妊娠と母乳育児

お母さんの妊娠・出産・弟妹の誕生は、上の子にとって大きな環境の変化です。心の基地としておっぱいが大活躍することも多く「タンデム授乳」（きょうだい同時授乳）を、楽しんでいる方々がいらっしゃいます。

しかし、授乳中に妊娠すると、「妊娠したら断乳しないといけない」「早く断乳しないと、流産しちゃうよ」また、産婦人科医から「お腹の赤ちゃんのためには断乳しなさい」と指導されることも少なくありません。
　今のところ「授乳が流産を引き起こす」と、いう事は医学的に解明されておらず、妊娠初期の大切なこの時期に亡くなる赤ちゃんは、遺伝子に異常がある場合が多い――と考えられ、赤ちゃんが自ら決めるとも言われています。

でも、授乳するたびにお腹が張るようでしたら、子宮が収縮して赤ちゃんがストレスを受けていることもあるので計画的な乳離れを考えた方が良いかもしれません。また、授乳と流産の因果関係は証明されていないけれど、もしも、流産した時に自分や上の子を少しでも責めてしまう可能性があるのなら、授乳をやめた方が良いかもしれません。大事なことは、お母さん自身の気持ちだと思います。しかしながら、授乳が流産の原因になるともならないとも、いまだに解明されてはいないのが現状ですが、医学的な理由から授乳が困難になる場合もあるそうです。

例えば、「授乳するとおなかに強い張りを感じる」「出血している」「未熟児を出産したことがある」「お母さん自身の体重が妊娠中に減ってきている」などです。このような場合は、医師・助産師・または、信頼できる母乳育児サポーターに相談することをお勧めします。

また、妊娠中一時的に乳首が過敏になります。毎回の妊娠で違うようですが、ひどい場合には下着がこすれても激痛と感じ、こうなると、授乳の吸い始めと噛まれた時の痛みは耐え難い苦痛となり、昨日まで楽しくおっぱいをあげていたのに「触らないで…」という感情を抱くことがあります。理屈では説明できない気持ちですが、よくある事らしいのです。あるいは一時的なことかもしれませんので、そんな時は、自分を責めないで下さい。

悩んだときは、そこで授乳を続けるかどうかを決めればいいのですから。

おっぱいを飲んでいたこどもにしてみれば、突然一方的に授乳をいやがられるのは理解しがたいことで、不安で余計に執着するかもしれません。「そろそろ欲しがりそうだな」と思った時に、飲み物・栄養のあるおやつ・絵本など楽しいものを差し出すと、次第に授乳回数が減ってくることが多いようです。
　
何かと大変な妊娠中。「そろそろ卒乳してくれないかなぁ」と思っていたらお母さんの妊娠中に卒乳する子もちゃんといるんです。また、「タンデム授乳」をする方もいれば、卒乳したと思っていた子が赤ちゃん誕生後におっぱいに帰って来た……ということで、ママの２つのおっぱいを２人仲良く飲んでいる姿を見かけます。それはそれは、満足そうな表情なんですよ。赤ちゃんの誕生によって起こる上の子の様々な「心の表現」をありのまま受け止めてあげて下さいね。