2001/03/30TERL:YNT

光の表記と単位

光の三要素: 時間、空間、分光(スペクトラム)

光を測る時に必要とされるパラメータ。

放射量と測光量

光は量子性と波動性の二つの性質を持っており、量子的立場からはエネルギーがその単位であり、波動性を考えると波長が重要な要素である。 放射量は光のエネルギーの時間・空間・分光により決定される量であるのに対し、測光量は可視光域での放射を基準に考える量である。 すなわち国際単位系が一般に物理量を規定しているのに対し、測光量は物理的刺激に対して引き起こされる物理刺激量である。 具体的には放射量を人間の目の分光感度特性(標準比視感度)で積分したものが測光量として定義される。


下記に放射量と測光量の比較を示す。

放射量

測光量

放射束(Radiant Flux ( Power))W=J・s-1

 光源が空間へ放射するパワー、空間へ放射の流れ。 単位時間に通過する光子の量。

Φe(λ)

光束(Luminous Flux)lm

 放射束を標準比視感度特性V(λ)で重価積分したもの。

  Φ=Km(λ)(λ) dλ

  Km:標準比視感度特性(Spectral

luminous Efficiency)=683lm/W1

放射エネルギー(Radiant Energy):(J

 放射束と時間の積。

 Qe=hc/λ

光量:(lm・s)

 光束の時間積

 Q=ΦΦv t

放射強度(Radiant IntensityWsr1

点光源から立体角ωで発散する光の放射束と立体角の比。

e=dΦ/dΩ

光度(Luminance Intensitycdlm/m2

 点光源から立体角ωで発散する光の光束と立体角の比。

 I=dΦ/dΩ

放射照度(IrradinaceW・m2

受光面に入射する放射束をその受光面の面積で割ったもの。

edΦ/d

照度(Illuminancelx

 受光面に入射する光束をその受光面の面積で割ったもの。

 E=dΦ/d

放射輝度(RadianceWsr1・m2

 発光面をある観測点から立体視野角唐ナ見たときの面積Aから放射され、その点に入射する放射束。

e=Φe(A・踏cosθ=dedcosθ

  観測点と発行面のなす角θ

輝度(Luminancecd・m2またはnit

 発光面をある観測点から立体視野角唐ナ見たときの面積Aから放射され、その点に入射する光束。

 L=Φ/(A・踏cosθ=dI/dcosθ

   観測点と発行面のなす角θ

放射発散度(Radiant Exittance):W・m2

 拡散反射面、拡散透過面が角度依存を持たない理想的(均等拡散面)のとき

 Me=πLe=Ee

光束発散度(Luminance Exittance):lm・m2

 拡散反射面の反射率をρ、拡散透過面の透過率をτとすると

 M=ρE=τE

拡散反射面、拡散透過面が角度依存を持たない理想的(均等拡散面)のとき

 L=M/π=ρE/π


光関連の単位

単位;読み

説明

J:ジュール

エネルギー、仕事、熱量の単位;JN・m=m2kgs2

W:ワット

仕事量、電力の単位;W=Js1m2kgs3

cd:カンデラ

光度の単位;周波数540x1012Hz(波長555nm)の単色照射を放出し所定の方向の照射強度が1/683Wsr1である光源のその方向における光度。

sr:ステラジアン

球の中心を頂点とし、その球の半径の長さを一辺とする正方形に等しい面積を球の表面上で切取る立体角。

lm:ルーメンス

光束の単位;1lm=等方性の光度1cdの光源から1srの立体角内に放射される光束。

lx:ルックス

照度の単位;1m2の面を、1lmの光束で照らした時の照度。

sb:スチルブ

輝度の単位;1sb=104cdm-2

asb:アポスチルブ

輝度の単位;1asb(1/π) cdm2

L:ランベルト

輝度の単位;1L=(104/π) cdm2

fL:フットランブルト

輝度の単位;1fL=3.426 cdm2



光度・照度・輝度の関係

光度Iの点光源から距離sだけ離れた点での照度Eは

 E=I/2

輝度の拡張: 輝度は点光源面上で定義されるが、より一般的には拡散反射または拡散透過する面、すなわち2次光源についても同様に定義できる。

面上の点P、それを含む面要素の面積をdA、考えている方向〔観測方向〕をPQ、その方向

と面のなす法泉のなす角をθ、PQを含む微小錐体の立体角をdΩ、この錐体に含まれる光束をdΦとすれば、輝度L

  L=d2Φ/(dAcosθ・dΩ)

である。 ここで光源面ではI=dΦ/dΩであるから

  L=dI/(dA・cosθ)

また、受光面上ではI=dΦ/dA

  L=dE/(dΩ・cosθ)

である。


 標準比視感度V(λ)

[nm]

V(λ)

[nm]

V(λ)

[nm]

V(λ)

380

0.000 0

520

0.710

660

0.061

390

0.000 1

530

0.862

670

0.032

400

0.000 4

540

0.954

680

0.017

410

0.001 2

550

0.995

690

0.008 2

420

0.004 0

560

0.995

700

0.004 1

430

0.011 6

570

0.952

710

0.002 1

440

0.023

580

0.870

720

0.001 05

450

0.038

590

0.757

730

0.000 52

460

0.060

600

0.631

740

0.000 25

470

0.091

610

0.503

750

0.000 12

480

0.139

620

0.381

760

0.000 06

490

0.208

630

0.265

770

0.000 03

500

0.323

640

0.175

780

0.000 015

510

0.503

650

0.107



物理量

光速

c=2.99792458108(m・s-1

プランク定数

h=6,6260687610-34(J・s)

参考文献

「理科年表」、国立天文台編、丸善

「光の計測マニュアル」、()証明学会編、日本理工出版会

「光センシング工学」、宮尾 亘著、テレビジョン学会編

TERLのTopへ。