2008年 秋季第2回山行 山行記

筆者 T・M (2年生)

 今回の山行は自分の中で一つの目標を持って臨んだ。聞く人によっては馬鹿にするかもしれないが、私には大きなテーマ。それは山頂から景色を見ることである。6月にこの部に入った私は天候のせいでまともに景色を見られたことがないのだ。しかし今回こそは絶対に景色を見てやるのだと意気込んでいた。今回は大丈夫、そう信じて家を出た。部屋の窓に吊るされたてるてる坊主が私を見送ってくれた。

11月2日 〈1日目〉

 11月2日、朝7時45分。高尾駅に集まりいざ大菩薩。一人遅れそうになったものの時間にはなんとか間に合い、全員揃って順調なスタートを迎えた。と思いきや、いきなりハプニングが待っていた。塩山までは普通に行けたのだが、そこから乗るはずのバスに定員オーバーで乗れなかったのだ。これは予想外の展開である。次のバスは2時間後なのでタクシーを使うことになったのだが、そこで少し時間を取られてしまい少し遅れ気味になってしまった。

 まぁ何はともあれ、いよいよ行程が開始した。山行で一番きついのは最初の30分なのではないかといつも感じる。まだ足が慣れてないせいもあり足が重い。しかし何とか登っていくと1本過ぎた辺りからススキ畑が広がっていた。風が吹くとススキがさわさわ音を立てて心地よい。さわさわテクテク、さわさわトコトコ。いい気持ちで登っていくと予定よりも少し早く大菩薩嶺に着いた。天気は良かったものの周りが邪魔をしてあまり景色は見ることができなかった。残念に思い大菩薩嶺を後にすると10分足らずで雷岩に着いた。

 ふと辺りを見回すとそこは別世界だった。日常では見られないような景色が広がっている。何も言葉が出なかった。いや、言葉にするのすらもどかしく、ただひたすら感動した。……ワンゲルに入って良かったと心から思えた。多分この時の感動は忘れられそうにない。涙が出そうになるのを堪えて写真を撮り、その場を後にした。てるてる坊主、ありがとう。

 その後も順調に行き、無事1日目の行程を終えて福ちゃん荘に着きテントを張った。良いペースで来られたのでこの時点でまだ15時を回っておらず自由時間ができた。なので、テントの中でみんなで話していた。うるさいと注意されるほどに盛り上がって楽しかった。この日の夕食は麻婆茄子だった。食料係が代わったにしては美味しく出来ていたが、少し量が足りなかった。炊飯の方もなかなか上手く出来ていたと思う。少し芯が残っていたが、私はむしろそっちの方が好きだったりする。それをみんなに言ったら変わっていると言われてしまった。この日は午後20時就寝。いつもより遅かったので、ここでもみんなで話せて楽しかった。



11月3日 〈2日目〉

 翌朝は4時に起床し、朝食をとる。朝食はきつねうどん。誰かも言っていたが朝食はたまにはラーメンとかでもいい気がした。この日は出発が6時と遅めなのでラジオ体操を済ませた後比較的余裕を持って出発した。この日は初めから速度がおかしかった。はっきり言って速すぎる。ものすごい勢いで登ったり下ったりしていった。途中コースタイム90分のところを50分で行けたりなどして、驚異的なスピードだった。ちなみにこの日も天気は悪くなかったが、昨日ほどの景色は見られなかった。それでも私にとっては晴れているというだけで十分楽しめたのだが。

 途中で少し遅れてしまい先生に注意を受けている人がいた。しかし私も実はかなり限界に近かった。多分彼がいなければ注意されていたのは私だろう。しかし私は何とかついていこうと思い、気力だけで足を動かした。しかし途中の下りでだいぶ離されてしまった。この日の行程は前日以上に草が多く、足下はおろか前すら見えないときもあった。元々下りはあまり得意でないので死に物狂いでついていった。登って下って、下って登って。途中軽く道が分からなくなったようだったが、それでも必死で歩いて何とか無事下山できた。結局予定よりなんと2時間以上も早く着いてしまった。そのおかげでタクシーを待っている間にミーティングが出来たため、駅に着き次第即解散となった。

 今回の山行では、なによりも初めてまともに景色を見られたということが大きかった。あと個人的にも大きな失敗はなくみんなについていけたので、全体的に良い山行だったと思えた。


《「稜線」第31号(2009年度)所載》


大菩薩嶺にて 雷岩から富士を望む

大菩薩峠にて 小金沢山にて


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