2007年 冬季山行 山行記

筆者 K・M (1年生)

 今年を振り返ると五月の大岳山山行から今回の山行まで含めて8回も山に行ったことに気づく。一般登山者の登山頻度などは知らないが、自分の中では「も」を使うほどの頻度であると思う。実際、夏の白馬岳でバテたことや雲取山の紅葉など苦いものから素晴らしいものまでの思い出が多くあり、今年の活動はとても…………(以下略)。

 徐々に学校の作文のようになってきたので前書きを終え、そろそろ山行の内容について書いていく。

 今回の山行では河口湖の北にある黒岳に行ってきた。



12月23日
〈1日目〉

 今回の集合場所は高尾駅、時間は12時だった。集合時間には部員全員が揃い幸先がいい。しかし、この時点で問題が1つ起きていた。同学年のK君がポリタン、ラジオ、地図を忘れていた。とりあえず、爆笑。今思うと冗談にならない事態だったが、そのときの僕はひたすら笑うしかなかった。結局は今回の山行において気象係の仕事は無くなり、水についてはF先生から容器を借りることによって難を逃れたらしい。

 早くも色々あったが高尾を出発。大月を経由して河口湖駅に到着する。そこからバスに乗り換え、無事に西湖レークサイドキャンプ村へ着いた。ここでテントを立てた。ペグを打ち込みやすかったせいか、体感速度では前回よりも素早く行動できたのではないかと思う。

 自由時間中に同学年のK君とF君と共に湖の定番、小石投げや普段は中々歩けない雪の上を歩き、十分に楽しめたと思う。

 楽しい休憩も終わり夕食。今回は鶏肉のミートソース煮込みとガーリックライスという調理が簡単なものだった。ところが、失敗するような要素が無いはずのガーリックライスで事故が発生。突然、コッヘルから黒煙が発生しテント内を嫌な臭いと煙で満たした。原因は油が少なかったのでその後に入れたバターが激しい勢いで焦げたみたいだった。とりあえずテントの入り口を全開にして換気を試みるが、さすがは登山用具、見事な密閉性で煙が中々出て行かない。飯に何の損傷が無かったのは不幸中の幸いだろう。

 パプニングがあったものの夕食を終え、ミーティングを行う。翌日の起床時間は5時となった。そして、就寝。上手く場所をとりながらシュラフの中へ。翌日、無事に歩くことを祈って眠りに落ちる。



12月24日 〈2日目〉

 たらこスパゲティーを朝食として食べ、撤収を始める。時間が遅いということもあったが、その日はあまり寒くなく快適に登山ができそうだった。撤収を終えて予約していたタクシーに乗り込む。ここから大石プチペンション村へ向かう。

 大石プチペンション村に到着し軽く体をほぐして登山がはじめる。最初の1本は柔らかく誰も踏んでいない雪の上を歩いていく感触に感動を覚えながら進み大石峠に到着。そこでの景色は素晴らしいものだった。雲や障害物も無く、富士山だけが存在しており一本目から来てよかったと思えるほどだった。休憩を終え再び歩き出す。ここから徐々に雪が硬く、深くなっていき歩きづらくなっていく。また、中藤山近くでの下りは足場も悪く雪の中に手をつけながら進むことになる。雪の冷たさと風によって手がかじかんでしまい手袋をつけても徐々に辛くなっていく。新道峠を越え昼食を取るときには僕の手はすっかり冷え切ってしまった。

 昼食の内容は菓子パンと果物缶。特に調理をする必要もないので全員黙々と食べていく。しかし風も強いせいか妙に寒い。食料係としても体を温めるために紅茶等も持ってくるべきだったと反省する。食事を終えてからはペースも中々好調で1本で黒岳山頂に到着する。

 山頂に着くと、先に高校生らしき集団が居た。数にして10人とちょっと。僕たちとは逆方向から登ってきたらしい。社交的なわけでもなく、疲労も少し溜まっていたので、とりあえず不干渉を決め込む。休憩しながら展望台組と休憩組に分かれる。折角来たのに景色を見ないのも勿体無いので展望台組に加わる。ザックを休憩組に任せて展望台へ向かう。思っていたよりも早く3分ほどで着いた。展望台はとても見晴らしがよく富士山、河口湖、白く見える街が見えた。今回の山行で一番素晴らしい景色だった。

 休憩組のところへ戻り、少し長めに休憩。精神的にも余裕が出てきたため。先ほどから居た集団を観察する。全員でお揃いのザック、登山靴……etc。人数からも分かるが学院と違い、向こうの高校の登山部は中々人気みたいだ。

 そして、休憩を終えてバスの時間を確認。予定のバスにはかなり時間的余裕があるので1本早いバスに乗ることに決定。ここからコースタイム1時間半の道のりを1時間と少しで下りきる作戦を敢行する。雪の上をすべり、坂を駆けること1時間弱。不思議なことに無事ゴール地点の三ツ峠入口のバス停に多少の余裕を持って到着。人間やる気になると大概のことは実行できるのを実感。ここで解散式を行い、無事山行は終了。この後、急いで下ったにもかかわらずバスが20分程遅れてくるハプニングがあったことも含め、今年の最後を飾るのに相応しい、素晴らしい山行だったと思う。来年もより素晴らしい山行をできるように精進、期待していきたい。


《「稜線」第30号(2008年度)所載》

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