2008年 新歓山行 山行記

筆者 S・K (2年生)

 4月9日、なんとか2年生となれた私は、今年あたらしく入部してくるであろう(そう信じたい)新入部員の事について思いを馳せていた。今年は2人か、3人か、はたまた0人か。それも、現部員である私たちの勧誘活動にかかっていると言えよう。一人でも多く1年生を獲得し、なるべく大人数で荷物を分け……いや、ワンゲルの楽しさを知ってもらわねばなるまい。

 5月3日現在、私の知る限り、新たに3人の入部が決まった。これも偏に、朝からしつこく教室回りをし、ポスターを作って目立つ所に貼った……等の勧誘活動の賜物であると思いたい。しかし見学に来てくれた日時の関係で、今回の新入生歓迎山行に参加する1年生は二人。総勢8人で西上州、御座山に挑む。



5月3日 〈1日目〉

 さて、集合は高尾駅。1年生も含め全員時間通り集まった。しかしここから目的地までが長いのだ。Mなどは、家から目的地までの片道乗車時間のほうが翌日の歩行時間より長いと嘆いていた。
 まあそれでも何とか時間をつぶし、小海駅へと降り立った。ここからタクシーで長者の森へ。今日はここで幕営だ。

 テント設営後も時間が結構あったので雑談をし、15:15あたりで夕食の準備に取り掛かった。今回の夕食はカレーライス。久しぶりであるが、何故かそんな久々な感じはしない。正直あまりおいしくなかった思い出があるので、今回は美味しければいいな……と考えた。今回も良く出来ていたが、やはり山のカレーは少し苦手である。

 そして食後のミーティング。気象係である自分は、このミーティングで、ラジオを聞いてとった天気図を皆に見せなくてはならない。……しかし、等圧線を書き入れる時、どうしても同気圧の場所を線で結べなかった。結局なにがなんだか判らなくなってしまい、強引に線を引いたのだ。怖ず怖ずとそれを公開すると、
先生に爆笑された。無理もない。等圧線の環の一点から、別の線が新しく横に伸びているのだ。とりあえず明日は何とか晴れるだろう……という先生の予報。

 そして19時就寝。しかしそれまでにはほとんどの部員が寝ていた気がする。



5月4日
〈2日目〉

 起床し、朝食を食べ片付けて撤収する。朝の作業は全体的に滞りなく済ませられたと思う。
 いよいよ出発である。目覚めた時には満天の星空だったが、夜明けとともに空も白み始め、体操をする頃にはすっかり明るくなっていた。

 最初は長者の森の敷地と思われる所を歩き、しばらく歩いて登山道に突入する。この時から既に少し疲れていた。一本目がきついのは毎度のことではあるが、列の五番目という位置は初めてであった。後ろになればなるほど前の人達に合わせなければならなくなるため難しいのだ。二つ前を歩く1年生のTも辛そうであった。

 二本目。途中で大きな鉄塔の真下を通った。下から見上げるとその高さに恐怖感を覚えた。三本目あたりからだろうか。道に氷が張っている所が続いた。転んだ。1年生は悠々とクリアーしていく。私はまた転んだ。歩くのが怖くなった。また転んだ……。三回目の休憩の時、今までかかっていた雲が晴れてきた。山頂での眺めを期待し、最後(?)の一踏ん張りだ。

 やっと山頂である。岩場になっていて、眺めがとてもよかった。記念撮影をし、ここで昼食をとる事となった。パンとスープだったのだが、ジャムが思いの外好評だった。

 昼食後は頂上を後にし、下界を目指す。後は下るだけである、という思いがほんの少しの登りもきつくさせる。ここでアクシデント発生。いよいよここからは本当に下りだけであろうというところ辺りだったか、我等がCL、M先輩の腕が出血していた。全然気付いていなかったらしいのだが、その出血量は決して少ないとは言えなかった。先生が応急処置。かなり深い疵のようだ。大丈夫だろうか。それでも先頭を歩くのだ。頭が下がる思いだった。

 休憩を挟み、下っていくと林道に出た。此処からあと20分程で今回の山行は終了。綺麗な山荘と民家が見えてくるとバス停まではすぐであった。しかしこのバス、日に2本しか来ない。前々からタクシーを呼ぶ予定だったのだが、電話が繋がらない……山荘まで戻って電話を貸してもらおうとしていたところ、側のもつ焼き屋のおじさんが親切にも、車で小海駅まで送って行こうと声をかけてくださった。ありがたい。
 小海駅でミーティングをし、解散となった。

 今回の行程はあまりきついものではなかったが、内容のある充実した山行であったと感じた。2人の1年生も最後まできちんと歩き通してくれた。今年度のワンゲルの新たな可能性を大いに感じさせる、いいスタートとなった。


《「稜線」第30号(2008年度)所載》

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