2008年 7月山行 山行記

筆者 S・T (1年生)

 7月山行。1泊2日と普段と変わらない日程だが、この山行の意義は極めて大きく、重要であった。なぜならこの4日後に世にも恐ろしい夏合宿が控えていたからだ。つまり私にとって、この7月山行が成功するか否かは夏合宿を乗り切れるか否かとほとんど同じ意味をなしているのであった。
 そんなわけで私はこの7月山行に大いなる不安と期待を胸に挑む事になる。いざ奥秩父・甲武信ヶ岳!

7月21日 〈1日目〉

 朝8時30分にJR高尾駅に集合。自分が15分前に駅に着いた時、雨が少しポツポツ降っていたがすぐにやんだ。天気は味方のようだ。事前の会議では特急で行くか鈍行で行くか迷っていたが、結局は鈍行になり計画表通りの時間に集合となった。

 時間通りに全員が集合し、予定通りの電車に乗る。運良く座る事ができ、私達1年は4人掛けのボックス席に座った。しばらくして、電車の中で簡単な昼食を済ますと急に腹が痛くなってきた。私は急いで偶然あった備え付けのトイレ(まさしく不幸中の幸い)にかけこんだがなんとトイレットペーパーがない!急いで戻りザックからトイレットペーパーをとりだしたから良かったが、なかったらどうなっていたことか。やはり忘れ物は絶対にしてはいけない。

 その後私達は順調に目的地の野辺山についたが、急にA先生が体調不良でこられないということになった。体調を整える事の大切さ痛感させられた。
 そしてそれから私達はいよいよ毛木平から甲武信ヶ岳に登る事になる。そう、登るのである。今まで私達1年が参加した山行(1、2回だけだが)には1日目は登らず、2日目から登るというパターンしかなかった。つまり私にとって、この山行が始めて2日連続で歩く山行なのであった。2日歩くということはそれなりのボリュームがあるわけで、まさしく夏合宿前の山行といえよう。

 さて、肝心の登山だ。登りは至って皆順調そうだったが、体力がいまいちと自他ともに認める私は3本目当たりから疲れが出だし、景色を眺めるという余裕は全くなくなっていた。先生や先輩によく言われる足をとめるなという言葉をひたすら念じたり、時々前に離されたりしながらも私は登り続け、終わりがないと思えた登りにもやがて終わりが見えてきた。山頂である。

 17時、登り始めて4時間後私達は山頂に着いた。ところがあたりは一面霧だらけ虫だらけ。そう、7月山行の敵はまさしく虫で、山行の間四六時中あの忘れもしない不快な音を放ち、私達の周りをブンブン飛んでいたのである。そして幸か不幸か私は自分の体に虫がとまっていてもなんとも思わなくなってしまった。写真をとった後何も見えない頂上を後にし、私達は本日泊まる甲武信小屋に到着した。

 小屋に着いたら、疲れた体に鞭を打ち、即テントを張った。このときの事を後の反省会で1年生が固まっていたと指摘されたが確かにそうで、重要な反省点だった。
 夕食準備も滞りなく進み(私は先輩から言われた事をこなすだけだったが)、楽しい食事、本日の反省を終えた後は就寝だった。たくさん歩いた後だったので今回ばかりは、体の下に石があろうが、態勢が悪かろうが、狭かろうがぐっすり眠る事ができた。夜の20時であった。



7月22日 〈2日目〉

 翌日、午前3時に携帯のアラーム音で起床。標高が高いということでその寒さは尋常ではなく、一瞬夏だという事を忘れてしまった。防寒着を持ってきて本当に良かったと思った。無理やり朝食のパスタ(ボンゴレ味)を胃袋につめこみテントの撤収を開始。その後ポリタンの水を汲みに行ったが、なんと1リットル50円の看板!! 正直にけちだと思ったが、同時に水の大切さを身をもって実感できた。やはり山にくるとこういった日常生活では実感できない身近な発見ができて為になったりする。

 さて、5時10分に私達は甲武信小屋を後にし、第一の目的地破風山へと歩き続けた。しかし、熟睡したとはいえ、前日の疲れが残る体での登山はやはりきつかった。バス停に着いたときの感動とここまできた交通費、そして黙々と歩く同級生や先輩、先生を思いガッツで歩き続けた。そして破風山、雁坂嶺をこえて雁坂峠に着いたのは8時25分。毎度思う事だが、山登りをすると午前中が異様に長く感じる。この感覚だけは絶対に克服できないと確信できる。

 林道に出たあとは11:22のバスに乗るためペースをあげた。アスファルトの道は山道と違い逆に歩きにくく、暑かった。また途中バス停までの道をまちがえてしまい焦った。しかし時間までにバス停に着き、反省会をする余裕までできたので良かった。
 そしてバスに乗って山梨市駅へ。帰ったら風呂に入るのと荷物の整理、どっちをさきにしようかな。そんな事を思いながらウトウト眠ってしまったのを覚えている。


《「稜線」第30号(2008年度)所載》

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