撮像用語解説
スミアとブルーミング
両社には明確な区別がある。

スミア: センサへ入射した光は半導体の内部でホール-エレクトロン・ペアを発生る。 このどちらを利用するかはセンサによるが、CCDの場合にはエレクトロン(電荷)をフォトダイオードに蓄積させる。 この時、入射光によって発生した電荷は必ずしも、入射した画素のフォトダイオードに蓄積されるとは限らない。 例えば、斜めに入射した長波長の光は半導体深部でエレクトロンを発生し、この電荷は隣の画素に蓄積されるかも知れない。 この漏れ量は入射角、分光等の点で光が規定されれば、光の強さに正比例して隣接画素に発生する。 つまり、入射光量が増えれば、スミアの量も比例的に増加する。
画面的には、薄く、周辺画素に広がる。 またこの基板内部での電荷の漏れは、垂直CCDに蓄積されることもあり、この場合は、出力画像にぼんやりと、垂直転送方向と逆方向に白い帯状のにじみが生じる。

ブルーミング: CCD画素内のフォトダイオードが、あまり強い入射光量に対し飽和し、ポテンシャルバリアを超えて、隣の画素、又は垂直転送CCDにもれこむ。 これは、画面上では隣接画素も飽和、また垂直方向に流れる光の帯も飽和に達していること可能性が高い。 これは、光量の増加に対し、画素が飽和して電荷の行き場所が無くなった瞬間から、突然発生する。

区別の方法:
光量を変化させたときに、にじみの量も変化している場合には、スミア。 より強い光が入り、突然に飽和レベルでにじみ、縦に白い帯を引いたときは、ブルーミングにいたっていると判断する。
この現象はインターラインCCDの創世記に発行された、当時唯一のCCD技術Charge Coupled Device(Sequin Tompsett著、1978年に日本語翻訳版発行)で既に、写真入りで述べられている。
日本の多くの技術者が縦に白く流れた場合をスミアと誤解し、また写真入りで出版されていものを多く見かける。 現象的には似たものかもしれないが、発生メカニズムは全く異なる。 正しく理解し、誤解が発生するような記述、写真の掲載は控えてたいものである。 (かなりブルーミングに近い、あるいは既に軽度のブルーミングが発生している画像にスミアと注釈を入れているケースを見る。)

CMOSタイプのセンサでは?
まだ明確に定義されている例を見たことはない。 基本的には、フォトダイオードが飽和してあふれ出しても、転送CCDがあるわけではないので、縦に白い帯を発生することはない。 半導体内部、ポテンシャルバリアからのあふれ出しのいずれの場合においても、同心円的に白く広がるものと考えられる。
CCDの例を考えれば、入射光量に対して、周囲の白い漏れの明るさが比例している場合にはスミアと考えてよいと思うが、飽和を超えた時点からの電子のあふれ出し現象を、表示画面で特定するにはどうしたらよいかは、悩むところである。