、木々の間から富士山が現れた。さらに下ると、何も遮ることなく富士山が聳え立っていた。今までの山行では遠くにうっすらとしか見えなかった富士山が、ここまで大きいと感じたのは初めてだった。今回の山行で一番の絶景を素通りするわけもなく、写真を撮るために少し足を止めることに。

 それからはひたすら下りが続いた。しばらく歩くと、またしても増水した川が行く手を遮る。川を渡ったと思ったらまた渡り、最後の方はもう濡れることは気にせずに川の中にずぶずぶ入って渡っていた。2時間ほど下ると、スタート地点だった西丹沢自然教室に着いて、M先生とMと合流。その場で解散式を行い、その後バスに乗ってそれぞれ帰路についた。

 今回の山行は3年生が引退してからの最初の山行ということで、自分たちの改善すべき点が多数出てきた。これらを踏まえて、次の冬季山行までに着実にレベルアップしていきたいと思う。


《「稜線」第32号(2010年度)所載》


大群山山頂にて

犬越路分岐点付近から富士 加入道山付近から富士


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