2008年 6月山行 山行記

筆者 Y・H (1年生)

 今回の山行から、新しく2人の一年生が加わることになった。2人とも、ボーイスカウトなどで、アウトドアの経験があるそうで、学院に入ってから初めてワンダーフォーゲルを始めた僕としては、頼もしい限りである。8月下旬あたりに行われる一年生山行では特に、彼らの活躍に期待したい。

6月7日 〈1日目〉

 授業が終わるとすぐ、部室へ直行し、1限目の前にあらかじめ置いてきていたザックを持って、上石神井駅へ向かう。電車内で、ふと、13時を過ぎているのにまだ昼食を食べていないことに気づく。電車の中でおにぎりを頬張る訳にもいかなかったので、結局、食べることができたのは夕食の1時間半前、氷川キャンプ場に着いてからだった。前回の新歓山行の時も、同じような失敗をしているので、そろそろ学習しなければならないだろう。

 さらに、キャンプ場では新たに2つの問題が発生した。1つは、Tが米1合を忘れてきてしまったことだ。先生方が予備の米を持っておられたので、他の人たちには何も問題がなかったものの、彼は、この時からこの山行の終わりまでずっと、A先生から、ネチネチと、何度も何度も繰り返し注意を受けることになる。合計10回くらいは言われただろうか。本人は相当まいってしまったようだった。山行前日の準備は絶対に怠ってはいけないことを心に刻んでおく。

 もう1つの問題は、今回から参加した部員の1人である、Hの登山靴が壊れてしまい、使えなくなったことである。緊急会議の結果、残念なことに、彼はこの山行を断念することになった。僕を含めた他の一年生の登山靴は買ったばかりなので、まだその心配はないが、あとどのくらい使えるのか気になってしまう。家に帰ったらちゃんと手入れをしてあげなくてはと思った。

 一日目から、幸先の悪い感じになってしまったが、夕食の麻婆豆腐はうまくつくれたようで、おいしかった。そして19時30分に就寝と決まった。外で大学生が起こす騒音や、テント内の蒸し暑さと闘いながら、なんとか眠りについた。



6月8日 〈2日目〉

 午前3時半、起床し、朝食のうどんを食べ、撤収を開始する。その後、駅で一足先に帰っていくHを見送り、バスに乗って鷹ノ巣山へ向かった。前日はあまり眠れなかったため、その分を補うように、バスの中でつかの間の睡眠をとる。めったに来られない場所であるから、本当は起きて、外の景色を眺めたかったのだが、睡魔には逆らえなかった。あのテント内の暑さは何とかならないものだろうか。

 鷹ノ巣山の登りは、とにかくキツかった。いつ終わるとも知れない急坂がずっと続いていて、いつ休憩をとるのだろうかと、何度も腕時計で歩いた時間を確認する。ザックなど背負っていなければ、周りの山の景色を眺めて、感傷的な気分に浸っているところなのだが、そんな気力は全く残されていない。

 1本目が終わると、ちょうど稲村岩に到着したところだった。先輩達は元気に稲村岩を駆け上がっていく。どこにそんな体力があるのだろう。一年生は全員ダメになっていて、体力面での課題が浮き彫りになった。こんなことで夏合宿を乗り切れるのかと、不安になる。あまりやりたくはないが、自主トレをする必要があるかもしれない。

 登り始めてから約3時間後、3本目の登りで、やっとの思いで山頂に到着した……にもかかわらず、辺りは霧で覆われていて、ひどいことに、楽しみにしていた山頂からの眺めが台無しだった。M先輩が言うには、辺り一面が霧で覆われているのも珍しいとのこと。なんとも複雑な気持ちであった。昼食をとる時、僕のポリタンには水がほとんど残っておらず、しかたなく果物の汁で喉の渇きを潤した。登りの途中の休憩で、先生方から、ポリタンの中の水は満タンにするように、との注意を頂いたことを思い出し、そのことを身をもって理解した。

 思っていたよりも辛かった下りを、これまたやっとの思いでクリアできたが、市街地に入ったあたりで、ダラダラした雰囲気になったことを少し怒られてしまった。しかし、前回の山行のようにけが人がでた訳でもなく(S先輩の足がつってしまったらしいが)、真に実りのある山行だったと思う。


《「稜線」第30号(2008年度)所載》

鷹ノ巣山山頂にて


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