日本工業技術振興協会 平成14年3月11日セミナー資料 |
CMOSイメージセンサ |
CCDと比較して、製造工程が簡単で低価格、低消費電力である等の特徴があり、近年特に注目されている。 CMOSセンサの動作特徴、近年の傾向、メガピクセル・センサの紹介、デジタルカメラにみる大型センサの応用例について紹介する。 |
CMOSセンサの特徴 |
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1.電子シャッタ動作 ◇シャッタ構造
◇ シャッタの切り方: 以下の2種類がある ローリングシャッタ: 撮像管のように、走査ラインごとに順次シャッタを切る方式。センサ構造が簡単で集積度が上るが、画面の上部と下部で、露光タイミングが異なるために、動いている被写体に対して図形歪が生じる。 グローバルシャッタ: インターラインのように、一画面同時にシャッタを切る。 蛍光灯証明に対してフリッカがでる。 |
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◇自由な露光設定: CCDと比較して、比較的自由度の高い設定ができる。 |
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2.ランダムアクセス センサ内のアドレス回路により限定されるが、ある程度、自由な読出しが可能である。 ◇ 読出し領域の指定: ROI(Region Of Interest)の指定ができ、不要部分を必ずしも読出す必要がない。 ◇ サブサンプル: 1画素おき、3画素おき等の読出し間隔を指定できる。
◇反転読出し: 上下、左右の反転が可能である。 |
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3.高速読出し ◇構造的 多線読出し: 構造的に読出し線を複数用意することによる高速化。 部分読出し: 不要部分を読み飛ばすことによる高速化(撮像画角が小さくなる)。 サブサンプル: 読出し画素数が減るので高速化(撮像画角は変わらない)。 |
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4.非破壊読出し |
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5.周辺回路のオンチップ化
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近年の動向 |
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1.FPNの改善 ◇CDS回路の内臓 ◇デジタル的オフセット デジタル的なメモリにより、FPNのオフセット分を記憶しておき、チップ出力前に引算する。 |
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2.ダイナミックレンジの拡大 ◇FETの非直線性を利用 MOSトランジスタ固有の特性を利用した対数変換回路を各画素ごとに付加し、入射光量をその光量の積分値の対数に比例した量の電子に変換して、105のダイナミックレンジを得る。 ミノルタ、ローム社の例
引用記事: http://www.minolta.com/japan/press99/org/99-07-12_j.html ◇感度自動調整:
九州工業大学、マイクロ化総合技術センター、有馬研究室http://www.cms.kyutech.ac.jp/~arima/arima_lab/adj_sensor.html ◇Knee特性を持たせる |
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3.近傍画素演算機能 久間ほか、応用物理、 第67巻、第4号、 pp.424-430(1998) |
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4.動画像圧縮センサ
NHKホームページより引用: http://www.nhk.or.jp/strl/publica/dayori/dayori97.08/kaisetsu1-j.html |
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5.デジタル信号処理回路、通信ポートの内臓 ◇デジタルエンコーダ、DSP、圧縮、PCインターフェース 画像処理プロセッサ、画像圧縮部(JPEG)、データ処理部から構成され、PCとの接続の際は、内蔵のUSBコントローラにより、外部のメモリや外部のマイクロプロセッサを使用することなく圧縮データをPCにダイレクトに送信することが出来る。 SUNPLUS社:http://www.sekitech.co.jp/news/020108sunplus.html |
MEGAピクセルCMOSセンサ 現在発表されている、1M画素以上のCMOSセンサをリストアップした。 |
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Canon |
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6.3M (22.7 x 15.1mm) |
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http://www.canon-sales.co.jp/pressrelease/2002-02/pr_eosd60.html |
3.25M (22.7 x 15.1mm) |
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Eastman Kodak |
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1.3M(1280
x 1024) |
KAC-1310 |
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Motorola |
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1.3M(1280 x 1024) |
MCM20027 |
http://e-www.motorola.com/webapp/sps/site/prod_summary.jsp?code=MCM20027&nodeId=01M98588 |
Omni Vision |
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1.3M(1280 x 1024) |
OV9620 / 9120 |
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PhotoBit |
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2352 x 1728 |
PB-MV40
(240fps) |
http://www.photobit.com/Products/High-Speed_Sensors/high-speed_sensors.htm |
1280 x 1024 |
PB-MV13 (600fps) |
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1024 x 1024 |
PB-1024 (500fps) |
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TOWER Semiconductor |
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5M Pixel |
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Y-Media |
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3.17M Pixel |
YM-3170A |
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1.3M Pixel |
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Zoran |
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1.3M (1288 x 1032) |
ZR32112PLC |
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1.3M(1304 x 968) |
ZR732212 |
大型センサの応用例 ハイエンド・デジタルカメラ用のセンサに関して考察してみる。 |
1.CCD vs. CMOS 現在、CCDと比較したとき、CMOSセンサの最大の弱点はノイズが多いことによる、ダイナミックレンジ、感度の低下である。 根本的にダイナミックレンジを拡大する一つの方法は、画素サイズを大きくすることである。 センサの大型化を考えるとき、製造プロセスがシンプルなCMOSの方が有利である。 この点から、一部プロ用のデジタルカメラでCMOSセンサが使用されている。 2.デジタルカメラの分類 下図にデジタルカメラのクラス分けを試みた。 現在主に、CMOSセンサはトイカメラ(おもちゃメーカー等が主に発売しているデジタルカメラ)で使われている。 しかし、上で述べたように、一部のプロ用デジタルカメラの大型センサとして実用化されているのも事実である。 |
デジカメのクラス分け |
Toy Camera: 低価格(1万数千円以下)、CMOSセンサ使用で、主にVGAサイズ(一部SVGA)、液晶モニタなし。 Amateur: 2万数千円〜10数万円、2M〜5M画素(1インチ以下のCCD)。ズームレンズ付と無しに分類される。 High End Amateur: 20万円〜10数万円、一眼レフタイプ(交換レンズ無し)。3M画素以上CCD(1インチ以下)。 |
Professional: 30〜90万円台一眼レフタイプ、交換レンズ。1インチ〜35mmフィルムサイズの大型サンセ(CCD又は、CMOS)。 Pro Studio: プロカメラのフィルム面位置にCCDが取り付けられるようになった、「カメラバック」と呼ばれるシステムを取り付ける。100万円(カメラバックのみ)程度から。 量産タイプのデジタルカメラには、主に2/3インチ以下のCCDが使用されている。しかし、この領域のカメラも、下からCMOSサンサに置き換るものと思える。 |
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下記にハイエンド・デジタルカメラの一覧と、主にそこに使われているセンサをまとめた。 |
ハイエンド・デジタルカメラ一覧 |
ハイエンド・デジタルカメラ用のイメージセンサ一覧 |
新しいタイプの色分解型のセンサ |
シグマ社ホームページより引用: http://www.sigma-photo.co.jp/news/foveon.html Foveon社ホームページ: http://www.foveon.net/ |
システムからの今後の要求 |
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より自由な読出し(ランダムアクセス) ◇ 非破壊読み出し(同じフレームを繰り返し読み出す) ◇ プログラマブルな近傍演算 |
まとめ |
現時点では、価格メリット、低消費電力の面から、限られた応用分野に限定されて使用されている。 画質面ではCCDに軍配があがるものの、CMOSセンサにはCCDにはない種々の特徴がある。 この中にはシステム的に魅力ある機能も多く、大いに期待できる。 近い将来、CCDが逆に特定分野でしか使われていないことも予測され、今後ますます目が離せない状況となろう。 |