2008年 1年生山行 山行記

筆者 S・H (1年生)

 入部してから何かと2、3年生に頼ってばかりいたが、今回は、幕営から炊事まですべて1年生を中心に行なうことになる「1年生山行」。
 僕たち1年生はOBのK先輩とF先生と、長野県菅平に行った。
 夏合宿からすでに1ヶ月が過ぎており、運動不足に対する不安がまとわりついていた。

9月3日 〈1日目〉

 東京駅での集合では多少の遅れが生じたが、無事予定通りの新幹線に乗ることができた。OBのK先輩とは、これが初めての顔合わせであった。

 1時間半余り新幹線に揺られ、タクシーに乗ってようやく菅平高原のキャンプ場に到着した。この日は山に登らないのである。
 制限時間15分で、テント2つを建てるのだが、ここで思わぬハプニングが発生! 1つのテントと、それを支えるポールの太さが合わなかったのだ。なんとか無理矢理、安定させたが、いつ潰れるか分からず不安だった。さらにテントを地面に打ちつけるペグが不足するという緊急事態が発生。それもキャンプ場に転がっていた石やブロックで、どうにか処置できた。

 荷物をテントの中に入れ、2時間後の炊事開始まで、しばしの休息をとった。

 そしてあっという間に2時間が過ぎ、炊事にとりかかろうとしたその時、僕はお米を忘れてしまうという大失態を犯してしまった。さらに1年のKは、夕食のカレーに必要なジャガイモを家に忘れたという。ジャガイモ抜きでカレーはできないと悟り、キャンプ場の人に頼みこんで、巨大なジャガイモを恵んでもらえた。米は仕方なく、5合で間に合わせた。そのため僕はこの山行中、自責の念に駆られることになる。
 野菜の切り方からなにまで、先輩のアドバイスを受けながら、ついにカレーが完成した。濃さに関しては食料係の僕が独断で決めたので、味の評価はバラバラだっただろう。

 キャンプ場の人が到着時にくれた大量の枝豆を茹でて、ミーティングを行なった。そして就寝は19時半。雨がテントを打ちつける中、ぐっすりと眠った。



9月4日
〈2日目〉

 夜中は雨がひどかったが、起床時間の3時半にはすでに小降りになっていた。朝食のうどんを食べ、キャンプ場に呼んだタクシーで鳥居峠に向かった。あいにくの曇り空だったが、雨は完全に止んでいた。夏合宿のような土砂降りにならなければよいが……。

 今回は1年生4人が順々に先頭で歩いた。OBの先輩から山道を歩くときのアドバイスをもらいながら、四阿山(あずまやさん)の山頂に着いた。眺望は恵まれなかったが、僕たちより先に登頂していたおじいさんから、団塊の世代に登山が流行したなど、いろいろ話を聞いた。

 次に根子岳(ねこだけ)に向かう時、昨夜の雨のためか、四阿山の山道がぬかるんでいた。そのために滑りやすく、絵に描いたように全員が滑ってしまった。

 根子岳の山頂で昼食のパンとチーズを食べた。そこで、さっきのおじいさんと再会。なんとチョコレートをいただいた。親切なおじいさんに感謝しつつ、根子岳を下りていると、2、3頭の牛がいた。つまりそこが菅平牧場のようだ。麓には、もっとたくさんの牛がいた。

 あとはキャンプ場に戻るだけ……。しかし、そんなに甘くはなかった。持参していた地図には、菅平高原に関して載っていなかったのだ。しばらく歩いていると、どうやらキャンプ場とは真逆の方向に歩いていたようだ。さらにうっすらと雨模様。

 どうにかしてキャンプ場に戻って来ることができたが、新幹線に乗るための上田駅へのバスが来るまで時間がなかった。先生や先輩の手伝いで撤収を終え(無理に安定させたテントは潰れなかったようだ)、バスに間に合った。山から下ってきてから休む余裕がなかったので、みんなバスの中で睡魔を相手に次々と負けていった。
 上田駅のロータリーで解散式を終え、絶えず波乱が起きた1年生山行は終了した。

 個人的な感想として、1年生だけで成功したことは少なかった。先輩や先生のアドバイスなしでは、上手くいかなかっただろう。
 来週からは2学期が始まる。これからの山行に向けて、準備から行動まで、あらゆる面での今後の課題がわかった山行だった。


《「稜線」第30号(2008年度)所載》

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